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【アイルーン】最愛
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ただ、ディオエルと関係を持った翌日は決まって、食事を抜かれたり、掃除がされていないということはあったが、それでも最低限の世話はして貰っていた。
もっと酷い生活になることも覚悟していたが、番に何か異変があることで、ディオエルに何かあってはならないということを、竜帝国の歴史から知った。
殺されることはないのだろうと思うと、安堵と同時に、私に生きている意味はあるのだろうかと思う日もあった。
アイルーンは特に何か訴えることはなかったのだが、イオリク、ディオエルの乳母だというペジリーに、番は子どもを産むという役割だけを持った存在だと、何度も懇々と説明されることになった。
「番というのは愛される存在というのは表向きで、本当の意味は子どもを産む存在という意味です。勘違いしないように」
「はい」
時折、胸が痛むがアイルーンは気付かないようにしていた。
「愛する方の子どもが産めないなんて、どれだけ辛いことなのか。貴方にはお分かりにならないでしょう。番は役割なのです」
「はい」
デリア侯爵家にも、定期的に手紙を出すことになっており、恙なく過ごしていると書いていた。
結婚式は妃になってからと決まっているために、行われていない。
そして、アイルーンが竜王国に来て、八ヶ月が経つ頃、妊娠が確認された。毎夜毎夜、関係を持っていたわけではなく、子どもが出来やすい日にだけであった。
イオリクとペジリーは早くは孕めと言った口で、本来ならローズミーが産むべきなのにと名前を出される。
ローズミーに会うような事もなく、他の四人の妃にも会うこともない。
友人がいるわけではないので、出掛けることもない。
出来ることは、幸せになれると言ってくれた、ナビナとレイエンヌとミラニューが、こんな姿を見たらどう思うかしら?心を痛めるかしら?こんなふうに生きる道を選んだ、私を愚かだと言うだろうか?と考えるくらいだった。
手紙も中身を読まれている可能性が高いので、書くことも出来なかった。
そして、自分もマークと子どもが出来ずに、番が見付かって、番に子どもを求められていたら、こんなふうに思ったのだろうかと、心に黒い靄を感じた。
だが妊娠したことで、ディオエルはローズミーを、私は子どもを愛せばいいとホッとしていた。
居場所のない王宮で過ごす内に、ディオエルへの痛むような感情もなくなり、妊娠したことできっと母性へと移ったのだと思っていたが、アイルーンは自分の気持ちにも鈍感になっていただけであった。
竜種の子は強いから、妊娠は順調だと聞いていたが、アイルーンは目覚めると体が異様に倦怠感があったり、頭痛がすることも多く、医師には妊娠のせいだと説明されたが、妊娠が進むにつれて貧血も酷くなり、立っていられないこともあった。
それでも、この子だけは守らなくてはと、何とか妊娠六ヶ月を迎えていた。
ある夜、アイルーンは眠りながらも、気が遠くなり、目を覚ましたが、目は開かず、体もなぜか動かなかった。
それでも、三人の気配を感じ、声から誰なのかも分かった。
何をしているのかも、話していることから分かった。
そして、自分がこのまま亡くなるのだということも、冷静に理解が出来ていた。
どこにいても邪魔者は邪魔者でいい、殺されるのではないかという覚悟もしたこともあった。だから、アイルーンは消えてもいい。
でもお腹のこの子は何も悪くない。親の、いえ、竜王国の、竜帝の勝手で作られただけである。
だから、アイルーンは絶対に許さないことにした。
そして、強く気が遠くなる時、この子がここではないどこか幸せな場所に生まれ変わることを願い、私は二度とつがいの感覚など要らないと強く思った。
アイルーン・デリアは、僅か19歳で、最愛となる子どもを宿したまま、その生涯を終えた―――。
もっと酷い生活になることも覚悟していたが、番に何か異変があることで、ディオエルに何かあってはならないということを、竜帝国の歴史から知った。
殺されることはないのだろうと思うと、安堵と同時に、私に生きている意味はあるのだろうかと思う日もあった。
アイルーンは特に何か訴えることはなかったのだが、イオリク、ディオエルの乳母だというペジリーに、番は子どもを産むという役割だけを持った存在だと、何度も懇々と説明されることになった。
「番というのは愛される存在というのは表向きで、本当の意味は子どもを産む存在という意味です。勘違いしないように」
「はい」
時折、胸が痛むがアイルーンは気付かないようにしていた。
「愛する方の子どもが産めないなんて、どれだけ辛いことなのか。貴方にはお分かりにならないでしょう。番は役割なのです」
「はい」
デリア侯爵家にも、定期的に手紙を出すことになっており、恙なく過ごしていると書いていた。
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そして、アイルーンが竜王国に来て、八ヶ月が経つ頃、妊娠が確認された。毎夜毎夜、関係を持っていたわけではなく、子どもが出来やすい日にだけであった。
イオリクとペジリーは早くは孕めと言った口で、本来ならローズミーが産むべきなのにと名前を出される。
ローズミーに会うような事もなく、他の四人の妃にも会うこともない。
友人がいるわけではないので、出掛けることもない。
出来ることは、幸せになれると言ってくれた、ナビナとレイエンヌとミラニューが、こんな姿を見たらどう思うかしら?心を痛めるかしら?こんなふうに生きる道を選んだ、私を愚かだと言うだろうか?と考えるくらいだった。
手紙も中身を読まれている可能性が高いので、書くことも出来なかった。
そして、自分もマークと子どもが出来ずに、番が見付かって、番に子どもを求められていたら、こんなふうに思ったのだろうかと、心に黒い靄を感じた。
だが妊娠したことで、ディオエルはローズミーを、私は子どもを愛せばいいとホッとしていた。
居場所のない王宮で過ごす内に、ディオエルへの痛むような感情もなくなり、妊娠したことできっと母性へと移ったのだと思っていたが、アイルーンは自分の気持ちにも鈍感になっていただけであった。
竜種の子は強いから、妊娠は順調だと聞いていたが、アイルーンは目覚めると体が異様に倦怠感があったり、頭痛がすることも多く、医師には妊娠のせいだと説明されたが、妊娠が進むにつれて貧血も酷くなり、立っていられないこともあった。
それでも、この子だけは守らなくてはと、何とか妊娠六ヶ月を迎えていた。
ある夜、アイルーンは眠りながらも、気が遠くなり、目を覚ましたが、目は開かず、体もなぜか動かなかった。
それでも、三人の気配を感じ、声から誰なのかも分かった。
何をしているのかも、話していることから分かった。
そして、自分がこのまま亡くなるのだということも、冷静に理解が出来ていた。
どこにいても邪魔者は邪魔者でいい、殺されるのではないかという覚悟もしたこともあった。だから、アイルーンは消えてもいい。
でもお腹のこの子は何も悪くない。親の、いえ、竜王国の、竜帝の勝手で作られただけである。
だから、アイルーンは絶対に許さないことにした。
そして、強く気が遠くなる時、この子がここではないどこか幸せな場所に生まれ変わることを願い、私は二度とつがいの感覚など要らないと強く思った。
アイルーン・デリアは、僅か19歳で、最愛となる子どもを宿したまま、その生涯を終えた―――。
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