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証言1
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「そうか、前侯爵がそこまで言うなら、もう一度調べてみようではないか」
「はい、よろしくお願いいたします」
「パシム侯爵家も協力してもらえるか?」
「はい、ジュージ、協力をしよう」
信じてくれたのだと思ったオジェンは、訝し気なジュージには気付かないままであった。
「はい……」
「では、調査員を向かわせることもあるかもしれぬが頼むな」
「はい」
どちらにせよ、これからは詳しく調べるために、これで動きやすくなるだろう。
「では日付を調べて報告をしてくれ」
「はい、ララスには会わせてはもらえないのでしょうか」
「当然だろう?モルゾフ王国に対して失礼な真似を重ねているのだ、何のための謹慎だと思っている?」
「はい、失礼しました……」
ジュージ、オジェン、クレアは帰って行き、念のために三人に監視と、シズート男爵家、サッジ男爵家、ファーク男爵家には警備を向かわせている。
調査員には診断書にどのような不正があったかは聞かれることもなかったために、伝えてないこと報告し、裏取りをしてもらうように頼んだ。
それから調査員はこれまでよりも堂々と動き出した。
シズート医師のカルテや診断書などは王立病院にあるために、男爵家にも何もなかったが、王立病院の方もララスについて気になる証拠は何も見付からなかった。
診断をしたのはシズート医師ではないのだろうというのが、見立てであった。
エディードが言ったように、パシム侯爵家にも調査員が向かった。
当時いなかった使用人は除外され、話を聞いた。今は辞めた使用人にも話を聞くことになり、エミリーだけは診断書を借りて提出した経緯もあるために、ローラ・ベリンス医師が同席を頼んだ。
「話をしていいということですね?」
「はい。ですが、まだここだけの話に留めていただきたいのです」
「エミリーいい?」
「はい」
ベリンス医師がいることで、エミリーも安心しているようで、頷いた。
「私がエミリーの診断書、借りたでしょう?」
「ええ」
「あれが利用されたことが分かったの」
「えっ?誰に?」
エミリーは不思議そうな顔をして、ベリンス医師を見つめていた。
「あの診断書を見たのは誰?」
「私と、ルーゲンにも見せて、両親にも見せて、ローラちゃんも?後は……えっ、まさか……ララス殿下?」
「そう」
エミリーは口元を指で押さえて、目を大きくしていた。ルーゲンは現夫である。
「ララス殿下に取り上げられたのですよね?」
「はい、じっくり見たいからと言われて、貸すつもりはなかったんですけど……」
「エミリー夫人の診断書に、別の筆圧が認められて、王家に出されたララス殿下の診断書が、エミリー夫人の診断書を写したということが明らかになりました」
「っえ、嘘……」
そんなことに利用されていたとはベリンス医師が言ったように、考えてもいなかったエミリーは表情を歪ませていた。
「あれを写したってことなのですか?」
「はい、きれいに保管されていたことで、証明されました。ありがとうございました、感謝申し上げます」
「い、いえ。ローラちゃんは気付いていたの?」
「勝手に提出してごめんなさいね」
「それはいいの」
ベリンス医師は勝手に人の診断書を提出したことは申し訳ない気持ちであった、だがエミリーも母になり、年を重ねたことで、気にすることでもなかった。
「あの時はそんなこと思わなかったけど、気味が悪い事柄だったでしょう?私も記憶にずっとあったの」
「気持ちのいいものではなかったわね」
「別の話で、調査員の方が来られて、まさかと私も思って、エミリーの診断書を見せてもらったの。当時は私は原本は見ていなかったから」
診断書は別の医師が書き、エミリーから話を聞いてはいたが、診断書を見たわけではなかった。
「はい、よろしくお願いいたします」
「パシム侯爵家も協力してもらえるか?」
「はい、ジュージ、協力をしよう」
信じてくれたのだと思ったオジェンは、訝し気なジュージには気付かないままであった。
「はい……」
「では、調査員を向かわせることもあるかもしれぬが頼むな」
「はい」
どちらにせよ、これからは詳しく調べるために、これで動きやすくなるだろう。
「では日付を調べて報告をしてくれ」
「はい、ララスには会わせてはもらえないのでしょうか」
「当然だろう?モルゾフ王国に対して失礼な真似を重ねているのだ、何のための謹慎だと思っている?」
「はい、失礼しました……」
ジュージ、オジェン、クレアは帰って行き、念のために三人に監視と、シズート男爵家、サッジ男爵家、ファーク男爵家には警備を向かわせている。
調査員には診断書にどのような不正があったかは聞かれることもなかったために、伝えてないこと報告し、裏取りをしてもらうように頼んだ。
それから調査員はこれまでよりも堂々と動き出した。
シズート医師のカルテや診断書などは王立病院にあるために、男爵家にも何もなかったが、王立病院の方もララスについて気になる証拠は何も見付からなかった。
診断をしたのはシズート医師ではないのだろうというのが、見立てであった。
エディードが言ったように、パシム侯爵家にも調査員が向かった。
当時いなかった使用人は除外され、話を聞いた。今は辞めた使用人にも話を聞くことになり、エミリーだけは診断書を借りて提出した経緯もあるために、ローラ・ベリンス医師が同席を頼んだ。
「話をしていいということですね?」
「はい。ですが、まだここだけの話に留めていただきたいのです」
「エミリーいい?」
「はい」
ベリンス医師がいることで、エミリーも安心しているようで、頷いた。
「私がエミリーの診断書、借りたでしょう?」
「ええ」
「あれが利用されたことが分かったの」
「えっ?誰に?」
エミリーは不思議そうな顔をして、ベリンス医師を見つめていた。
「あの診断書を見たのは誰?」
「私と、ルーゲンにも見せて、両親にも見せて、ローラちゃんも?後は……えっ、まさか……ララス殿下?」
「そう」
エミリーは口元を指で押さえて、目を大きくしていた。ルーゲンは現夫である。
「ララス殿下に取り上げられたのですよね?」
「はい、じっくり見たいからと言われて、貸すつもりはなかったんですけど……」
「エミリー夫人の診断書に、別の筆圧が認められて、王家に出されたララス殿下の診断書が、エミリー夫人の診断書を写したということが明らかになりました」
「っえ、嘘……」
そんなことに利用されていたとはベリンス医師が言ったように、考えてもいなかったエミリーは表情を歪ませていた。
「あれを写したってことなのですか?」
「はい、きれいに保管されていたことで、証明されました。ありがとうございました、感謝申し上げます」
「い、いえ。ローラちゃんは気付いていたの?」
「勝手に提出してごめんなさいね」
「それはいいの」
ベリンス医師は勝手に人の診断書を提出したことは申し訳ない気持ちであった、だがエミリーも母になり、年を重ねたことで、気にすることでもなかった。
「あの時はそんなこと思わなかったけど、気味が悪い事柄だったでしょう?私も記憶にずっとあったの」
「気持ちのいいものではなかったわね」
「別の話で、調査員の方が来られて、まさかと私も思って、エミリーの診断書を見せてもらったの。当時は私は原本は見ていなかったから」
診断書は別の医師が書き、エミリーから話を聞いてはいたが、診断書を見たわけではなかった。
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