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不正
「バラマス・コアール。不正をしたな?」
「っ、いえ、あの」
「試験を見て分かっただろう?酷すぎて吐き気がする!」
「もっ、申し訳ございません。ウィンダム伯爵に、頼まれて、仕方なく」
「っな」
「陛下、一つよろしいでしょうか」
「ああ、アズラー夫人」
「そもそもバラマス夫人はノワンナ語が何となく分かる程度でございます。先程、採点をしておりましたが、分かってらっしゃいませんでした」
バラマス夫人はますます真っ青である。アズラー夫人は、バラマス夫人は貴族令嬢のマナー講師としては優秀であったのだろうが、王太子妃教育は質が違い過ぎる。脅されたのかもしれないが、いずれ分かるようなことに加担するなど、情けないとしか言いようがない。
「主導は誰だ?ウィンダム伯爵、そしてレベッカか、それとも夫人か、全員か」
「学園の成績は優秀だったのです、本当です。ここはどうか、王女殿下も御生まれになっておりますので、通訳を付けてはいただけませんか」
ウィンダム伯爵は試験結果は変わらないため、王女で縋ることにした。
レベッカは学園では学力は二十位以内に入っていた。確かに側妃の条件の目安にはなるが、自分は優秀だと思い込んでいたのだ。
「そうです!私は通訳が付くと思っておりました」
「何を勝手に思ってらっしゃるのかしら?バラマス夫人が説明していなかったとしても、教本をお渡ししたでしょう?読んでいないの?あり得ないわ」
ずっと扇子をギリギリと握りしめていた王妃が流石に声を上げた。側妃の教本には、三ヶ国語こと、他国との会話について書き記してある。レベッカはもう側妃になったのだからと、全てを読んではいなかった。
「語学が出来ないのに、よくも側妃試験を受けたものよ!恥ずかしくないの?」
「全ては学びはしました!本当です」
「そなたは学んだが、身に付かなかったから、考慮しろというのか?そんなに甘いものではないわ!」
王妃も三ヶ国語を操るのに苦労したのだ、それを不正で入り込むなど到底許すことは出来ない。
「君は翻訳が出来ないために、持ち帰って誰かにやらせようと思っていたのだろう?王太子夫妻がいらした時、キョロキョロしていたのは、通訳を探していたんだな」
「で、でも誰がやろうと同じではないですか!」
「じゃあ、君は要らないということになるけど」
「そ、それは」
持ち帰りたいと言い出した時に、そうだろうとは思っていたが、誰がやっても同じ。確かに翻訳の部分はそうだろうが、頭に入れるためにも、自身で翻訳をするとはどうして思えないのだろうか。
「お待ちください!王女殿下のためにもここはひとつどうか、穏便に収めては貰えませんか」
ウィンダム伯爵はなおも食い下がり、この親にしてこの娘ありということだ。
「いや、王女のためにもレベッカには外交はもうさせることはない」
「なぜですの!」
この場で陛下に向かって酷いという顔がよく出来るものだ。学園で成績が優秀だったのは虚偽ではないだろうが、側妃だけでも学問とは違う勉強も必要になる。
「王女が可哀想だと思わぬのか?母親は語学も出来ぬのに、側妃になったとこのままでは一生言われるのだぞ?」
「あっ…これから、勉強しますから」
「ウィンダム伯爵家とバラマス夫人に責任を取って貰おう。レベッカは側妃見習いとする。王女にとっては母親だ、これ以上粗相がなければ、住まうことは許可するが、外交費はなし、生活費はウィンダム伯爵で持ちなさい」
側妃が外交費を削られるということは、社交の費用が一切出ないことを示す。ゆえに最低限の生活する費用のみとなる。
「そして、レベッカの教育費用も王家から一切出すことはない。自分たちで責任を持って、三ヶ国語を学ばせなさい。その後に、我々とアズラー夫人が認めれば、側妃と認めよう」
「…そんな」
「当たり前ではないか、さらに恥をかかせるつもりなのか」
「それは…」
「陛下、私も支持いたします。そして、レベッカ妃は自業自得ですが、王女殿下の教育費はクリンピア公爵家で持たせてください。母の責任を取らせてください」
「あい、分かった」
既に王女を産んでいることからここが落としどころだろう。クリンピア公爵が頭を下げた以上、これ以上ウィンダム伯爵、コアール伯爵は何も言うことは出来ない。
「よくもサリーに優秀などと言えたものだな」
「妃殿下は話せるのですか」
「当たり前だろう!学園に入る前に三ヶ国語、全て習得している」
アズラー夫人はその通りですと言わんばかりに、深く頷いている。
「あっ、そんな…」
レベッカは勤勉ではない。試験前に詰め込むだけだった。翻訳は別の者にやらせて、自分がやったことにすることは可能だろうが、会話、そして理解しているかという点は誤魔化すことが出来ない。
ほぼ毎日、伯爵家の雇った教師が来て、勉強をするだけの生活となった。
「っ、いえ、あの」
「試験を見て分かっただろう?酷すぎて吐き気がする!」
「もっ、申し訳ございません。ウィンダム伯爵に、頼まれて、仕方なく」
「っな」
「陛下、一つよろしいでしょうか」
「ああ、アズラー夫人」
「そもそもバラマス夫人はノワンナ語が何となく分かる程度でございます。先程、採点をしておりましたが、分かってらっしゃいませんでした」
バラマス夫人はますます真っ青である。アズラー夫人は、バラマス夫人は貴族令嬢のマナー講師としては優秀であったのだろうが、王太子妃教育は質が違い過ぎる。脅されたのかもしれないが、いずれ分かるようなことに加担するなど、情けないとしか言いようがない。
「主導は誰だ?ウィンダム伯爵、そしてレベッカか、それとも夫人か、全員か」
「学園の成績は優秀だったのです、本当です。ここはどうか、王女殿下も御生まれになっておりますので、通訳を付けてはいただけませんか」
ウィンダム伯爵は試験結果は変わらないため、王女で縋ることにした。
レベッカは学園では学力は二十位以内に入っていた。確かに側妃の条件の目安にはなるが、自分は優秀だと思い込んでいたのだ。
「そうです!私は通訳が付くと思っておりました」
「何を勝手に思ってらっしゃるのかしら?バラマス夫人が説明していなかったとしても、教本をお渡ししたでしょう?読んでいないの?あり得ないわ」
ずっと扇子をギリギリと握りしめていた王妃が流石に声を上げた。側妃の教本には、三ヶ国語こと、他国との会話について書き記してある。レベッカはもう側妃になったのだからと、全てを読んではいなかった。
「語学が出来ないのに、よくも側妃試験を受けたものよ!恥ずかしくないの?」
「全ては学びはしました!本当です」
「そなたは学んだが、身に付かなかったから、考慮しろというのか?そんなに甘いものではないわ!」
王妃も三ヶ国語を操るのに苦労したのだ、それを不正で入り込むなど到底許すことは出来ない。
「君は翻訳が出来ないために、持ち帰って誰かにやらせようと思っていたのだろう?王太子夫妻がいらした時、キョロキョロしていたのは、通訳を探していたんだな」
「で、でも誰がやろうと同じではないですか!」
「じゃあ、君は要らないということになるけど」
「そ、それは」
持ち帰りたいと言い出した時に、そうだろうとは思っていたが、誰がやっても同じ。確かに翻訳の部分はそうだろうが、頭に入れるためにも、自身で翻訳をするとはどうして思えないのだろうか。
「お待ちください!王女殿下のためにもここはひとつどうか、穏便に収めては貰えませんか」
ウィンダム伯爵はなおも食い下がり、この親にしてこの娘ありということだ。
「いや、王女のためにもレベッカには外交はもうさせることはない」
「なぜですの!」
この場で陛下に向かって酷いという顔がよく出来るものだ。学園で成績が優秀だったのは虚偽ではないだろうが、側妃だけでも学問とは違う勉強も必要になる。
「王女が可哀想だと思わぬのか?母親は語学も出来ぬのに、側妃になったとこのままでは一生言われるのだぞ?」
「あっ…これから、勉強しますから」
「ウィンダム伯爵家とバラマス夫人に責任を取って貰おう。レベッカは側妃見習いとする。王女にとっては母親だ、これ以上粗相がなければ、住まうことは許可するが、外交費はなし、生活費はウィンダム伯爵で持ちなさい」
側妃が外交費を削られるということは、社交の費用が一切出ないことを示す。ゆえに最低限の生活する費用のみとなる。
「そして、レベッカの教育費用も王家から一切出すことはない。自分たちで責任を持って、三ヶ国語を学ばせなさい。その後に、我々とアズラー夫人が認めれば、側妃と認めよう」
「…そんな」
「当たり前ではないか、さらに恥をかかせるつもりなのか」
「それは…」
「陛下、私も支持いたします。そして、レベッカ妃は自業自得ですが、王女殿下の教育費はクリンピア公爵家で持たせてください。母の責任を取らせてください」
「あい、分かった」
既に王女を産んでいることからここが落としどころだろう。クリンピア公爵が頭を下げた以上、これ以上ウィンダム伯爵、コアール伯爵は何も言うことは出来ない。
「よくもサリーに優秀などと言えたものだな」
「妃殿下は話せるのですか」
「当たり前だろう!学園に入る前に三ヶ国語、全て習得している」
アズラー夫人はその通りですと言わんばかりに、深く頷いている。
「あっ、そんな…」
レベッカは勤勉ではない。試験前に詰め込むだけだった。翻訳は別の者にやらせて、自分がやったことにすることは可能だろうが、会話、そして理解しているかという点は誤魔化すことが出来ない。
ほぼ毎日、伯爵家の雇った教師が来て、勉強をするだけの生活となった。
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