【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】不純な気持ち2

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 貴族籍は外れても、縁を切るために籍を抜いたテイラーとは違い、子爵家の息子であることは変わらない。

 身元がきちんとしていること、何かあった際に後ろ盾となり、文官か騎士を目指すことが嫡男ではない多くの者がが選ぶ道である。

 どちらも得意とは言えないメルトは、勢いで婚約を解消したことを後悔していた。テイラーがまだ学園にいたら、話をしに行っていただろう。

 だが、テイラーは学園にも子爵邸にもおらず、平民になってしまったことで、復縁を望んでも、既にラオナが継ぐことになって、子爵家に婿入りは出来ない。

 そうでなければ、テイラーを無理にも探し出したかもしれない。

 しかも、ミニーのために婚約を解消したことは、見るに明らかであるために、他の縁談があるはずもなく、最後の抵抗として、婚約は子爵家が渋っている状態である。

 ミニーもラオナに、ミニーが嫁いだ方が幸せなのではないかと言われたことから、継ぐ家があると思い込んでおり、メルトがテイラーのエイク子爵家に婿入りすることを考えていなかった。

 ラオナが嫡女になったことで、子爵家のことはミニーには関係ないので、騙されたとまでは言わないが、継ぐ家がないとは思わなかったと話をしたが、お似合いだと思ったからと言われ、調べることもなかったミニーには何も言えなかった。

 結局、ラオナはミニーも馬鹿にしており、テイラーと同じで自分の思うがままだと、ほくそ笑ませるだけだった。

 メルトとの関係もテイラーがいなくなってから、上手くいかなくなった。

 邪険にされて、継ぐ家のある他の令息と婚約してやる!と思ったが、友人の婚約者を奪ったとされ、近寄ることも出来ない。

 それならば、文官でも騎士でもメルトと結婚して、責任を取って貰わないといけないと思ったが、すぐに婚約は出来ない、視線があるから一緒にいない方がいいと言われて、婚約も出来ないまま、時だけが過ぎている状態であった。

「まさか!彼女は騙されて…?知らないということですか?」
「知っていますよ」

 ギリシスもであるが、宰相もこのような有様で、よく持っているとすら、シュアリアは思い始めていた。早く、エレサーレを結婚させて、代替わりさせる方がいいという気持ちを強くした。

「彼女は聡明な子です。話していて分かりませんか?知らないとするならば、ラオナの方でしょう」
「ならば、問題ないではありませんか」
「そのことで、テイラー嬢は当主の教育を受けていたのに、彼女はあっさりと譲って、子爵家も捨てたのです」

 マフスも、勿論、ギリシスも、シュアリアの伝えたいことが分からなかった。

「当主の座すら、要らないということです!」
「当主も、子爵家も捨てた方が、皇帝陛下の番になりたいと思うと思いますか?」

 エレサーレも、さすがに分かっていない様子にシュアリアに付け加えた。

「働かなくていい、いい暮らしが出来るという気持ちを持つと思いますか?」
「だがな、苦労しなくていいと」
「彼女は既に皇帝宮での暮らしを知っているのですよ?何度も言っていますが、テイラー嬢は何も知らない、夢見がちな令嬢ではないのですよ?」
「…あ」

 良い暮らしを望む様な令嬢だったら、始めからこのようなことにはなっていない。

 元より、一度殺されている記憶があるなど、皇帝陛下が望んでいないのに、誰も嫁いで欲しいなど言えないはずだ。

 竜帝国でもアイルーン・デリアの事件は、皆が知っている。

 無理矢理にでも嫁がされたら、テイラーはアイルーンの記憶も、命すら盾にして、戦うだろう。彼女は既に自身の希望は達成しているのだ。

 後は穏やかに暮らしたいという思いだけだろう。

 テイラーは始めに嫁がないと宣言し、その後は周りが騒いでいただけで、ディオエルとテイラーの口から嫁ぐことの話すら出ていない。
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