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無敵
いくら思い返しても、サリーは問い、確認することはあっても、責めるようなことは一度も言わなかった。
幼い頃のサリーは、お喋りな子だった。この前こんなことがあった、こんな本を読んだなど、それが成長するにつれ、他愛ない話をしなくなった。それもそのはずだ、私の反応が悪くなったからだろう、私も語学と王太子教育で疲れており、口には出していないが、くだらないと思うようになり、『コルボリット』の話でようやく、自分がまともに話を聞いていなかったことに気付いたほどだ。
サリーにもお見通しだったのだろう、結婚後、いや、結婚前から、必要外の会話は一切なくなった。少しずつ、期待しなくなり、見限っただけのこと。
ルアンナ・アズラーは例外だが、男なのだからと馬鹿な免罪符して、後腐れのない相手と関係を持った。もちろんサリーに酷い扱いをするようなことはなく、優しくしながら、結婚までの本当にお遊びだった。
匂わせていた者いたが、弁えているだろうと勝手に思い込み、エマ・ネイリーのように直接騒ぎを起こす者はいなかったと思っていた。でもそうではなかった。関係を持ったことで、可能性を持ってしまったのだろう。
ははは、私は何と愚かで、自己満足だったのだろう。そんな者と本来は子どもなんて作りたくもなかっただろう。
あの時、止めなかったら出て行っただろう。子どもは必ず大事にされる状況であり、捨てたとされたとしても、恨まれても、悪者にすらなっても良かったのだろう。私に身勝手な自由はあっても、サリーに王宮でも侯爵家でも自由はなかった。
後悔しないか…後悔しかない。
リール殿下とクリコットは明かりを付けようとも思えず、薄暗い部屋がお似合いの心境であった。そして、殿下は深く息を吐いた。
「サリーは万全の状態だったからこそ、報復を始めたのかもしれないな。その引き金を引いたのは紛れもない私だ。嘘を付き、後悔しないと言い、サリーはきちんと聞いてくれていたにも関わらずだ。たった六歳で、才女として王太子の婚約者に選ばれてしまい、だがサリー・ペルガメントとしても、王太子妃としても力を知らしめ、次代となる王子を産み、正直、今のサリーは無敵だ。陛下はともかく、母上や私より価値がある」
「言い過ぎではありませんか」
「どこがだ?知っているか?私が側妃を娶った際に、サリーが離縁するのではと、他国が揺れたそうだ」
「っな、まさか…」
「妃として欲しい国、正妃と離縁してでも欲しい国。でなくても人材として欲しい国。サリーはそれほどまでに優秀なのだよ」
殿下は常々実感していたが、クリコットは優秀さは知っていたが、サリーとは関りが薄く、他国にまで影響力があるとは思っていなかった。
「ルアンナの次はカリー・カイサックだった」
「あの、年齢詐称疑惑の男爵令嬢」
クリコットはグリズナー夫人が、閨の教育担当だったことは知らなかったが、その後の殿下の女性関係は側近として知っている。何度も苦言も呈していた。
カリー・カイサックは一つ年下ながら、豊満な身体の持ち主であった。クリコットは出生を調べようとしたほど、成熟さを醸し出していた。
「ああ、彼女は一回だけだったが、それでも知っていたのだ。あとマリーズ・ヒルダが亡くなっていたそうだ、知っていたか?」
「マリーズ?ああ、そうだったのですか、私は知りませんでした。殿下が忙しくなって、押し掛けて来たのを対応しただけですので」
帝国に行く前に殿下に会いたいと王宮に押し掛けていたが、まさか帝国に行くのも嘘だったとは。
「そうだったな、サリーに何か言っていてもおかしくはなかったのか。性病で死んだそうだ、下半身が縮こまったよ。サリーの閨の前は、念入りに何日も前から調べられたのは、疑われていたからだったようだ」
「…それは、何と言うか」
「自業自得、そしてサリーからすれば当たり前の行動だよ。今日はもう、私の許容範囲を超えているから、明日一緒に読んで貰えるか」
「はい、承知しました。濃いコーヒーを用意させます」
「頼む」
幼い頃のサリーは、お喋りな子だった。この前こんなことがあった、こんな本を読んだなど、それが成長するにつれ、他愛ない話をしなくなった。それもそのはずだ、私の反応が悪くなったからだろう、私も語学と王太子教育で疲れており、口には出していないが、くだらないと思うようになり、『コルボリット』の話でようやく、自分がまともに話を聞いていなかったことに気付いたほどだ。
サリーにもお見通しだったのだろう、結婚後、いや、結婚前から、必要外の会話は一切なくなった。少しずつ、期待しなくなり、見限っただけのこと。
ルアンナ・アズラーは例外だが、男なのだからと馬鹿な免罪符して、後腐れのない相手と関係を持った。もちろんサリーに酷い扱いをするようなことはなく、優しくしながら、結婚までの本当にお遊びだった。
匂わせていた者いたが、弁えているだろうと勝手に思い込み、エマ・ネイリーのように直接騒ぎを起こす者はいなかったと思っていた。でもそうではなかった。関係を持ったことで、可能性を持ってしまったのだろう。
ははは、私は何と愚かで、自己満足だったのだろう。そんな者と本来は子どもなんて作りたくもなかっただろう。
あの時、止めなかったら出て行っただろう。子どもは必ず大事にされる状況であり、捨てたとされたとしても、恨まれても、悪者にすらなっても良かったのだろう。私に身勝手な自由はあっても、サリーに王宮でも侯爵家でも自由はなかった。
後悔しないか…後悔しかない。
リール殿下とクリコットは明かりを付けようとも思えず、薄暗い部屋がお似合いの心境であった。そして、殿下は深く息を吐いた。
「サリーは万全の状態だったからこそ、報復を始めたのかもしれないな。その引き金を引いたのは紛れもない私だ。嘘を付き、後悔しないと言い、サリーはきちんと聞いてくれていたにも関わらずだ。たった六歳で、才女として王太子の婚約者に選ばれてしまい、だがサリー・ペルガメントとしても、王太子妃としても力を知らしめ、次代となる王子を産み、正直、今のサリーは無敵だ。陛下はともかく、母上や私より価値がある」
「言い過ぎではありませんか」
「どこがだ?知っているか?私が側妃を娶った際に、サリーが離縁するのではと、他国が揺れたそうだ」
「っな、まさか…」
「妃として欲しい国、正妃と離縁してでも欲しい国。でなくても人材として欲しい国。サリーはそれほどまでに優秀なのだよ」
殿下は常々実感していたが、クリコットは優秀さは知っていたが、サリーとは関りが薄く、他国にまで影響力があるとは思っていなかった。
「ルアンナの次はカリー・カイサックだった」
「あの、年齢詐称疑惑の男爵令嬢」
クリコットはグリズナー夫人が、閨の教育担当だったことは知らなかったが、その後の殿下の女性関係は側近として知っている。何度も苦言も呈していた。
カリー・カイサックは一つ年下ながら、豊満な身体の持ち主であった。クリコットは出生を調べようとしたほど、成熟さを醸し出していた。
「ああ、彼女は一回だけだったが、それでも知っていたのだ。あとマリーズ・ヒルダが亡くなっていたそうだ、知っていたか?」
「マリーズ?ああ、そうだったのですか、私は知りませんでした。殿下が忙しくなって、押し掛けて来たのを対応しただけですので」
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「…それは、何と言うか」
「自業自得、そしてサリーからすれば当たり前の行動だよ。今日はもう、私の許容範囲を超えているから、明日一緒に読んで貰えるか」
「はい、承知しました。濃いコーヒーを用意させます」
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