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【テイラー】答え
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イオリクは疑似番は事実であるために避けようがなく、どう答えれば、ディオエルが自分を信じてくれるかを考えていた。
「答えろ!」
「いえ、それは知らなかったことで…」
「そんなことは聞いていない!質問に答えろと言っているんだ!」
「私はそんなことは言っていません、本当です!」
ディオエルは証拠もないのだからと、言い逃れが出来ると思っているのだろう。
「自白剤を使ってもいいのか?」
「…え」
「違うんだろう?自白剤を使って、証明しようではないか」
イオリクがきつく当たっていたのは証言も取れており、自白剤も適用される。
ディオエルも始めは信じたい気持ちと、ある意味、妊娠していたことが死に繋がってしまったが、イオリクには妊娠していたことが犯人から外されることになった。
「そんなことはせずとも、私がディオエル様の子どもがいるのに、そのようなことを言うはずがないではありませんか」
「子どもか…」
アイルーン・デリアではなく、子どものことを言う時点で、咎められたくはないが、認めたくないことが明らかである。
「そうです!ディオエル様の子どもなのですから、そのようなことを、私が言うはずありません」
「言っていたでしょう?胎教に悪かったでしょうね」
「デタラメを言うな!」
「子どもを産んでから死ねばよかったのに、いえ、子どもを産めばどうでも良かった。あの時に死ななくても、眼鏡の方に殺されていたかもしれませんね」
「っな!」
ルーベンスはテイラーが話しているので、口を挟むようなことはしなかったが、立ち上がったままで、イオリクを睨み続けていた。
「ディオエル様、信じないでください。そんな憶測で言われても困ります。証明は出来ませんが、一度も思ったことはありません」
「だったら、自白剤を使う!証明、出来るのだろう!」
「ですから、そんなことをせずとも、彼女と私です!どちらを信じるべきかは明白ではありませんか」
イオリクはこれまで、ディオエルに頼りにされているという自負があった。
アイルーンの時だって、結局は自分の意のままであった。
今は番が殺されたかもしれないことから、本当に殺されていたことが分かって、気が動転しているだけだと信じていた。
「お前は、噓つきだったんだな…」
「っ、何をおっしゃるのですか!私はディオエル様に嘘などついたことはございません」
イオリクにとって、アイルーンとテイラーに対して嘘を付いているだけで、ディオエルには嘘をついていないというか感覚である。
ピリピリした空気の中、戻って来たライシードが声を掛けた。
「メロディ夫人と、イリッタオ侯爵をお連れしました!」
「イオリク、お前の話は後だ。もう戻っていい」
「いえ、私も何か力になれるかもしれません」
「いや、出て行け」
「ですが」
メロディの祖母のことを知っている利点はあるが、怒りで震えているデリア侯爵とテイラーに、許可を得なければならないと思った。
「はあ、デリア侯爵、テイラー嬢、構わないか?」
「絶対に陛下の許可がないと口を開かないというのならば、構いませんよ」
「私もテイラー嬢と同じです」
「分かった、ではイオリク、許可がない限り話すな!いいな?」
「は、い」
テイラーに訊ねられたことは不満ではあったが、イオリクは自分こそが力になると意気込んでいたが、すぐに折られることになる。
「許可なく口を開いた時点で、追い出す」
「はい…」
「ライシード!入れ」
「は!」
ライシードと護衛に連れて来られたのは、メロディ・イリッタオと、夫であるマーゼット・イリッタオであった。
椅子が並んで二つ用意され、ディオエルが声を掛けた。
「そこへ座ってくれ」
「陛下、恐れながら、何の用事でしょうか」
メロディとマーゼットは座りはしたが、メロディは物々しい空気に耐えられずに発言した。
「それは今から説明する」
「答えろ!」
「いえ、それは知らなかったことで…」
「そんなことは聞いていない!質問に答えろと言っているんだ!」
「私はそんなことは言っていません、本当です!」
ディオエルは証拠もないのだからと、言い逃れが出来ると思っているのだろう。
「自白剤を使ってもいいのか?」
「…え」
「違うんだろう?自白剤を使って、証明しようではないか」
イオリクがきつく当たっていたのは証言も取れており、自白剤も適用される。
ディオエルも始めは信じたい気持ちと、ある意味、妊娠していたことが死に繋がってしまったが、イオリクには妊娠していたことが犯人から外されることになった。
「そんなことはせずとも、私がディオエル様の子どもがいるのに、そのようなことを言うはずがないではありませんか」
「子どもか…」
アイルーン・デリアではなく、子どものことを言う時点で、咎められたくはないが、認めたくないことが明らかである。
「そうです!ディオエル様の子どもなのですから、そのようなことを、私が言うはずありません」
「言っていたでしょう?胎教に悪かったでしょうね」
「デタラメを言うな!」
「子どもを産んでから死ねばよかったのに、いえ、子どもを産めばどうでも良かった。あの時に死ななくても、眼鏡の方に殺されていたかもしれませんね」
「っな!」
ルーベンスはテイラーが話しているので、口を挟むようなことはしなかったが、立ち上がったままで、イオリクを睨み続けていた。
「ディオエル様、信じないでください。そんな憶測で言われても困ります。証明は出来ませんが、一度も思ったことはありません」
「だったら、自白剤を使う!証明、出来るのだろう!」
「ですから、そんなことをせずとも、彼女と私です!どちらを信じるべきかは明白ではありませんか」
イオリクはこれまで、ディオエルに頼りにされているという自負があった。
アイルーンの時だって、結局は自分の意のままであった。
今は番が殺されたかもしれないことから、本当に殺されていたことが分かって、気が動転しているだけだと信じていた。
「お前は、噓つきだったんだな…」
「っ、何をおっしゃるのですか!私はディオエル様に嘘などついたことはございません」
イオリクにとって、アイルーンとテイラーに対して嘘を付いているだけで、ディオエルには嘘をついていないというか感覚である。
ピリピリした空気の中、戻って来たライシードが声を掛けた。
「メロディ夫人と、イリッタオ侯爵をお連れしました!」
「イオリク、お前の話は後だ。もう戻っていい」
「いえ、私も何か力になれるかもしれません」
「いや、出て行け」
「ですが」
メロディの祖母のことを知っている利点はあるが、怒りで震えているデリア侯爵とテイラーに、許可を得なければならないと思った。
「はあ、デリア侯爵、テイラー嬢、構わないか?」
「絶対に陛下の許可がないと口を開かないというのならば、構いませんよ」
「私もテイラー嬢と同じです」
「分かった、ではイオリク、許可がない限り話すな!いいな?」
「は、い」
テイラーに訊ねられたことは不満ではあったが、イオリクは自分こそが力になると意気込んでいたが、すぐに折られることになる。
「許可なく口を開いた時点で、追い出す」
「はい…」
「ライシード!入れ」
「は!」
ライシードと護衛に連れて来られたのは、メロディ・イリッタオと、夫であるマーゼット・イリッタオであった。
椅子が並んで二つ用意され、ディオエルが声を掛けた。
「そこへ座ってくれ」
「陛下、恐れながら、何の用事でしょうか」
メロディとマーゼットは座りはしたが、メロディは物々しい空気に耐えられずに発言した。
「それは今から説明する」
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