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【テイラー】退室
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テイラーの決意表明は、皆に恐ろしい手段を取るのではないかという思いを植え付けた。皇帝の番を自害させたとなれば、想像もしたくなかった。
「父上、送って参ります」
「ああ…」
呆気に取られている皆を背に、エレサーレと護衛たち、テイラーはようやく退室し、馬車でホテルの寮まで送って貰うことになった。
「父上がすまなかった」
「王太子殿下が謝ることはありません」
「君はどうするつもりなんだ?」
「どうもしません、ただアイルーン・デリアを殺した犯人を見付けて、竜帝国に責任を取って貰いたいだけです」
その答えはエレサーレの想像の範囲内ではあったが、その思いが今を生きているテイラー嬢の人生はどうしたいのかとは、さすがに聞けなかった。
「父上も恨んでいるのか?」
「侯爵ですか?」
「ああ、聞き方が悪かったね。侯爵も、国王もという意味だ」
その言葉に、一応はアイルーンの父親という意味で、デリア侯爵は認識しているのだとも感じた。
「恨んでいる、まあそうですね。侯爵は先ほど話したようにアイルーンの気持ちを無視して、亡き母親のことも持ち出して、良いことなのだと押し付けて、嫁がせようとしていました。次期侯爵も同じです」
「ああ」
エレサーレも、テイラー嬢とデリア侯爵の口振りから、そうだったのだろうなという印象だった。
「アイルーンが嫁ぐ前に国王陛下がお忍びで、デリア侯爵家にやって来られたことがありました。その際に、こういったのです。『皇帝の番に選ばれるなど、ミリオン王国で一番の幸せ者だ。しっかり励みなさい』と」
「そうだったのか」
「入室時の言葉も覚えていない方は、おそらく覚えていないでしょうから、言いませんでした」
「あ、ああ」
あの言葉は何も知らなかったとはいえ、悪手であった。だが、説明するには複雑すぎて、伝えることは出来なかった。
しかも、幸せ者だと言って、嫁いだせいで殺されたとなれば、父上にも良い印象は持てないだろう。しかも、今日の言動は全て裏目に出ていた。
息子としても、全てを尊敬していたわけではないが、恥ずかしいほどであった。
「アイルーンは他にも妃がいるということで、上手くやっていけるとは思っていませんでした。ですから、過度な期待はしてはいなかった」
「だから、目に付かないようにと」
「ええ、アイルーンにとっては最善だったと思っています」
「竜帝国を恨んでいるよな?」
「はい、殺した相手を野放しにしている国を恨まない人がいたら、会ってみたいくらいです」
その通りだと思った。アイルーン嬢は、理不尽に殺された可能性が高い。竜帝国側も否定している者もいたが、少なくとも皇帝は疑っている。
そして、唯一謝罪していた一人も、何か思うところがあったのだろうと感じた。
そうこう話している間に、寮に着いた。
「オーナーには瞳が亡くなられた番と同じで、誤認されたようである。竜帝国側は帰られ、もしかしたらまた確認をということがあるかもしれないが、その際は事前に知らせ、テイラー嬢は迷惑を掛けられた被害者であることを周知させて、咎などないように願いたいと伝える。君は迷惑を掛けましたと、明日話せばいい」
「承知しました、ありがとうございます」
テイラーは寮に入って行き、見届けてから、ホテルに向かって事情を説明した。
翌日、テイラーは言われた様にオーナーや支配人に迷惑を掛けたことを謝罪した。
「大変だったね、話を聞いて驚いたよ」
「瞳の色がね…」
「ええ、血筋が同じなので、色が一緒だったそうです」
「そうなんだね」
大変だったわねと声を掛けられることにはなったが、エレサーレの機転のおかげで、通常通り仕事をすることは出来た。
一方、混乱の渦に入ったのは竜帝国、王家、デリア侯爵家であった。
「父上、送って参ります」
「ああ…」
呆気に取られている皆を背に、エレサーレと護衛たち、テイラーはようやく退室し、馬車でホテルの寮まで送って貰うことになった。
「父上がすまなかった」
「王太子殿下が謝ることはありません」
「君はどうするつもりなんだ?」
「どうもしません、ただアイルーン・デリアを殺した犯人を見付けて、竜帝国に責任を取って貰いたいだけです」
その答えはエレサーレの想像の範囲内ではあったが、その思いが今を生きているテイラー嬢の人生はどうしたいのかとは、さすがに聞けなかった。
「父上も恨んでいるのか?」
「侯爵ですか?」
「ああ、聞き方が悪かったね。侯爵も、国王もという意味だ」
その言葉に、一応はアイルーンの父親という意味で、デリア侯爵は認識しているのだとも感じた。
「恨んでいる、まあそうですね。侯爵は先ほど話したようにアイルーンの気持ちを無視して、亡き母親のことも持ち出して、良いことなのだと押し付けて、嫁がせようとしていました。次期侯爵も同じです」
「ああ」
エレサーレも、テイラー嬢とデリア侯爵の口振りから、そうだったのだろうなという印象だった。
「アイルーンが嫁ぐ前に国王陛下がお忍びで、デリア侯爵家にやって来られたことがありました。その際に、こういったのです。『皇帝の番に選ばれるなど、ミリオン王国で一番の幸せ者だ。しっかり励みなさい』と」
「そうだったのか」
「入室時の言葉も覚えていない方は、おそらく覚えていないでしょうから、言いませんでした」
「あ、ああ」
あの言葉は何も知らなかったとはいえ、悪手であった。だが、説明するには複雑すぎて、伝えることは出来なかった。
しかも、幸せ者だと言って、嫁いだせいで殺されたとなれば、父上にも良い印象は持てないだろう。しかも、今日の言動は全て裏目に出ていた。
息子としても、全てを尊敬していたわけではないが、恥ずかしいほどであった。
「アイルーンは他にも妃がいるということで、上手くやっていけるとは思っていませんでした。ですから、過度な期待はしてはいなかった」
「だから、目に付かないようにと」
「ええ、アイルーンにとっては最善だったと思っています」
「竜帝国を恨んでいるよな?」
「はい、殺した相手を野放しにしている国を恨まない人がいたら、会ってみたいくらいです」
その通りだと思った。アイルーン嬢は、理不尽に殺された可能性が高い。竜帝国側も否定している者もいたが、少なくとも皇帝は疑っている。
そして、唯一謝罪していた一人も、何か思うところがあったのだろうと感じた。
そうこう話している間に、寮に着いた。
「オーナーには瞳が亡くなられた番と同じで、誤認されたようである。竜帝国側は帰られ、もしかしたらまた確認をということがあるかもしれないが、その際は事前に知らせ、テイラー嬢は迷惑を掛けられた被害者であることを周知させて、咎などないように願いたいと伝える。君は迷惑を掛けましたと、明日話せばいい」
「承知しました、ありがとうございます」
テイラーは寮に入って行き、見届けてから、ホテルに向かって事情を説明した。
翌日、テイラーは言われた様にオーナーや支配人に迷惑を掛けたことを謝罪した。
「大変だったね、話を聞いて驚いたよ」
「瞳の色がね…」
「ええ、血筋が同じなので、色が一緒だったそうです」
「そうなんだね」
大変だったわねと声を掛けられることにはなったが、エレサーレの機転のおかげで、通常通り仕事をすることは出来た。
一方、混乱の渦に入ったのは竜帝国、王家、デリア侯爵家であった。
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