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【テイラー】ロウス2
しおりを挟む「私には過ぎた幸福だったのだろうな…」
「違います、陛下では」
「私だろう!彼女は殺されていい理由などない!」
ロウスはアイルーンのことで、怒るディオエルを初めて見て、驚いた。
「もういい、お前は自白はしているのだから罰は変わらない」
「で、でも廃妃なんて、刑務所なんて、私が…公爵家の私が…そんなこと、あってはならないのです」
「関与していないドアソア家のために、やりたくはなかったが、自白剤を使い、もう一度、皆の前で自白するか?これから大変なのは家族の方なのだぞ?お前はそんなことも考えられないのか?」
「私だって」
「お前は世間とは隔離される。だが、ドアソア家はお前のせいで肩身の狭い思いをしながら、生きて行かなくてはならないんだ」
ロウスは家族方を見ると、眉間に皺を寄せていたり、悲痛な顔を浮かべて、疲れ切っていた。
「私は、殺していないのに…」
「陛下、もう結構です」
一向に反省も、謝罪も、後悔すら口にしないロウスに、デアンはこれ以上時間を取っても無駄だと感じた。
「ロウスの籍を抜くことは許されますでしょうか」
「ああ、構わない」
「お父様!」
デアンはロウスの罪を受け入れるために、籍を抜かずにいるつもりだった。
だが、ロウスの様子からドアソア家には相応しくない存在だと判断を下した。
「お前は平民として生きていきなさい。私たちはもう二度と関与しない」
「そんな!」
ロウスは当然のことのように、ドアソア家が守ってくれる。見捨てられることはないと、自信があった。
「お前は認めもせず、反省もせず、ドアソア家の人間などではない!」
「どうしてよ!」
「立場が分かっていないのか、我々は手本となるべき家であるはずだ。それが、何ということをしてくれたんだ!情けない!」
「皆、真面目過ぎるのよ!」
「当然ではないか、でなければ、侯爵にはなってしまったが、公爵だった家として当然のことだ!そう教えて来ただろうが!」
ライズ、デアン、オウリー前夫人も、手本になるべきだと生きて来た。嫁いで来たマリア夫人も、同じだった。
だからこそ、粛々と罰も受け入れることが出来る。
ロウスが疑われた時にも、ロウスは関与していないと思っていたからこそ、訴えたのである。
だが、ロウスだけは違った。表にはあまり出さないようにはしていたが、公爵家なのだから、優遇されて当然だと悪い使い方をしていた。
しかも、妃になってからは自分が一番上だと、皆を見下していた。
だからこそ、その地位を分からせるために、子どもが必要だった。番が見付かって、チャンスが巡って来たと思った。
過去は上手くいかなかったとあったが、私は特別だから違うと思っていた。
ローズミーに先を越されたことは苦々しく思ったが、モーラーが利用しましょうと言い、私のために風が吹いているのだと感じていた。
だが、さらにメロディが唆したことが分かり、メロディから奪うことになった。
しかも、アイルーンを殺し、ローズミーが妊娠したのだと思ったが、違った。血も奪えなくなり、ローズミーが妊娠した時には、殺意が芽生えた。
ただ、無事に生まれるのかという声もあり、生まれなければそれでいい。生まれたら、番とは違って、ディオエル様に影響はないのだから、ローズミーなら消せばいいと思っていた。
メロディはいなくなり、妃は増えたが、誰も妊娠することはなく、ローズミーも悲惨な姿になったことから、番の血を輸血した自分が妊娠の可能性が、一番高いのではないかと思っていたが、妊娠することはなかった。
妊娠は難しい年にはなったが、それでも自分が妃のトップだと思っていた。
だから、まさかこんなことになるとは思わなかった。
「酷いわ…どうして私がこんな目に…」
「明日には刑務所に移って貰う。以上だ!連れて行け」
「待って…待って…」
「違います、陛下では」
「私だろう!彼女は殺されていい理由などない!」
ロウスはアイルーンのことで、怒るディオエルを初めて見て、驚いた。
「もういい、お前は自白はしているのだから罰は変わらない」
「で、でも廃妃なんて、刑務所なんて、私が…公爵家の私が…そんなこと、あってはならないのです」
「関与していないドアソア家のために、やりたくはなかったが、自白剤を使い、もう一度、皆の前で自白するか?これから大変なのは家族の方なのだぞ?お前はそんなことも考えられないのか?」
「私だって」
「お前は世間とは隔離される。だが、ドアソア家はお前のせいで肩身の狭い思いをしながら、生きて行かなくてはならないんだ」
ロウスは家族方を見ると、眉間に皺を寄せていたり、悲痛な顔を浮かべて、疲れ切っていた。
「私は、殺していないのに…」
「陛下、もう結構です」
一向に反省も、謝罪も、後悔すら口にしないロウスに、デアンはこれ以上時間を取っても無駄だと感じた。
「ロウスの籍を抜くことは許されますでしょうか」
「ああ、構わない」
「お父様!」
デアンはロウスの罪を受け入れるために、籍を抜かずにいるつもりだった。
だが、ロウスの様子からドアソア家には相応しくない存在だと判断を下した。
「お前は平民として生きていきなさい。私たちはもう二度と関与しない」
「そんな!」
ロウスは当然のことのように、ドアソア家が守ってくれる。見捨てられることはないと、自信があった。
「お前は認めもせず、反省もせず、ドアソア家の人間などではない!」
「どうしてよ!」
「立場が分かっていないのか、我々は手本となるべき家であるはずだ。それが、何ということをしてくれたんだ!情けない!」
「皆、真面目過ぎるのよ!」
「当然ではないか、でなければ、侯爵にはなってしまったが、公爵だった家として当然のことだ!そう教えて来ただろうが!」
ライズ、デアン、オウリー前夫人も、手本になるべきだと生きて来た。嫁いで来たマリア夫人も、同じだった。
だからこそ、粛々と罰も受け入れることが出来る。
ロウスが疑われた時にも、ロウスは関与していないと思っていたからこそ、訴えたのである。
だが、ロウスだけは違った。表にはあまり出さないようにはしていたが、公爵家なのだから、優遇されて当然だと悪い使い方をしていた。
しかも、妃になってからは自分が一番上だと、皆を見下していた。
だからこそ、その地位を分からせるために、子どもが必要だった。番が見付かって、チャンスが巡って来たと思った。
過去は上手くいかなかったとあったが、私は特別だから違うと思っていた。
ローズミーに先を越されたことは苦々しく思ったが、モーラーが利用しましょうと言い、私のために風が吹いているのだと感じていた。
だが、さらにメロディが唆したことが分かり、メロディから奪うことになった。
しかも、アイルーンを殺し、ローズミーが妊娠したのだと思ったが、違った。血も奪えなくなり、ローズミーが妊娠した時には、殺意が芽生えた。
ただ、無事に生まれるのかという声もあり、生まれなければそれでいい。生まれたら、番とは違って、ディオエル様に影響はないのだから、ローズミーなら消せばいいと思っていた。
メロディはいなくなり、妃は増えたが、誰も妊娠することはなく、ローズミーも悲惨な姿になったことから、番の血を輸血した自分が妊娠の可能性が、一番高いのではないかと思っていたが、妊娠することはなかった。
妊娠は難しい年にはなったが、それでも自分が妃のトップだと思っていた。
だから、まさかこんなことになるとは思わなかった。
「酷いわ…どうして私がこんな目に…」
「明日には刑務所に移って貰う。以上だ!連れて行け」
「待って…待って…」
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