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【テイラー】親子
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「皇帝宮の警備も、我々に責任があります。それなのに、殺すなんて…」
「ライシード!デタラメかもしれないだろう!」
復活したイオリクが、ライシードを怒鳴り付けた。
「イオリク様は、本当にそう思いますか?おかしいと思わなかったのですか?」
「だから調べただろう!」
「すぐにデリア侯爵にお預けになったではありませんか」
「そうだ!だから、ミリオン王国でも、調べたのではないのか!こちらばかり責められても困る」
アイルーンに辛く当たっていたことに身に覚えのあるイオリクは、ディオエルに睨まれたくなくて、抗おうと必死であった。
「ですが、殺したのは我が国の者ではないですか!」
「そんなこと分からないではないか!」
「分かりますよ!彼女はミリオン王国から誰も連れて来ていないのですよ?殺したのは竜帝国の者の可能性が、一番高いではありませんか!」
イオリクとライシードが言い争いになり、ディオエルも止めないために、エレサーレが発言をした。
「お待ちください。私では当時の事情が分かりませんので、父である陛下を呼びましょう」
話をしている間に、すっかり夜会は終わりを迎えつつあった。エレサーレでは話も分からないので、事情を知っている陛下を呼ぶしかないと考えた。
「もうそんな時間ですか?では、私も帰ります」
「待ってくれ、君にはいて貰わないと困る。ホテルの者には伝えて置くし、帰りも送り届ける」
「ですが」
「君がいないと話は進まないだろう」
テイラーは渋々残ることになり、エレサーレは従者にホテルの従業員に説明をして、先に帰って貰うように伝えることにした。
そして、側近に陛下、デリア侯爵に終わったらこちらに来て貰うように頼んだ。
「失礼する」
ギリシス国王陛下が入室し、続いて、なぜ呼ばれたのだろうかという顔のルーベルト・デリア侯爵もアイルーンの兄・ベルサートと共にやって来た。
「番が見付かったというの誠か?めでたいな、そなたか?」
テイラーはギリシスが入って来た際に、腰を下げて頭を下げはしたが、質問にはギリシスを見つめたまま答える様子はなかった。
おかげで、エレサーレが慌てて答えることになった。
「はい、テイラー嬢です」
「どこの令嬢だ?」
「今は、平民だそうです」
「平民?」
「陛下、お待ちください。君は、確かエイク子爵家のご令嬢ではないか」
テイラーを見つめたルーベルトは、何度か会っていたために、エイク子爵家の令嬢だと気付いた。
「除籍しましたので、今は平民です」
「除籍?」
「婚約が解消されまして、妹が継ぐことになりまして」
「そう言えば、そんな話を…」
あまり気にしていなかったので、ルーベルトはそうなのかと聞き流していた。
「侯爵様は娘を殺されて、今度は私が番だと言われることに、どのような気持ちですか?」
「殺された…?」
「お前、信じられないと言っているだろう!」
イオリクは場もわきまえずに、テイラーを怒鳴り付けた。
「イオリク、黙っていろ」
「ですが」
「事実である可能性が高いと、お前も分かっているのだろう?静かにしていろ」
ルーベルトは、じっとテイラーを見つめ、ゆっくりと話し始めた。
「どういうことだい?娘が殺されたと言うのか?」
「ええ、アイルーン・デリアは、殺されたのですよ。勿論、犯人は竜帝国の方です」
イオリクは声を上げたかったが、グッと我慢した。
「なぜ、君が…どうしてそんなことが言える?」
「私がアイルーン・デリアを一番よく知る者だからです」
「なぜ…」
この子が生まれた時には、おそらく愛娘であるアイルーンは亡くなっていた。
「この瞳に見覚えはありませんか?」
「それは、デリア侯爵家の瞳の色だが、エイク子爵家だって…」
そう言いながらも、ルーベルトは間近で初めて見る、自分と同じ色をしたテイラーの瞳に吸い込まれそうであった。
「ライシード!デタラメかもしれないだろう!」
復活したイオリクが、ライシードを怒鳴り付けた。
「イオリク様は、本当にそう思いますか?おかしいと思わなかったのですか?」
「だから調べただろう!」
「すぐにデリア侯爵にお預けになったではありませんか」
「そうだ!だから、ミリオン王国でも、調べたのではないのか!こちらばかり責められても困る」
アイルーンに辛く当たっていたことに身に覚えのあるイオリクは、ディオエルに睨まれたくなくて、抗おうと必死であった。
「ですが、殺したのは我が国の者ではないですか!」
「そんなこと分からないではないか!」
「分かりますよ!彼女はミリオン王国から誰も連れて来ていないのですよ?殺したのは竜帝国の者の可能性が、一番高いではありませんか!」
イオリクとライシードが言い争いになり、ディオエルも止めないために、エレサーレが発言をした。
「お待ちください。私では当時の事情が分かりませんので、父である陛下を呼びましょう」
話をしている間に、すっかり夜会は終わりを迎えつつあった。エレサーレでは話も分からないので、事情を知っている陛下を呼ぶしかないと考えた。
「もうそんな時間ですか?では、私も帰ります」
「待ってくれ、君にはいて貰わないと困る。ホテルの者には伝えて置くし、帰りも送り届ける」
「ですが」
「君がいないと話は進まないだろう」
テイラーは渋々残ることになり、エレサーレは従者にホテルの従業員に説明をして、先に帰って貰うように伝えることにした。
そして、側近に陛下、デリア侯爵に終わったらこちらに来て貰うように頼んだ。
「失礼する」
ギリシス国王陛下が入室し、続いて、なぜ呼ばれたのだろうかという顔のルーベルト・デリア侯爵もアイルーンの兄・ベルサートと共にやって来た。
「番が見付かったというの誠か?めでたいな、そなたか?」
テイラーはギリシスが入って来た際に、腰を下げて頭を下げはしたが、質問にはギリシスを見つめたまま答える様子はなかった。
おかげで、エレサーレが慌てて答えることになった。
「はい、テイラー嬢です」
「どこの令嬢だ?」
「今は、平民だそうです」
「平民?」
「陛下、お待ちください。君は、確かエイク子爵家のご令嬢ではないか」
テイラーを見つめたルーベルトは、何度か会っていたために、エイク子爵家の令嬢だと気付いた。
「除籍しましたので、今は平民です」
「除籍?」
「婚約が解消されまして、妹が継ぐことになりまして」
「そう言えば、そんな話を…」
あまり気にしていなかったので、ルーベルトはそうなのかと聞き流していた。
「侯爵様は娘を殺されて、今度は私が番だと言われることに、どのような気持ちですか?」
「殺された…?」
「お前、信じられないと言っているだろう!」
イオリクは場もわきまえずに、テイラーを怒鳴り付けた。
「イオリク、黙っていろ」
「ですが」
「事実である可能性が高いと、お前も分かっているのだろう?静かにしていろ」
ルーベルトは、じっとテイラーを見つめ、ゆっくりと話し始めた。
「どういうことだい?娘が殺されたと言うのか?」
「ええ、アイルーン・デリアは、殺されたのですよ。勿論、犯人は竜帝国の方です」
イオリクは声を上げたかったが、グッと我慢した。
「なぜ、君が…どうしてそんなことが言える?」
「私がアイルーン・デリアを一番よく知る者だからです」
「なぜ…」
この子が生まれた時には、おそらく愛娘であるアイルーンは亡くなっていた。
「この瞳に見覚えはありませんか?」
「それは、デリア侯爵家の瞳の色だが、エイク子爵家だって…」
そう言いながらも、ルーベルトは間近で初めて見る、自分と同じ色をしたテイラーの瞳に吸い込まれそうであった。
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