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同士
ルイソードはサリーへの元を訪ね、二人は挨拶程度の関係で、向き合って、しっかり目にする妃殿下は、以前は芯の強さはあるものの、控えめな印象であった姿から、格段に風格が漂う姿になっていた。
「謝罪はなさらないでね、あなたに何も非はないのですから。離縁されたのですよね、代理をしていただければ、満足でしたのに。申し訳ないわね」
「いえ、それこそ妃殿下が謝罪することはありません。元夫としては大変心苦しく、遺憾であります」
「お聞きになったのですね、クリジアン様だけは権利があると思っておりましたから。ごめんなさいね、あの時に伝えなくて」
「いえ、それも妃殿下のせいではありません」
当時、知っていたらと思わなかったと言えば嘘にはなるが、だからと言って妃殿下を責めるものではない。
「そう言われるとそうなのだけど」
「見られた方がお辛かったと思います」
「まあ、そうね。あのルアンナが猫撫で声で、気持ち悪かったわね。ごめんなさい、聞きたくもないわよね」
「想像だけで吐き気がします。ですが、同時に妃殿下の心中をお察しします」
妃殿下が殿下をどう思っていたかは分からないが、婚約者と自分に暴言と暴力まで振るうルアンナの不貞を見て、不快にならないはずがない。
私ももしも見ていたらどうしただろうと考えたが、その場では責めずに証拠を集めて、冷静に婚約を解消しただろうと思った。
「その場で騒ぎ立ててみようかとも思ったのよ。でもね、そんなことをしてもと、諦める癖が付いていたんでしょうね。私の両親はどうにか取り成そうとするでしょうし、ルアンナは三ヶ国語が出来ないから、王家も期待できなかったの」
「そうだと思います」
妃殿下もルアンナが正妃にも側妃にも値しないと、ご存知だったようだ。そんな者に自分が相応しいなどと言われても、説得力がなかっただろう。
「そうしたら、エマ・ネイリーが現れて、私は希望を持ってしまったの」
「あの、エマ・ネイリーですか。優秀ではなかったと伺いましたが」
「ええ、でも代わりをしていたなどと言ったのよ?出来ると思うじゃない」
「妃殿下の代わりですか?出来るはずないではありませんか」
エマ・ネイリーとお見合いをした者は全員、酷かったと言っていたと聞いた。国内で妃殿下以上に語学が堪能で、他の学問も出来る者など聞いたことがない。論文や学術書の翻訳がいい例である。
「ただの嘘つきだったわ。だから結局は騒ぎ立てても、この有様よ。クリジアン様は婚約を解消したかった?」
「私は彼女に不満はありませんでしたが、彼女は不満だらけだったようですね。私は彼女というよりは、アズラー侯爵家を信用しておりましたから。ですが、今は娘がおりますから、そこだけは感謝しています」
「一つでもいいことがあったなら良かったわ。酷い親だったとしても、子どもは可愛い。私もそのことに気付き、自身の親は狂っていると改めて思ったわ」
ペルガメント侯爵夫妻は、良くも悪くも有名である。領地経営や、貿易などは有能であるが、新しいものや美しいもの、派手なことが好きで、夫妻で子どもを放って出掛けることも多く、関心がない。
ゆえに語学が堪能なサリーを通訳に連れて行くこともない、邪魔だからだ。子どもには必要なものを与えていればいい、そこに感情は皆無である。
サリーの兄・レオが長い間、留学させられていたのも、諦めたサリーとは違ってレオが意見するのが煩わしかったからである。
「一つだけ伺ってもいいですか」
「ええ、答えられることなら」
「彼女の暴言や暴力を伝えなかったのはなぜですか、こちらは不貞とは違います。それも諦めたのでしょうか」
「そうね、一つは私の狂った両親に標的にされると思ったの。ルアンナではなく、アズラー侯爵夫妻がね。お二人が誘導したというのなら、自業自得ではあるけど、そうではなかった。両親は私には興味がないけど、何かを理由にして、一生むしり取る質なの。もう一つは……死ぬ理由になるかなと思ったの」
「え」
思わず声が出ていた、アズラー侯爵夫人が言っていた、最悪の結末だ。
「謝罪はなさらないでね、あなたに何も非はないのですから。離縁されたのですよね、代理をしていただければ、満足でしたのに。申し訳ないわね」
「いえ、それこそ妃殿下が謝罪することはありません。元夫としては大変心苦しく、遺憾であります」
「お聞きになったのですね、クリジアン様だけは権利があると思っておりましたから。ごめんなさいね、あの時に伝えなくて」
「いえ、それも妃殿下のせいではありません」
当時、知っていたらと思わなかったと言えば嘘にはなるが、だからと言って妃殿下を責めるものではない。
「そう言われるとそうなのだけど」
「見られた方がお辛かったと思います」
「まあ、そうね。あのルアンナが猫撫で声で、気持ち悪かったわね。ごめんなさい、聞きたくもないわよね」
「想像だけで吐き気がします。ですが、同時に妃殿下の心中をお察しします」
妃殿下が殿下をどう思っていたかは分からないが、婚約者と自分に暴言と暴力まで振るうルアンナの不貞を見て、不快にならないはずがない。
私ももしも見ていたらどうしただろうと考えたが、その場では責めずに証拠を集めて、冷静に婚約を解消しただろうと思った。
「その場で騒ぎ立ててみようかとも思ったのよ。でもね、そんなことをしてもと、諦める癖が付いていたんでしょうね。私の両親はどうにか取り成そうとするでしょうし、ルアンナは三ヶ国語が出来ないから、王家も期待できなかったの」
「そうだと思います」
妃殿下もルアンナが正妃にも側妃にも値しないと、ご存知だったようだ。そんな者に自分が相応しいなどと言われても、説得力がなかっただろう。
「そうしたら、エマ・ネイリーが現れて、私は希望を持ってしまったの」
「あの、エマ・ネイリーですか。優秀ではなかったと伺いましたが」
「ええ、でも代わりをしていたなどと言ったのよ?出来ると思うじゃない」
「妃殿下の代わりですか?出来るはずないではありませんか」
エマ・ネイリーとお見合いをした者は全員、酷かったと言っていたと聞いた。国内で妃殿下以上に語学が堪能で、他の学問も出来る者など聞いたことがない。論文や学術書の翻訳がいい例である。
「ただの嘘つきだったわ。だから結局は騒ぎ立てても、この有様よ。クリジアン様は婚約を解消したかった?」
「私は彼女に不満はありませんでしたが、彼女は不満だらけだったようですね。私は彼女というよりは、アズラー侯爵家を信用しておりましたから。ですが、今は娘がおりますから、そこだけは感謝しています」
「一つでもいいことがあったなら良かったわ。酷い親だったとしても、子どもは可愛い。私もそのことに気付き、自身の親は狂っていると改めて思ったわ」
ペルガメント侯爵夫妻は、良くも悪くも有名である。領地経営や、貿易などは有能であるが、新しいものや美しいもの、派手なことが好きで、夫妻で子どもを放って出掛けることも多く、関心がない。
ゆえに語学が堪能なサリーを通訳に連れて行くこともない、邪魔だからだ。子どもには必要なものを与えていればいい、そこに感情は皆無である。
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「え」
思わず声が出ていた、アズラー侯爵夫人が言っていた、最悪の結末だ。
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