さよならの代わりは

野村にれ

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終焉1

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「お待ちください……選べなどと」

 口を挟んだのはオジェンだったが、エディードは強く睨み付けた。

「私は今、ララス王太子妃に聞いている!」
「っ!」
「ララス、王太子妃として判断しなさい」
「私は……少し、考えさせてもらえませんか」

 まさか王太子妃の立場が今さら揺らぐとは思っておらず、どうにか先延ばしにすることくらいしか、ララスには思いつかない状態であった。

「いつまでだ?モルゾフ王国にも罰を待ってもらっている状態だ、報告をしなければならない」
「っ!どうしてモルゾフ王国に……」
「スチュワート王太子殿下、王家にへ反省をしていないこと、パークト次期公爵夫人への失礼な態度、まだ分かっていないのか!」
「ですが、ウィンラー夫人は関係ないではありませんか」
「パークト次期公爵夫人は王家に近しい存在だ、伝わらないとでも思っていたのか?馬鹿にするのもいい加減にしなさい」
「っえ……そんな」

 ララスは王太子妃になって、自分より下と判断していたウィンラー夫人には何を言ってもいいと、いまだに考えたままであった。

「そして、これはモルゾフ王国からである。ララスとアスリーナ・パシムはモルゾフ王国へ入国禁止となった。きちんと守るように」
「承知いたしました」

 ジュージは立ち上がって、深く頭を下げて受け入れた。

「入国禁止なんて……」

 ララスはそう言ったが、今はもうアスリーナのことを考える余裕はなかった。

「二日やろう、二日後に王太子妃として答えを持って来なさい。それまでパシム侯爵家に帰るといい」
「ですが……」
「もう言い訳はいい。実家でしっかり考えなさい。パシム侯爵、よろしく頼む」
「承知いたしました」

 ジュージは立ち上がって、ララスを引っ張った。

「お兄様」
「帰るぞ、しっかり歩け。父上と母上も帰りますよ」

 オジェンとクレアも立ち上がって、四人は深く頭を下げて出て行った。

 そして二日後、ララスはジュージと共にやって来た。

 エディードとセラリアとコーレイドは、どのような答えを出すかと思っていたが、ララスの顔よりジュージの厳しい顔つきで分かった。

「答えを聞かせてもらえるか」
「はい……王太子妃を退きます。申し訳ございませんでした」
「そうか、分かった」
「申し訳ございませんでした」

 ララスも頭を下げ、そのまま停止していたが、横でジュージも頭を下げて、謝罪をした。

「それで、問題があったのか?」
「……それは」

 下を向いたまま口ごもるララスに代わって、ジュージがハッキリと答えた。

「生理不順、無月経もあったそうです。ララスと両親を問い詰めました。念のために侍医にも確認を取り、最初は治療をしていたようですが、順調になったと伝えていたようです」
「シズート医師ではなく?」
「はい、シズート医師は無関係です。引退すると言っていたそうで、丁度いいだろうと利用したそうです」

 ジュージはパシム侯爵邸に戻ってからどういうことかと三人を問い詰めたというよりも、怒鳴り付けた。

 それでも口を割らなかったが、今日のことが公になれば、誰もが不正をしたと思うだろう。実際、ジュージは不正を犯していたのかとしか思えないことを伝えた。

 話を聞けば、皆同じように思うだろう。せめて認めて謝罪して、王太子妃を退けば、心象は違うだろうと伝えると、ララスより先に両親が認めることになった。

「それを隠したかったのだな?」
「そのようです。私も把握しておらず、大変申し訳ございませんでした。パシム侯爵家の責任です」
「不正に加担したのは、ララスと両親か?」
「はい、ララスが使用人のブライダルチェックを借りて写し、名前やサインはシズート医師の書いた物を父が写したようです。母も知っていたということでした」

 調査したからこその結果だが、話を聞けばあっさりした父と娘の共謀であった。
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