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番外編1
カリー・カイサック9
「ああ、正妃よりはレベルは下がるだろうけど、側妃も一通り話せないとならない。君の母国でやらかしがあっただろう」
「側妃見習いですか」
「そうそう、うちでも過去にあったからね。正妃は無理でも側妃なら入り込めると思った愚か者がね。そんな簡単になれる立場ではないのに、王太子を篭絡すれば、自ずとなれると思っていた者が現れるんだよ」
王太子妃になれるなんて本気で思っていたわけではないが、一度関係を持たことで、もしかしたらとは思ったことはある。
「言葉だからね、誤魔化しようがない。君も話せないのに、話せる振りは出来ないだろう?」
「…はい」
時を経て、ようやく妃殿下の言った意味が分かった。お前は三ヶ国語が話せるのかという意味だったのだろう。それを男女の話などと、さぞ滑稽に見えただろう。
それから、カリーはノワンナ語を積極的に学んだ。それでも発音はまだ顔を顰められるレベルだ。
娼婦を続けながら、お金も余裕が出来たので、五年振りに母国に帰ることにした。鬘と化粧も薄く、変装をして向かった。
一番気になっていたのは、カックスの商家だった。同じ場所に同じように存在しており、ホッとした。コーエンが言ったことは嘘だったのか、大袈裟だったのか、でもカックスは戻って来るなと言い、コーエンも面倒を看てはくれなかった。どちらにせよ、居場所はなかった。
実家を見に行くと、あるにはあったが、知らない人ばかりで、あなたと呼ぶ声の女性も知らない人だった。売ったのかもしれない。落ちぶれたのかもしれないが、ざまあみろという気持ちにはなれなかった、慰謝料で傾いた可能性もある。
子爵家には怖くて近づけなかった。結婚して子どもがいる姿を見たくないのではなく、軽蔑の眼差しが怖かったからだ。
あれから何があったか知りたいと思い、小さな図書館に行った。フアラ王国では、ノワンナ語で書かれているため、全く読めなかったのだ。
貴族名鑑にカイサックの名前も、ロイル子爵も変わらずあり、再びホッとした。一年ずつをまとめた新聞には、ルアンナ、ミンアが離縁したことが書かれていた。カリーのことも小さく書かれていた。そして、キイスの再婚も書かれており、思い出さないようにしていたが胸が痛んだ、知らない令嬢だった。
そして、カックスの商家はコーエンの言った通り、何度も廃業かと書かれていたが、持ち直したようだった。二度と合わせる顔がない。
カリーは責任を感じ、自身が身を寄せたせいではあったのだが、カックスはカリーを追い出した時、そこまで深刻だとは思っていなかった。だが、どんどん売り上げが落ちて行き、ようやくカリーの恨むことになった。公に文句を言うことはないが、親しい者には愚痴を言っていたので、会わなくて正解だっただろう。
そして、どの年の新聞にも妃殿下のことは書かれている。絵本が賞を貰ったことから、コルボリットの翻訳国がまた増えたこと、おかげで貿易が拡大したこと、国際会議出の様子、そして犬を飼い始めたことですら、大きく載っている。敬われ愛される存在、それがサリー王太子妃殿下であると、感じずにはいられなかった。
清さなど要らない、求められる女性こそが魅力的だと思っていた。でも結婚を考えた時、そうではないことが分かった。愛人志望だったら良かったのだろう。その一瞬輝けば幸せならば、ここにはいなかった。でもどちらが良かったかは分からない。
いや、周りからどう見えるか利用せず、生きていれば違っただろう。
カイサック男爵は存在していたが、カリーを追い出した後で、男爵は王家に謝罪と爵位を返上したいと申し出ていた。カリーのことならば、籍を外せば無関係だろうと、咎められることはなかった。どこに行ったのかも分からず、カックスがやって来て、損害賠償を求められたが、娘はいないと追い返した。
淡々とした男爵だったが、娘を自由にさせ過ぎた責任はあるが、慰謝料もしっかり払い、夫妻で謝罪をし、自分たちなりに責任を負って来た。だからこそ、爵位を返上まで決めたのだが、動かしていたのは王太子殿下であったからだ。
「側妃見習いですか」
「そうそう、うちでも過去にあったからね。正妃は無理でも側妃なら入り込めると思った愚か者がね。そんな簡単になれる立場ではないのに、王太子を篭絡すれば、自ずとなれると思っていた者が現れるんだよ」
王太子妃になれるなんて本気で思っていたわけではないが、一度関係を持たことで、もしかしたらとは思ったことはある。
「言葉だからね、誤魔化しようがない。君も話せないのに、話せる振りは出来ないだろう?」
「…はい」
時を経て、ようやく妃殿下の言った意味が分かった。お前は三ヶ国語が話せるのかという意味だったのだろう。それを男女の話などと、さぞ滑稽に見えただろう。
それから、カリーはノワンナ語を積極的に学んだ。それでも発音はまだ顔を顰められるレベルだ。
娼婦を続けながら、お金も余裕が出来たので、五年振りに母国に帰ることにした。鬘と化粧も薄く、変装をして向かった。
一番気になっていたのは、カックスの商家だった。同じ場所に同じように存在しており、ホッとした。コーエンが言ったことは嘘だったのか、大袈裟だったのか、でもカックスは戻って来るなと言い、コーエンも面倒を看てはくれなかった。どちらにせよ、居場所はなかった。
実家を見に行くと、あるにはあったが、知らない人ばかりで、あなたと呼ぶ声の女性も知らない人だった。売ったのかもしれない。落ちぶれたのかもしれないが、ざまあみろという気持ちにはなれなかった、慰謝料で傾いた可能性もある。
子爵家には怖くて近づけなかった。結婚して子どもがいる姿を見たくないのではなく、軽蔑の眼差しが怖かったからだ。
あれから何があったか知りたいと思い、小さな図書館に行った。フアラ王国では、ノワンナ語で書かれているため、全く読めなかったのだ。
貴族名鑑にカイサックの名前も、ロイル子爵も変わらずあり、再びホッとした。一年ずつをまとめた新聞には、ルアンナ、ミンアが離縁したことが書かれていた。カリーのことも小さく書かれていた。そして、キイスの再婚も書かれており、思い出さないようにしていたが胸が痛んだ、知らない令嬢だった。
そして、カックスの商家はコーエンの言った通り、何度も廃業かと書かれていたが、持ち直したようだった。二度と合わせる顔がない。
カリーは責任を感じ、自身が身を寄せたせいではあったのだが、カックスはカリーを追い出した時、そこまで深刻だとは思っていなかった。だが、どんどん売り上げが落ちて行き、ようやくカリーの恨むことになった。公に文句を言うことはないが、親しい者には愚痴を言っていたので、会わなくて正解だっただろう。
そして、どの年の新聞にも妃殿下のことは書かれている。絵本が賞を貰ったことから、コルボリットの翻訳国がまた増えたこと、おかげで貿易が拡大したこと、国際会議出の様子、そして犬を飼い始めたことですら、大きく載っている。敬われ愛される存在、それがサリー王太子妃殿下であると、感じずにはいられなかった。
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いや、周りからどう見えるか利用せず、生きていれば違っただろう。
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淡々とした男爵だったが、娘を自由にさせ過ぎた責任はあるが、慰謝料もしっかり払い、夫妻で謝罪をし、自分たちなりに責任を負って来た。だからこそ、爵位を返上まで決めたのだが、動かしていたのは王太子殿下であったからだ。
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