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懸念
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「それでも、当主はメリーナ嬢になる。自分は相応しくないのにと、ずっと考えるかもしれない。それを侯爵様も心配されているという意味だよ」
「勉強だって全く出来ないわけではないではありませんか」
メリーナは侯爵令嬢としては、劣ると言われる不甲斐ない成績だが、全体を見れば平均の位置にいる。
努力もしているし、ずっと勉強をしている姿だって見ている。
「私も勉強が全てではないと思う、だが当主となれば色々やらなくてはいけない。それなのに、自分よりエンバーの方が上手くやれることがお辛くなるかもしれない」
「そんな!だったら私が努力などしても意味がなかったじゃないですか…」
「そんなことはない」
「婚約が出来ないのなら、無意味です!」
そのまま制止も聞かず、エンバーは席を立ってしまった。
こうなるのではないかとは思っていた、だがどうにかなるものではないことを、時間を掛けてでも受け入れて貰うしかない。
翌日、エンバーは直接、メリーナに聞くしかなかった。
「どうして婚約してくれないのか、教えて欲しい」
「私はあなたとは、婚約しないというだけです」
「なぜだい?他に好きな人がいるのかい?」
「そうだと言ったら?」
「でも、メリーナが仲良くしている令息なんて…いないだろう」
メリーナの周りに令息はいても、友人の婚約者であったりと、婚約者のいない令息はいなかった。
「そうね」
「爵位かい?」
「ええ、それもあります。私は当主にはなれませんもの」
「だから、私が支えて」
「それでは私が当主になる意味がありません」
「そんなことはない!僕は、メリーナと結婚したいんだ」
エンバーはつい一人称が僕になるほど、思いを告げたつもりだったが、メリーナは真逆の反応であった。
「私たちは貴族です、家のために生きなくてはなりませんわ」
「それだけじゃないだろう」
「いいえ、親しくしていただいてありがとうございました。ですがこれからは距離を置きましょう。私のためにも、エンバー様の今後のためにもなりませんわ」
メリーナに避けられるようになったエンバーは、すっかりやる気をなくし、荒れたりすれば注意のしようもあったが、どこかぼんやりしていることが増えた。
婿養子の欲しい令嬢たちは、こぞって話し掛けていたが、エンバーは心ここにあらずであった。
実際に申し込みを行った家もあったが、断られている。
リークスはしばらくはエンバーをそっとしていたが、話を聞こうと部屋を訪ねた。
「兄さん…」
「受け入れるのには時間が掛かるだろうけど、前を向いて欲しい」
「…うん」
「誰も悪くないだろう」
メリーナだって、当主になれないと自分の能力を考えて、判断しており、それをエンバーを支えにして、当主になって欲しいなどとは言えない。
「でも、どうしても諦められないんだ…どこか苦しそうなメリーナを笑わせたかったんだ」
「苦しそう?」
リークスはメリーナのことをそんな風に思ったことはなかったが、幼い頃から喜怒哀楽を素直に表せる少女ではなかったことは確かである。
「メリーナはどこか生き辛そうだと、子どもの頃は言葉にするのが難しかったけど、今考えれば、ずっと思っていたんだと思う」
「エンバーはそう思っていたんだな」
「何がそうさせているのか分からないけど、辛そうにしているように感じていて」
「聞いたことはないのか?」
「あるよ、でもどうにもならないことだからとしか答えてくれなくて」
「そうか」
言っても仕方ないことでも、エンバーは聞きたかったのだろう。
「勉強だって全く出来ないわけではないではありませんか」
メリーナは侯爵令嬢としては、劣ると言われる不甲斐ない成績だが、全体を見れば平均の位置にいる。
努力もしているし、ずっと勉強をしている姿だって見ている。
「私も勉強が全てではないと思う、だが当主となれば色々やらなくてはいけない。それなのに、自分よりエンバーの方が上手くやれることがお辛くなるかもしれない」
「そんな!だったら私が努力などしても意味がなかったじゃないですか…」
「そんなことはない」
「婚約が出来ないのなら、無意味です!」
そのまま制止も聞かず、エンバーは席を立ってしまった。
こうなるのではないかとは思っていた、だがどうにかなるものではないことを、時間を掛けてでも受け入れて貰うしかない。
翌日、エンバーは直接、メリーナに聞くしかなかった。
「どうして婚約してくれないのか、教えて欲しい」
「私はあなたとは、婚約しないというだけです」
「なぜだい?他に好きな人がいるのかい?」
「そうだと言ったら?」
「でも、メリーナが仲良くしている令息なんて…いないだろう」
メリーナの周りに令息はいても、友人の婚約者であったりと、婚約者のいない令息はいなかった。
「そうね」
「爵位かい?」
「ええ、それもあります。私は当主にはなれませんもの」
「だから、私が支えて」
「それでは私が当主になる意味がありません」
「そんなことはない!僕は、メリーナと結婚したいんだ」
エンバーはつい一人称が僕になるほど、思いを告げたつもりだったが、メリーナは真逆の反応であった。
「私たちは貴族です、家のために生きなくてはなりませんわ」
「それだけじゃないだろう」
「いいえ、親しくしていただいてありがとうございました。ですがこれからは距離を置きましょう。私のためにも、エンバー様の今後のためにもなりませんわ」
メリーナに避けられるようになったエンバーは、すっかりやる気をなくし、荒れたりすれば注意のしようもあったが、どこかぼんやりしていることが増えた。
婿養子の欲しい令嬢たちは、こぞって話し掛けていたが、エンバーは心ここにあらずであった。
実際に申し込みを行った家もあったが、断られている。
リークスはしばらくはエンバーをそっとしていたが、話を聞こうと部屋を訪ねた。
「兄さん…」
「受け入れるのには時間が掛かるだろうけど、前を向いて欲しい」
「…うん」
「誰も悪くないだろう」
メリーナだって、当主になれないと自分の能力を考えて、判断しており、それをエンバーを支えにして、当主になって欲しいなどとは言えない。
「でも、どうしても諦められないんだ…どこか苦しそうなメリーナを笑わせたかったんだ」
「苦しそう?」
リークスはメリーナのことをそんな風に思ったことはなかったが、幼い頃から喜怒哀楽を素直に表せる少女ではなかったことは確かである。
「メリーナはどこか生き辛そうだと、子どもの頃は言葉にするのが難しかったけど、今考えれば、ずっと思っていたんだと思う」
「エンバーはそう思っていたんだな」
「何がそうさせているのか分からないけど、辛そうにしているように感じていて」
「聞いたことはないのか?」
「あるよ、でもどうにもならないことだからとしか答えてくれなくて」
「そうか」
言っても仕方ないことでも、エンバーは聞きたかったのだろう。
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