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【テイラー】以後
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ライシードは、クラードのことをディオエルに報告を行った。
「クラードは我が家の領地へ向かいました」
「死ぬ気だったか?」
「はい…縄を握り締めておりました」
「そうか…」
同じ罰を受けようと考えていたのだろうと、ディオエルもすぐに分かった。
「だが、良かった」
「はい、ペジリーの実家は関係ない、縁は切れているなどとわざわざ言っているようです」
ペジリーの実家は確かに関与はしていなかったために、罰などはなかったが、クラードを思いやることもなく、エウオン伯爵家とは関係ないと言っており、前はローズミーが妃になったことを自慢していたことから、逆に反感を買っている。
「謝罪することもなく…」
「こういった時に人柄が出ますね」
クラードの正直な人柄も勿論だったが、ペジリーやローズミーと関わっていなかったということも、多くの者が知っていたこともあった。
それなのに、まさに正直者が馬鹿を見る結果になってしまい、家族として責任を取らなくてはならないが、二人は処刑されるのだから、どうにかならないかと、多くの者が考えていた。
ペジリーの実家も、クラードに親身になっていた方が、まだ良かっただろう。
悪いのはエウオン伯爵家だと、嫁いだせいで娘はおかしくなったと言っており、クラードには二度と会うことがないことだけは確かである。
「ああ、他の者はどうだ?」
「ドアソア侯爵家は、きちんと受け止めているということで、社交も当分控えるとのことです。キリー家は親戚を頼って、住まいを移したようです」
「そうか」
「医師たちやテシー家は、ペジリーと同じです。関係ないと言っているようです。ハソン家は本当にリリノとは縁が切れているような形だったようで、何をしていたかも知らなかったようです」
全員ではないかもしれないが、現状で分かる限りの関与していた者は、テイラー嬢のおかげで、見つけ出すことが出来たと言える。
ディオエルだけであったなら、自白剤を手あたり次第使えば違ったかもしれないが、ローズミーとペジリーとラオイだけで終わっていただろう。
「ミリオン王国にも話をしに行かなくてはならないな…」
「はい。支払いも断れていますが、もう一度話した方がいいでしょう」
「ああ…こちらで預かっているだけだからな」
デリア侯爵家に賠償金を支払いたいと加害者家族が言っていることを伝えたが、テイラーが受け取らないと言った以上、受け取る気はないと返事を貰っていた。
おそらく、前に貰った賠償金も返したいと思っているくらいだろう。
だが、エウオン伯爵家、キリー男爵家、ドアソア公爵家から賠償金を国で預かっており、ベースレイ伯爵家も領地を隣接した領が買ってくれたことで、賠償金を支払うことが出来る。
その他は申し出すらなかったことも、伝えて置きたいと思っていた。
「王家とデリア侯爵に、お伺いをさせていただくようにしますか?」
「ああ、そうしてくれ」
「承知いたしました」
テイラー嬢のことは、敢えてライシードは口にしなかった。彼女に強要することは、二度としてはならないと感じていたからである。
そして、日程が合い、ミリオン王国へ再び向かうことになった。
ミリオン王国でも、アイルーン・デリアが病死ではなく、殺されたことが分かったと発表されたことで、混乱が起きていた。
同世代は酷く悲しみ、怒りを持つ者も多かった。どうして、アイルーンが殺されなくてはならなかったのか。
当時、妊娠していたことは、病死だったことから、アイルーンに責任が向かぬように隠されていたことも、ようやく公になった。
しかも、疑似番を行って、多くの関与者がいたことにも驚かされることになり、皆がアイルーンを利用しようとした結果である。
だが、犯人は見付かり、実行犯は処刑され、関与した者も罰を与えられた。
「クラードは我が家の領地へ向かいました」
「死ぬ気だったか?」
「はい…縄を握り締めておりました」
「そうか…」
同じ罰を受けようと考えていたのだろうと、ディオエルもすぐに分かった。
「だが、良かった」
「はい、ペジリーの実家は関係ない、縁は切れているなどとわざわざ言っているようです」
ペジリーの実家は確かに関与はしていなかったために、罰などはなかったが、クラードを思いやることもなく、エウオン伯爵家とは関係ないと言っており、前はローズミーが妃になったことを自慢していたことから、逆に反感を買っている。
「謝罪することもなく…」
「こういった時に人柄が出ますね」
クラードの正直な人柄も勿論だったが、ペジリーやローズミーと関わっていなかったということも、多くの者が知っていたこともあった。
それなのに、まさに正直者が馬鹿を見る結果になってしまい、家族として責任を取らなくてはならないが、二人は処刑されるのだから、どうにかならないかと、多くの者が考えていた。
ペジリーの実家も、クラードに親身になっていた方が、まだ良かっただろう。
悪いのはエウオン伯爵家だと、嫁いだせいで娘はおかしくなったと言っており、クラードには二度と会うことがないことだけは確かである。
「ああ、他の者はどうだ?」
「ドアソア侯爵家は、きちんと受け止めているということで、社交も当分控えるとのことです。キリー家は親戚を頼って、住まいを移したようです」
「そうか」
「医師たちやテシー家は、ペジリーと同じです。関係ないと言っているようです。ハソン家は本当にリリノとは縁が切れているような形だったようで、何をしていたかも知らなかったようです」
全員ではないかもしれないが、現状で分かる限りの関与していた者は、テイラー嬢のおかげで、見つけ出すことが出来たと言える。
ディオエルだけであったなら、自白剤を手あたり次第使えば違ったかもしれないが、ローズミーとペジリーとラオイだけで終わっていただろう。
「ミリオン王国にも話をしに行かなくてはならないな…」
「はい。支払いも断れていますが、もう一度話した方がいいでしょう」
「ああ…こちらで預かっているだけだからな」
デリア侯爵家に賠償金を支払いたいと加害者家族が言っていることを伝えたが、テイラーが受け取らないと言った以上、受け取る気はないと返事を貰っていた。
おそらく、前に貰った賠償金も返したいと思っているくらいだろう。
だが、エウオン伯爵家、キリー男爵家、ドアソア公爵家から賠償金を国で預かっており、ベースレイ伯爵家も領地を隣接した領が買ってくれたことで、賠償金を支払うことが出来る。
その他は申し出すらなかったことも、伝えて置きたいと思っていた。
「王家とデリア侯爵に、お伺いをさせていただくようにしますか?」
「ああ、そうしてくれ」
「承知いたしました」
テイラー嬢のことは、敢えてライシードは口にしなかった。彼女に強要することは、二度としてはならないと感じていたからである。
そして、日程が合い、ミリオン王国へ再び向かうことになった。
ミリオン王国でも、アイルーン・デリアが病死ではなく、殺されたことが分かったと発表されたことで、混乱が起きていた。
同世代は酷く悲しみ、怒りを持つ者も多かった。どうして、アイルーンが殺されなくてはならなかったのか。
当時、妊娠していたことは、病死だったことから、アイルーンに責任が向かぬように隠されていたことも、ようやく公になった。
しかも、疑似番を行って、多くの関与者がいたことにも驚かされることになり、皆がアイルーンを利用しようとした結果である。
だが、犯人は見付かり、実行犯は処刑され、関与した者も罰を与えられた。
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