文字の大きさ
大
中
小
37 / 203
適正
クリコットの手腕でサリーの元へ行く前に、ティファナ・アズラーを呼び出すことに成功した。
「代理のことは聞いているか」
「はい、娘から伺いました。なぜ娘なんでしょうか。エモンド公爵令嬢も、なぜ彼女だったのでしょうか」
代理の理由は誰でも知れるものではない、担当者と王族と、代理の関係者くらいだろう。ゆえにミアローズが代理であることも、なぜだという疑問だけが残る。
理由を見せると、いつも冷静なアズラー夫人が目を見開き、口をパクパクさせており、今まで見たことのない表情であった。
「ルアンナが、娘がこのようなことをサリー様に…大変申し訳ございません、何とお詫びをすればいいのか」
「夫人は知らなかったのか」
「はい、知っていたら止めておりました」
「サリーからも何も言われていないということだな?」
「はい、サリー様は何もおっしゃっていません。どんな思いで、私の授業を受けていたのでしょうか、何てことを…」
娘に暴言を吐かれながら、その母親の授業を受ける。二人で追い込むことも出来たであろうが、そうはしていなかったということか。
「娘の独断か?」
「…はい、サリー様が婚約者に決まってから、勝手にライバルのように思っていることは知っておりましたが、まさかこのようなことを言うなどとは」
「煽ったりなどはしていないのか、王太子妃になれるなどと」
「私が王太子妃教育の担当に選ばれたこともあり、娘もサリー様には及びませんが、出来は良い方でしたので、なれたのではないかと周りは言っておりました。ですが、そんなに簡単なものではないと伝えておりました」
サリーとルアンナは、同じ年で同じ侯爵家。ルアンナはその言葉を真に受けて、上には上がいることを知らずに、サリーに当たったのだろう。
「無理だとハッキリと言ったことはあるか?」
「はい、ございます。子どもの頃は、向上心を奪うのではないかと、ハッキリ伝えるのも可哀想だと思っておりましたが、学園に入る前頃でしょうか、絶対に無理だとしっかり伝えたことがあります」
「なるほどな、それでサリーに食って掛かったのかもしれない」
「あっ、ああ、申し訳ございません!」
日付を見れば、学園に入ってすぐ辺りとなっている。あまり関わることのなかったサリーを見付けて、発言をしたのだろう。
「例えば、サリーがいなければなどと思うような娘か?」
「これを読んだ後では、思考は持っていると考えていいと思います」
「さすが、王太子妃教育の担当だな」
「恐れ入ります…」
「ルイソード殿もこのことを知れば、気分が悪いだろう。正直、穏便に済ませたいが、サリーは代理をして欲しいのであって、謝罪は受け入れない」
殿下がサリーの様子を見る限り、代理をさせることが目的で、自ずと罰を受けることにはなっているが、罰して欲しいわけではないのだと分かった。
「はい…娘はどうして私なのか本当に分からないと、私には申しておりましたが、分かっていたのでしょう。ルイソード様にもまだ話していないと申しておりました。問いただして、許されなくとも謝罪させます。勿論、私も共に罰を受けます」
「いや、おそらくそうではない。夫人が辞することも、罰されることも望んでいない。相応しいと言った責任の問題なのだ」
「娘に責任を取らせるということでしょうか」
「ああ、まさにそうだ。発言の責任、それがサリーの要求なのだよ。娘は代理をすることは可能か?」
サリーが謝罪で取り下げるとは思えない、グリズナー夫人は仮病と、出れないということで下げることになったが、ミアローズになっただけであった。そして、今回はミアローズではなく、ルアンナになっている。同様の発言をした者、全てに代理をさせることがやはり目的なのだろうか。
「分かりません、調べてみるから落ち着きなさいと話をしただけでございます。語学もノワンナ語は出来ますが、アペラ語とカベリ語は読み書きは多少出来ますが、話すのは挨拶程度でございます」
「そうか、どうしたものか。私はあまりルイソード殿と親しくはないのだが、どのような方だ?」
「真面目な方です、許すことは出来ないかもしれません」
「離縁などになるのは、私も本意ではない。本人を連れて行くべきか」
「ルアンナを連れて、責任を取らせます」
「分かった」
アズラー夫人の全てを信じることは出来ないが、ミアローズと違って、謝罪をしないという選択肢はないだろう。
「あと、これは単に興味なのだが、アズラー夫人は王妃になる気があったのか?」
「いいえ、滅相もございません。確かに正妃の試験は受けました、私だけではなく、数名受けております。その上で、王妃様が選ばれたのです」
「だが、側妃の打診があったのではないか」
「それはございましたが、お受けしませんでした」
「そうか。母上が妨害したのではないかと、一度、聞いてみたかったのだ」
「王妃様から、そのようなことはございません」
「代理のことは聞いているか」
「はい、娘から伺いました。なぜ娘なんでしょうか。エモンド公爵令嬢も、なぜ彼女だったのでしょうか」
代理の理由は誰でも知れるものではない、担当者と王族と、代理の関係者くらいだろう。ゆえにミアローズが代理であることも、なぜだという疑問だけが残る。
理由を見せると、いつも冷静なアズラー夫人が目を見開き、口をパクパクさせており、今まで見たことのない表情であった。
「ルアンナが、娘がこのようなことをサリー様に…大変申し訳ございません、何とお詫びをすればいいのか」
「夫人は知らなかったのか」
「はい、知っていたら止めておりました」
「サリーからも何も言われていないということだな?」
「はい、サリー様は何もおっしゃっていません。どんな思いで、私の授業を受けていたのでしょうか、何てことを…」
娘に暴言を吐かれながら、その母親の授業を受ける。二人で追い込むことも出来たであろうが、そうはしていなかったということか。
「娘の独断か?」
「…はい、サリー様が婚約者に決まってから、勝手にライバルのように思っていることは知っておりましたが、まさかこのようなことを言うなどとは」
「煽ったりなどはしていないのか、王太子妃になれるなどと」
「私が王太子妃教育の担当に選ばれたこともあり、娘もサリー様には及びませんが、出来は良い方でしたので、なれたのではないかと周りは言っておりました。ですが、そんなに簡単なものではないと伝えておりました」
サリーとルアンナは、同じ年で同じ侯爵家。ルアンナはその言葉を真に受けて、上には上がいることを知らずに、サリーに当たったのだろう。
「無理だとハッキリと言ったことはあるか?」
「はい、ございます。子どもの頃は、向上心を奪うのではないかと、ハッキリ伝えるのも可哀想だと思っておりましたが、学園に入る前頃でしょうか、絶対に無理だとしっかり伝えたことがあります」
「なるほどな、それでサリーに食って掛かったのかもしれない」
「あっ、ああ、申し訳ございません!」
日付を見れば、学園に入ってすぐ辺りとなっている。あまり関わることのなかったサリーを見付けて、発言をしたのだろう。
「例えば、サリーがいなければなどと思うような娘か?」
「これを読んだ後では、思考は持っていると考えていいと思います」
「さすが、王太子妃教育の担当だな」
「恐れ入ります…」
「ルイソード殿もこのことを知れば、気分が悪いだろう。正直、穏便に済ませたいが、サリーは代理をして欲しいのであって、謝罪は受け入れない」
殿下がサリーの様子を見る限り、代理をさせることが目的で、自ずと罰を受けることにはなっているが、罰して欲しいわけではないのだと分かった。
「はい…娘はどうして私なのか本当に分からないと、私には申しておりましたが、分かっていたのでしょう。ルイソード様にもまだ話していないと申しておりました。問いただして、許されなくとも謝罪させます。勿論、私も共に罰を受けます」
「いや、おそらくそうではない。夫人が辞することも、罰されることも望んでいない。相応しいと言った責任の問題なのだ」
「娘に責任を取らせるということでしょうか」
「ああ、まさにそうだ。発言の責任、それがサリーの要求なのだよ。娘は代理をすることは可能か?」
サリーが謝罪で取り下げるとは思えない、グリズナー夫人は仮病と、出れないということで下げることになったが、ミアローズになっただけであった。そして、今回はミアローズではなく、ルアンナになっている。同様の発言をした者、全てに代理をさせることがやはり目的なのだろうか。
「分かりません、調べてみるから落ち着きなさいと話をしただけでございます。語学もノワンナ語は出来ますが、アペラ語とカベリ語は読み書きは多少出来ますが、話すのは挨拶程度でございます」
「そうか、どうしたものか。私はあまりルイソード殿と親しくはないのだが、どのような方だ?」
「真面目な方です、許すことは出来ないかもしれません」
「離縁などになるのは、私も本意ではない。本人を連れて行くべきか」
「ルアンナを連れて、責任を取らせます」
「分かった」
アズラー夫人の全てを信じることは出来ないが、ミアローズと違って、謝罪をしないという選択肢はないだろう。
「あと、これは単に興味なのだが、アズラー夫人は王妃になる気があったのか?」
「いいえ、滅相もございません。確かに正妃の試験は受けました、私だけではなく、数名受けております。その上で、王妃様が選ばれたのです」
「だが、側妃の打診があったのではないか」
「それはございましたが、お受けしませんでした」
「そうか。母上が妨害したのではないかと、一度、聞いてみたかったのだ」
「王妃様から、そのようなことはございません」
感想
あなたにおすすめの小説
私が使うはずだった部屋に病弱令嬢を寝かせた婚約者とは、白紙に戻します
さんけい王家の意向で進められた婚約。
リーゼロッテ・エーレンフェルトは、婚約者ヒューバート・ラドクリフの屋敷を訪れた日、婚礼後に自分が使うはずだった部屋で、病弱な男爵令嬢アネットが眠っているのを見る。
「君なら分かってくれると思った」
ヒューバートはそう言った。
けれどリーゼロッテが問いたいのは、アネットが可哀想かどうかではない。
弱い方を助けるために、なぜ私の部屋を使ったのですか。
なぜ私の席を、あなたの優しさのために差し出したのですか。
部屋、席、茶会、呼び名。
少しずつずらされた扱いを、リーゼロッテは一つずつ確認していく。
善意を理由に他人の場所を使う婚約者とは、白紙に戻します。
※初日以外は6時・17時の更新といたします。
私のことはお気になさらず
みおな 侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
どうぞお好きになさってください
みおな学園に入学して一ヶ月。
婚約者の第一王子殿下は言った。
「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕はひとりの男として自由に過ごしたい」
公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。
「好きになさればよろしいわ」
彼女の離縁とその波紋
豆狸夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな 私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。