【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】手紙(デリア侯爵)2

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「どうして……」

 ルーベンスは、様々な思いを受け取ったが、上手く言葉にならなかった。

 ベットで眠るテイラーに目をやったが、いくら穏やかな顔で、辛い痛みから解放されたと思っても、やはり悲しくなるだけだった。

 テイラーの人生は生き辛いものだっただろう。それでも、アイルーンのために、亡くした子どもために、生きることは悪いものではなかったと思えた。

 おかげでアイルーンが病死したとされたことは、覆された。

 感謝はもちろんだが、テイラーのことも、いや、テイラーのことは必ず守ろうと、思っていた。だが、結果は一番、起きてはならないことになった。

 アイルーンにも、申し訳が立たない。

 それこそ病気で死期を感じて、書いた物ならば受け止めることもできただろう。でもこれは、生きていくために書かれたものである。

「すまない……」

 黙って手紙を読むルーベンスを見ていた、ベルサートは声を掛けることにした。

「父上……」
「ああ、アイルーンの字だよ……」
「えっ、ああ……」

 ベルサートも一瞬、意味が分からなかったが、テイラーの字と同じだったのだと気付いた。

「お前も、皆も、さい、最後の言葉だ。読むといい」
「はい……葬儀はどうしますか?」
「ああ、教会に行って来る。皆はそばにいてやってくれ」
「はい、エイク子爵家はどうしますか」
「そうだな……知らせて、たまたま世話になったとでも話すか。エイク子爵家とは縁が切れているから、葬儀はこちらで取り仕切ると話そう」
「そうですね」

 エイク子爵家ならば、こちらから話せば、文句を言うことはないだろう。ある意味、力のない家で良かった。

「国王陛下に、エイク子爵夫妻と妹が会いに来ておりました」

 会話の聞こえたライシードが、それどころではなかったために慌てて伝えた。

「え?」
「妹があまりの態度だったために、国王陛下はエイク子爵と話をされましたが、父親はテイラー嬢の意見を尊重するような方だと思いました。国王陛下はテイラー嬢を説得するように申されておりましたが」
「ふざけたことを……」

 ルーベンスを筆頭に、部屋には怒りが充満としていた。

「妹はどういう態度だったのですか?」

 ナナリーが、ライシードに問い掛けた。

「テイラー嬢が皇帝陛下の番であるはずがないと、それを聞きたくてついて来たようでした。礼儀もなっておらず、エイク子爵も考えなくてはならないと考えているようです」
「そうでしたか、子爵も覚悟しているようですね」
「子爵はテイラー嬢は、一度決めたら変えることはない。番も亡くなっているのではないか、テイラー嬢の記憶のことは知りませんから、不安に思って断ったのではないかと考えておいででした」

 その言葉に時期侯爵夫人は、ホッとした。

「話はちゃんとできそうですね」
「ええ、そう思います。妻も同じ考えだとおっしゃってましたから、夫妻とはちゃんと話ができるのではないでしょうか」

 可もなく不可もない夫妻であったために、おかしな情報は入っていなかったが、それでもどう考えているかまでは分からなかった。

 だが、国王陛下相手に、そのように話すのであれば大丈夫だろう。

 もしも、話にならないような相手だとしたら、テイラーの親だとしても如何なる方法でも取るつもりであった。

「竜帝国からも、責任を追及する上の要望書を既に渡しております」
「そうでしたか」

 その言葉に相槌を打ったのは、ベルサートであった。

「はい。イオリクは既に竜帝国で自白剤を使用して、尋問を行うようにしております。次期に全てが分かるはずです」
「公になるのですよね」

 デリア侯爵家は、当然殺したいほどイオリクに怒りはあったが、テイラーに寄り添い、治療することが先決で、同じように悲しみ怒りを持つディオエルに、イオリクを任せることに不満はなかった。
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