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【テイラー】エオナ妃
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「もし、アイルーン・デリアを殺す者がいたら、誰だと思う?」
「証拠もありませんが、憶測で話してもよろしいのですか?」
「ああ、教えて欲しい」
「一番に番を忌々しく思っていたのは、ローズミー妃ではありませんか?」
ようやく、ローズミーの名前が出て来ることになった。
「そう思うか?」
「ええ、今となってはというところもありますが…皆、彼女が亡くなられて、何も知らない者は妃、全員を疑ったかもしれませんが、皇帝宮のことを知る者は一度はもしかしてと考えたと思いますよ」
「殺したと?」
「そこまでは分かりません。証拠もありませんから、なぜだと言われても答えられませんが、番のことはおろか、妃のことも、受け入れていないのですから」
ローズミーは、ディオエルの妃は私だけでいい。正妃は私以外にあり得ない。他の妃なんて、番なんてと、ディオエルの愛を欲して欲して、生きていた。
「そうだったな…」
「ええ、皇帝陛下のお気持ちまでは分かりませんが、番に消えて欲しいと一番に願っていたのはローズミー妃でしょう」
ディオエルも一番に疑ったのは、ローズミーであった。
だが、ローズミーがそこまでするかという気持ちと、殺すということとローズミーが結びつかなかった。
「そうか、アイルーン・デリアは殺された可能性が高い」
「そうでしたか…何か証拠が?」
「それはないんだ。だから、ローズミーが犯人だとしても、どうやって殺したのか」
「やらせた可能性はありませんか」
「ああ、それが一番、あり得る話だろうな」
ローズミーが望み、いや、ローズミーの意を汲んで、別の者が殺した可能性が高い。ディオエルも、結局そこに答えを感じていた。
「もし、何か思い出したら教えてくれ」
「承知いたしました」
望んで妃になったわけではないこともあるが、ハウニー妃とロウス妃よりも、年下のエオナが冷静に、そして正直にありのままを話してくれたように思った。
「ローズミー妃は、いかがしますか?」
「薬は効いているのだろう?一応、呼んでくれ」
ローズミー妃は、ペジリーに支えられ、医師とともにやって来た。
四番目に妃となったローズミーは伯爵家の令嬢で、ブロンドにブラウンの大きな瞳の、可憐な容姿であった。
妃になった当時は23歳、アイルーンが来た時は33歳で、現在は51歳になっていた。
皇族の血筋ではないために、見た目も一般的で、平均寿命も80歳くらいである。
だが、現在はテイラーが言っていたように、ピンクを好むのは今でも変わりないが、首には無数の爪で掻きむしった痕があり、ブロンドは地毛だと言っていたが、今では本当の地毛であるブラウンに戻り、顔も垂れ下がり、目も落ち窪み、大きな瞳だけが飛び出しており、肌もカサカサであった。
未だに若々しいディオエルとは違い、年齢よりも随分老けて見える。
エオナ妃が今となってはという言葉を使ったのは、ローズミーは既に妃の役割は果たしていないからである。
「ああん!ディオエルぅ」
ローズミーはディオエルを目にして、走って向かおうとしたが、足がもつれて、自力では走り出すことも出来なかった。
「そこに座ってくれ」
「ええ!隣でなくちゃ嫌よ!もう!分かっていることを言わせないで!」
「そこに座りなさい」
ディオエルは今までは、テーブルを挟んで尋問をしていたが、ローズミーだけは長机の一番離れた席に着くことになった。
護衛騎士も絶対に、ディオエルの側には来させないように配置されている。
それでもローズミーは側に来ようとして、ライシードと護衛騎士にそちらにと阻まれて、頬を膨らませて、仕方なく言われた場所に座った。
「ペジリーは退出してくれ」
「ですが!」
「聞こえなかったのか?」
「承知いたしました」
ペジリーはローズミーを心配そうにチラチラ見ながら、不服そうに出て行った。
「具合はどうだ?」
ローズミーはアイルーンが去ったこの17年間で、病を患うようになっていた。
「証拠もありませんが、憶測で話してもよろしいのですか?」
「ああ、教えて欲しい」
「一番に番を忌々しく思っていたのは、ローズミー妃ではありませんか?」
ようやく、ローズミーの名前が出て来ることになった。
「そう思うか?」
「ええ、今となってはというところもありますが…皆、彼女が亡くなられて、何も知らない者は妃、全員を疑ったかもしれませんが、皇帝宮のことを知る者は一度はもしかしてと考えたと思いますよ」
「殺したと?」
「そこまでは分かりません。証拠もありませんから、なぜだと言われても答えられませんが、番のことはおろか、妃のことも、受け入れていないのですから」
ローズミーは、ディオエルの妃は私だけでいい。正妃は私以外にあり得ない。他の妃なんて、番なんてと、ディオエルの愛を欲して欲して、生きていた。
「そうだったな…」
「ええ、皇帝陛下のお気持ちまでは分かりませんが、番に消えて欲しいと一番に願っていたのはローズミー妃でしょう」
ディオエルも一番に疑ったのは、ローズミーであった。
だが、ローズミーがそこまでするかという気持ちと、殺すということとローズミーが結びつかなかった。
「そうか、アイルーン・デリアは殺された可能性が高い」
「そうでしたか…何か証拠が?」
「それはないんだ。だから、ローズミーが犯人だとしても、どうやって殺したのか」
「やらせた可能性はありませんか」
「ああ、それが一番、あり得る話だろうな」
ローズミーが望み、いや、ローズミーの意を汲んで、別の者が殺した可能性が高い。ディオエルも、結局そこに答えを感じていた。
「もし、何か思い出したら教えてくれ」
「承知いたしました」
望んで妃になったわけではないこともあるが、ハウニー妃とロウス妃よりも、年下のエオナが冷静に、そして正直にありのままを話してくれたように思った。
「ローズミー妃は、いかがしますか?」
「薬は効いているのだろう?一応、呼んでくれ」
ローズミー妃は、ペジリーに支えられ、医師とともにやって来た。
四番目に妃となったローズミーは伯爵家の令嬢で、ブロンドにブラウンの大きな瞳の、可憐な容姿であった。
妃になった当時は23歳、アイルーンが来た時は33歳で、現在は51歳になっていた。
皇族の血筋ではないために、見た目も一般的で、平均寿命も80歳くらいである。
だが、現在はテイラーが言っていたように、ピンクを好むのは今でも変わりないが、首には無数の爪で掻きむしった痕があり、ブロンドは地毛だと言っていたが、今では本当の地毛であるブラウンに戻り、顔も垂れ下がり、目も落ち窪み、大きな瞳だけが飛び出しており、肌もカサカサであった。
未だに若々しいディオエルとは違い、年齢よりも随分老けて見える。
エオナ妃が今となってはという言葉を使ったのは、ローズミーは既に妃の役割は果たしていないからである。
「ああん!ディオエルぅ」
ローズミーはディオエルを目にして、走って向かおうとしたが、足がもつれて、自力では走り出すことも出来なかった。
「そこに座ってくれ」
「ええ!隣でなくちゃ嫌よ!もう!分かっていることを言わせないで!」
「そこに座りなさい」
ディオエルは今までは、テーブルを挟んで尋問をしていたが、ローズミーだけは長机の一番離れた席に着くことになった。
護衛騎士も絶対に、ディオエルの側には来させないように配置されている。
それでもローズミーは側に来ようとして、ライシードと護衛騎士にそちらにと阻まれて、頬を膨らませて、仕方なく言われた場所に座った。
「ペジリーは退出してくれ」
「ですが!」
「聞こえなかったのか?」
「承知いたしました」
ペジリーはローズミーを心配そうにチラチラ見ながら、不服そうに出て行った。
「具合はどうだ?」
ローズミーはアイルーンが去ったこの17年間で、病を患うようになっていた。
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