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【テイラー】教会3
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「気持ちを変えないかと、爵位を継がすまで生きているだろうと思ったんだが、本当にそうなってしまったな」
アンデュースも当日に命を断つとは思わなかった。
だが、時間が経っても、二人の気持ちは変わらなかった。今日だと決めていたんだろうと、受け入れることにした。
「夫人はイオリクを謝罪もできない、人の皮を被った化け物を産んでしまったと言っていたよ。顔を見るのも嫌だと、顔も合わせていないと言っていた」
「オイワード公爵家の考え方もあったと思います」
ベイシクはイオリクが悪いこともあるが、オイワード公爵家、両親の考えが関係ないとは言えないと思っていた。
「そうだな、お前はよく分かっているだろう」
「はい……」
「継ぐ気はなかったのだろう?」
「はい」
「ディオエルもそう思っていたようだよ」
「そうでしたか」
連れ戻されたくなかったために、まだ戻れないと言っていたが、両親がイオリクに継がせると言い出すのを待っていた。
ディオエルにも見透かされていたのかと思うと、何とも言えない気持ちになった。
「イオリクは平民になれば、恨んでいる者も多いから、殺されて終わりだろう?格好の餌食になって、死んだかも分からない可能性が高い」
「はい」
「もし分かったとしても、皇帝陛下の番を殺して、皇帝陛下を殺して、大して罪に問われない気持ちがようやく分かったか!となっても、その時点でイオリクは死んでいるんだ。苦しむわけではない。私は落ちぶれて、行き恥を晒した上で、死んで欲しいと思っている」
「はい」
アンデュースもイオリクに生きて欲しいなど建前で、生きるか死ぬかと言われたら、死ねばいいとしか思えない。
「ご両親から預かったテイラー様への慰謝料は、ミリオン王国と相談をして、竜帝国の番や子どものことで苦しんでいる者に使うことになり、寄付を行った」
「そうでしたか、ありがとうございました」
口を出すことではないと思っていたが、何か謝罪が形になっていたことは少し救われた気持ちになった。
「ああ、そうだ!毒が分かったんだよな?」
アンデュースは来る前にライシードから、使った毒物が分かったと報告が上がって来たことを聞き、騎士団員もいることからこちらで聞こうと思っていた。
「はい、蛇の毒でした」
「どのようなものだ?」
「体の中に痛みが広がるような、少量で拷問に使う国もあるそうです。それを致死量、服用したのだろうとのことでした」
ベイシクは両親が楽に死ねるものではなく、苦しむ毒をあえて選んだのだと思い、胸が苦しくなった。
「蛇とはな」
「そうですね」
騎士たちも頷いており、ベイシクはどういうことなのだろうかと思ったが、聞けずにいた。
「テイラー様の種が蛇なんだよ」
「そう、だったのですか」
ミリオン王国は純血種というわけではないので、わざわざ公表するようなことはなく、気にすることもなかった。
「調べたのかもしれぬな……毒のルートは?」
「それは分からないようです」
「まあ、まともなところで買っていないだろうな」
「そもそも、誰かに頼んだのでしょう」
ベイシクは思わず執事を見たが、執事は神妙な顔で首を振った。
「疑ったわけではない」
「お二人は領地を謝罪と共に回っておりましたから、その際に伝手があったのかもしれません」
「そうか、まあ自害は間違いないからな」
イオリクの両親ということで、殺意を持たれた可能性はあるが、自害したのは疑いようがない。
「葬儀を許可する、しっかり弔ってあげなさい」
「ありがとうございます」
「オイワード公爵家にも、葬儀に関しては売るように話してあるから」
「感謝いたします」
これから墓石を扱う商家に頼み込みに行こうと思っていたが、相手にも迷惑を掛けずに済むと思い、心から感謝した。
アンデュースも当日に命を断つとは思わなかった。
だが、時間が経っても、二人の気持ちは変わらなかった。今日だと決めていたんだろうと、受け入れることにした。
「夫人はイオリクを謝罪もできない、人の皮を被った化け物を産んでしまったと言っていたよ。顔を見るのも嫌だと、顔も合わせていないと言っていた」
「オイワード公爵家の考え方もあったと思います」
ベイシクはイオリクが悪いこともあるが、オイワード公爵家、両親の考えが関係ないとは言えないと思っていた。
「そうだな、お前はよく分かっているだろう」
「はい……」
「継ぐ気はなかったのだろう?」
「はい」
「ディオエルもそう思っていたようだよ」
「そうでしたか」
連れ戻されたくなかったために、まだ戻れないと言っていたが、両親がイオリクに継がせると言い出すのを待っていた。
ディオエルにも見透かされていたのかと思うと、何とも言えない気持ちになった。
「イオリクは平民になれば、恨んでいる者も多いから、殺されて終わりだろう?格好の餌食になって、死んだかも分からない可能性が高い」
「はい」
「もし分かったとしても、皇帝陛下の番を殺して、皇帝陛下を殺して、大して罪に問われない気持ちがようやく分かったか!となっても、その時点でイオリクは死んでいるんだ。苦しむわけではない。私は落ちぶれて、行き恥を晒した上で、死んで欲しいと思っている」
「はい」
アンデュースもイオリクに生きて欲しいなど建前で、生きるか死ぬかと言われたら、死ねばいいとしか思えない。
「ご両親から預かったテイラー様への慰謝料は、ミリオン王国と相談をして、竜帝国の番や子どものことで苦しんでいる者に使うことになり、寄付を行った」
「そうでしたか、ありがとうございました」
口を出すことではないと思っていたが、何か謝罪が形になっていたことは少し救われた気持ちになった。
「ああ、そうだ!毒が分かったんだよな?」
アンデュースは来る前にライシードから、使った毒物が分かったと報告が上がって来たことを聞き、騎士団員もいることからこちらで聞こうと思っていた。
「はい、蛇の毒でした」
「どのようなものだ?」
「体の中に痛みが広がるような、少量で拷問に使う国もあるそうです。それを致死量、服用したのだろうとのことでした」
ベイシクは両親が楽に死ねるものではなく、苦しむ毒をあえて選んだのだと思い、胸が苦しくなった。
「蛇とはな」
「そうですね」
騎士たちも頷いており、ベイシクはどういうことなのだろうかと思ったが、聞けずにいた。
「テイラー様の種が蛇なんだよ」
「そう、だったのですか」
ミリオン王国は純血種というわけではないので、わざわざ公表するようなことはなく、気にすることもなかった。
「調べたのかもしれぬな……毒のルートは?」
「それは分からないようです」
「まあ、まともなところで買っていないだろうな」
「そもそも、誰かに頼んだのでしょう」
ベイシクは思わず執事を見たが、執事は神妙な顔で首を振った。
「疑ったわけではない」
「お二人は領地を謝罪と共に回っておりましたから、その際に伝手があったのかもしれません」
「そうか、まあ自害は間違いないからな」
イオリクの両親ということで、殺意を持たれた可能性はあるが、自害したのは疑いようがない。
「葬儀を許可する、しっかり弔ってあげなさい」
「ありがとうございます」
「オイワード公爵家にも、葬儀に関しては売るように話してあるから」
「感謝いたします」
これから墓石を扱う商家に頼み込みに行こうと思っていたが、相手にも迷惑を掛けずに済むと思い、心から感謝した。
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