【完結】愛とは呼ばせない

野村にれ

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番外編1

ルアンナ・アズラー13

 ルアンナは風呂と着替えだけさせてもらい、クリジアン公爵邸を目指した。

「ルアンナ・アズラーです。シュリアに会いに来ました」
「お約束のない方はお通し出来ません」
「会えるまでここで待ちます」
「そのようなことをされては困ります、通報することになります」

 ルイソードは別れて以来、初めてルアンナを見た。年は取ったが、変わりない姿に呆れるしかなかった。

「シュリアの母親なのですよ」
「はあ、何をしている!」
「ルイ!久し振りね、シュリアに会いに来たの」

 シュリアは既に嫁いでいたが、ルアンナには知らされていない。

「会わせることは出来ない。二度と会いたくないと言っているからな」
「誤解よ!誤解があったの、会えば分かるわ」
「誤解はない、会うことはない。以上だ、これ以上騒げば、拘束することになる」
「っえ、待って、まだ怒っているの?」
「怒ってはいない、呆れているだけだ。このまま騒ぐか?牢に入れることになるぞ」
「やっぱり怒っているのね、悪かったと思っているわ。でも妃殿下も死んだじゃない、もう過去のことでしょう?」
「拘束しろ」

 ルアンナは抵抗するも、敵うはずもなく、そのまま口を塞がれて拘束され、平民の牢に入れられた。

「何よここ!私はアズラー侯爵家の人間よ」
「いいえ、既に籍を抜かれていると聞いています」
「っえ、でもこんなところに入れたら後悔するわ」
「平民は平民牢、当たり前です」

 それでも一人一部屋の牢で、ルアンナはアズラー侯爵家に連絡をしてと言い張ったが、三日間で力を使い果たしたらしく、さめざめと泣くようになった。

 三日後、移動すると言われて、拘束され、身一つで送られたのは北の修道院であった。両親も、もちろんシュリアも会いに来ることはなかった。

 北の修道院は酷い環境ではない、ただ冬の寒さを乗り越えなくてはならない。日々の生活に加えて、薪を集めたり、食料を確保したり、皆で力を合わせる。だからこそ、アズラー侯爵家は北の修道院を選んだ。

「私はこのようなことをするような立場ではありません」

 そう言うと、誰もルアンナを世話をする気はないので、最低限しか関わらない。服は自身で洗わなければ、ずっと同じ物を着なければならないため洗濯を覚え、風呂も手伝わなければ入れないと渋々手伝う。食事もアズラー侯爵家の寄付によって、食事は決められた物は食べることが出来る。

 手紙も月に一通だけ送ることが許可されている。ルアンナはアズラー侯爵家、クリジアン公爵家に送ったが、返事は誰からも来ることはない。

 ルアンナが修道院に来た時期は暖かい方だったが、寒くなると準備した者たちは、薪で暖を取ることが出来たが、ルアンナは何もしていないので、寒い部屋のまま、温かい食べ物もない。

「私もスープをいただきたいの」
「これは冬に向けて、準備をした者だけが食べられるものです。あなたはしないと言ったでしょう」
「今度はちゃんと手伝うから、私にも、ねっ」
「既に今年は準備を終えています、今度はありません。最初に説明をしたはずです」
「でも理解していなかっただけなの、だからお願い」
「いいえ、理解していなくとも、説明をしてサインをしたはずです」

 その冬は何とか乗り越え、暖かくなると結局、日々のことだけで、ルアンナはまた手伝うことをしなかった。おかげで二年目の冬に、高熱から肺炎になり、隔離された部屋で、苦しみながら一人ぼっちで亡くなった。

「シュリア、お父様、お母様…どうして…」

 アズラー侯爵家に知らせが届くと、両親は大きな息を吐き、空を見上げた。もうルアンナについて何も言うことはなかった。

 ルアンナは結局、シュリアが結婚し、その後に子どもを産んでいたことも知らないまま、亡くなった。サリーが亡くなって、二年後のことであった。


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お読みいただきありがとうございます。

これにてようやくルアンナ編、終了です。
また長くなって申し訳ありません。
次は年齢詐称疑惑だったカリー・カイサックを書いていきます。

よろしくお願いいたします。

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