【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】ローズミー妃2

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 だが、ローズミーの父親である伯爵が急死し、嫡男は親族の力を借りながら、若くして当主となることになった。

 母親は皇帝宮の仕事を辞めることになり、忙しい家族に、皇帝宮に行くこともなくなり、ローズミーは誰にも構って貰えなくなってしまった。

 ディオエルにとって、特別な存在ではなかったのだが、いつからかローズミーは構って貰おうと自傷行為をするようになっていたという。

 たまたま腕を斬り付けて、血を流すローズミーの姿に、居合わせることになったディオエルは、イオリクから妃にしては貰えないかと、相談を受けることになった。

 イオリクにとってローズミーは、乳母の娘で、可愛い妹のような存在だった。

 だが、構って欲しいと望むのならば、多くの妃がいる自分よりも、誰かひとりの相手と結婚した方がいいと伝えたが、妃になれるなら自傷行為は止めると言っていると、イオリクも注意をするからと懇願されることになった。

 ローズミーはその時、既に22歳になっており、ずっとディオエルと結婚するんだからと言っていたそうだ。

 重役たちも力のない伯爵家ならいいだろうということもあり、ローズミーは妃になることになった。

 しかし、結局はローズミーはディオエルに自分だけを愛して欲しいと求め、ディオエルは何度も説明したが、変わることはなかった。

 次の妃を迎える時に、降嫁させるか、母親とどこか静かに暮らさせるつもり予定だったが、また自傷行為をするようになった。

 ディオエルにほら見たことかという気持ちと、幼い頃のローズミーと、まだ若い娘であったために、可哀想だという気持ちを持ってしまった。

 寵妃だと言っていたのも、言葉だけでいい、本当に寵愛を受けていなくとも、ローズミーはそれだけで安心するのだと言われていたからである。

 当面は残すことになった矢先、番であるアイルーンが見付かった。

 嬉しかったが、ローズミーが不安定になるのではないか、酷い場合は危害を加えるのではないかという思いがあった。

 ローズミーをアイルーンに寵妃だと紹介したのも、40歳まで番を探していたこと、今まで求められることしかなかったディオエルは、自分は衝動を抑える儀式を教会で受けていたが、アイルーンは番なのに自分を想うような様子ではないことに、大人げない趣旨返しであったが、アイルーンの返事は斜め上のものだった。

 感情を出さないように教育され、自分から求めたことのないディオエルは、アイルーンをどう扱えばいいのか、分からないまま、時は過ぎ、先に子どもが出来てしまったような状態であった。

 その矢先、アイルーンは亡くなった―――。

「医師、暴れ出したら拘束するから、すぐに鎮静剤を打ってくれ」
「承知しました」

 ディオエルは、ついにローズミーにアイルーンの話を切り出すことにした。

「私の番であったアイルーン・デリアを覚えているか?」
「番?覚えているわ」

 暴れるかもしれないと思っていたが、思いがけず、変わらないまま答えた。

「彼女と、私がいないところで話したことはあるか?」
「ないわ」
「彼女をどう思っていた?」
「嫌いだったわ!だって、いくら私がディオエルに愛されているとは言っても、番だなんてずるいじゃない。でも死んじゃうなんて…びっくりしたわ」

 ディオエルはその言葉に、関わっていないのだろうか。やはり、誰かが意を汲んで行ったのか。

「どうして亡くなったか、知っているか?」
「病気だったんでしょう?」
「彼女はこの国の者に殺されている、何か心当たりはあるか?」
「えっ、誰に?」

 今日のローズミーは調子がいいようで、会話が成り立っている。

「心当たりはあるかと聞いている」
「ないわ、そんな、怖いわ」
「そうか…何か思い出すようなことがあったら、ライシードに伝えてくれ」
「えっ、待って!そんな私も殺されるの?」

 ディオエルはここまでだったかと、話を終えることにした。
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