【完結】聖女の在り方

野村にれ

文字の大きさ
59 / 95

衝撃1

 姉妹の関係は難しいことになったが、いずれホーリーはどこかに嫁ぐ。そうすれば、きっとどちらだったとしても、イリアが次代を繋げば大丈夫と思っていた。

 ドゥエンス公爵家からの婚約の申し込みには驚いた。聖女の血筋だということを重要視されていると知り、嫌な汗が背中に流れた。

 サント王国で何か調べる方法があったら、もしも違ったらどうすればいいのかと、あれから心臓がバクバクしていた。

 だが、認められないだろうと聞き、安堵していた。

 ゆえに今日、お義父様とシールドが王宮に呼ばれて、何を言われているのか、誰よりも緊張していた。それなのに、何も聞かされないまま、連れて来られて、気が気ではなかった。

 そして、悪いことはいつか暴かれるのだと、実感していた。

「戻れと声を聞いたなど、どれだけ愚かなことをしたか分かっているのか?」
「っ、申し訳ございません」
「謝って済むことではない。嘘をついて、神はお怒りであった」
「っ」

 リリカは信じてもらうために、聖女らしいことを言わなければと焦って、ついた嘘であり、さすがに苦しくなり首をだらりと、折り曲げた。

「これからは、牢で過ごしてもらう」
「っ、はい……」

 とりあえず、まだやることはあるために、今日はここまでとした。これから正確な話を聞き、その上で罰を下さなくてはならない。

 リリカは大人しく牢に連れて行かれて、続いてホーリーにはギルクとクリーナが、コロゾ子爵夫妻にはリチア公爵が話をすることになった。

 ギルクとクリーナの前には、ホーリーが連れて来られた。

「これから大事な話をしなくてはならない。そなたにとっては辛いことになるだろうが、すぐにではなくとも、受け入れてもらうしかない」

 シュークとの婚約だと思っている、ホーリーは許可されないのだと思い、焦った。

「嫌です!お願いですから、婚約を認めてください!どうしても嫁ぎたいのです!お願いします!」

 ホーリーはそう言って、二人に向かって頭を下げた。

「落ち着きなさい、その話はどうなるかはあちら次第になるだろう」
「え、どういうことでしょうか」
「これから話すことは、婚約のことではない」
「えっ」
「落ち着いて聞きなさい。君のこれからを大きく変えることになる」

 ギルクとクリーナも、大袈裟ではないほどに前置きをしてからでも、ホーリーにはこの衝撃は耐えられないだろうと理解していた。

「婚約のことではないのにですか?」
「そうだ、本来ならデリケートな話になるために、家族から聞いた方がいいのだろうが、我々が託されたことであるゆえに、伝えることになった。婚約のことも、いずれ関わっては来ることになるだろう」
「は、い」

 まだ何も想像しておらず、早く何なのか話して欲しいと思っていた。

「ホーリー、そなたはシールドの子どもではないことが分かった」

 ホーリーは目が点という顔で、静止していた。

「………………え」
「驚くのも無理もないだろうが、そなたはマリアール侯爵家の血筋ではなかったということだ。既に養子の事実も撤回された」
「う、そ……えっ、では私は一体誰の子だというのです?お母様の子でもないのですか?」
「いや、リリカの子ではある」
「じゃあ、えっ、父親は……父親は、誰なんですか」
「すまないが、我々も事実が明らかになったばかりでな。まだこれから調べなくてはならないために、父親のことは後日、説明を行うことになる」

 エバンジー・ジッソワードのことは、これから当面は限られた者しか会えないリリカには話したが、ホーリーにはまだ話すわけにはいかない。

「えっ、じゃあ、待ってください。私の婚約は、婚約はどうなるのですか!」

 リリカはパニックではあったが、頭に婚約のことしかなかったために、思わず叫んでいた。

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私は善意に殺された・完結

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]

風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは アカデミーに入学すると生活が一変し てしまった 友人となったサブリナはマデリーンと 仲良くなった男性を次々と奪っていき そしてマデリーンに愛を告白した バーレンまでもがサブリナと一緒に居た マデリーンは過去に決別して 隣国へと旅立ち新しい生活を送る。 そして帰国したマデリーンは 目を引く美しい蝶になっていた

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開