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愛してはいけない人
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だが、レイラは生理が来なくなり、初めてのことで子宮が驚いたのだろうと思っていた。世話をすることがないので、使用人が把握することも出来なかった。
三ヶ月が経ち、心なしかお腹も膨らんで来ているように思い、狂気の際は避妊薬を服用していたため、病気だろうと考えた。腹部に水が溜まるという話を聞いたことがある。医者を呼ぶのと、念のために執事・サイワにも確認を取ることにした。
「申し訳ないのだけど、人に対応してくれる、出来れば人の医者を呼んで欲しいの。いらっしゃるかしら?」
「医者ですか?どこが具合が悪いのですか?」
「ええ、避妊薬を飲ませてくれたのよね?」
「っえ、はい。ミクサーが服用させました」
「そう、医者を呼んで貰える?多分、何かの病気だと思うわ…悲観しないでね、こんな体だもの、起こり得ることなの」
「そんな…医者は、何かあった時のために見付けてあります。すぐ手配します」
レイラに何かあった時のために人の医者をきちんと探してあり、レイラに配慮出来るように、話も付けてあった。
やって来たのは四十代の女性で、きちんとレイラの事情も分かった上で、最低限しか触らずに、診察をしてくれた。
「腹部に水が溜まるってことがあるのよね?この膨らみ、そうじゃないかしら?」
最初に妊娠を疑うのではなく、腹水が溜まっていると思っていたのかと驚いた。腹水は末期症状で現れる場ありもあり、余命僅かな場合もある。
「あの…妊娠、されてらっしゃいます」
「え?この国の避妊薬は効果は高いはずよね?」
キア皇国は獣人が多いため、避妊薬の効果は高い。さらに望まぬ妊娠の場合は、二日以内であれば堕胎薬もある。
「はい」
「粗悪品だったのかもしれないわね…」
体が不自由だからか、妊娠は望んでいなかったのかもしれない。避妊薬を服用して、だから腹水だと思ったのかと納得した。
公爵家がそのようなところから仕入れるとは考えられないが、妊娠しているのならば、粗悪品ということはあり得る。もしくは意図的に妊娠させようとしたか、どちらかだろう。だが、私の言うことではない。
「可能性はありますね…吐き気などはありませんでしたか」
「時々あるので、回数は変わらなかったと思います」
レイラ・フォッド公爵夫人は表には出て来ないが、名前だけは有名だ。獣人の番の被害者で、自身も獣人に選ばれて、精神面が不安定である。吐き気があることくらいは、無理もないことだ。
「匂いで気持ち悪くなったり、食べられなかったりはありませんでしたか」
「ないです、ちゃんと決まった物を食べています」
「では、夫人は元々、悪阻はほとんどなかったのかもしれません。お子様は無事に育っております」
「育っている?そんなはずは…」
「獣人の子どもは強いですから、あまり心配しなくても大丈夫です。歩くのが辛くなれば、車椅子もあります」
「ふっ、ふふふ」
ずっと怪訝な顔をしていたレイラが突然笑い出し、医師は驚いた。
「何か心配事がありますか」
「いいえ、ありません」
医師から妊娠を聞いた邸には喜びに満ち溢れ、ミクサーは泣き出してしまった。
血の抑制剤を服用すれば、もう子どもは難しいだろうと分かっていた。だが、子どもが生まれるならば、服用せずに済む。番との子どもが生まれれば、狂気を防ぐことが出来るからだ。
「車椅子を準備されておいた方がよろしいかと思います」
「既に準備しております」
「そうですか、奥様も最後は笑ってらっしゃいましたよ。今は休まれております」
本来ならおめでとうございますと、駆け付けたいところだったが、持ち場に戻り、クノルが帰って来ることを待ち侘びていた。
今日、医師が来ることはクノルも分かっていたが、前から決まっていた外せない会議があり、慌てて帰って来た。
三ヶ月が経ち、心なしかお腹も膨らんで来ているように思い、狂気の際は避妊薬を服用していたため、病気だろうと考えた。腹部に水が溜まるという話を聞いたことがある。医者を呼ぶのと、念のために執事・サイワにも確認を取ることにした。
「申し訳ないのだけど、人に対応してくれる、出来れば人の医者を呼んで欲しいの。いらっしゃるかしら?」
「医者ですか?どこが具合が悪いのですか?」
「ええ、避妊薬を飲ませてくれたのよね?」
「っえ、はい。ミクサーが服用させました」
「そう、医者を呼んで貰える?多分、何かの病気だと思うわ…悲観しないでね、こんな体だもの、起こり得ることなの」
「そんな…医者は、何かあった時のために見付けてあります。すぐ手配します」
レイラに何かあった時のために人の医者をきちんと探してあり、レイラに配慮出来るように、話も付けてあった。
やって来たのは四十代の女性で、きちんとレイラの事情も分かった上で、最低限しか触らずに、診察をしてくれた。
「腹部に水が溜まるってことがあるのよね?この膨らみ、そうじゃないかしら?」
最初に妊娠を疑うのではなく、腹水が溜まっていると思っていたのかと驚いた。腹水は末期症状で現れる場ありもあり、余命僅かな場合もある。
「あの…妊娠、されてらっしゃいます」
「え?この国の避妊薬は効果は高いはずよね?」
キア皇国は獣人が多いため、避妊薬の効果は高い。さらに望まぬ妊娠の場合は、二日以内であれば堕胎薬もある。
「はい」
「粗悪品だったのかもしれないわね…」
体が不自由だからか、妊娠は望んでいなかったのかもしれない。避妊薬を服用して、だから腹水だと思ったのかと納得した。
公爵家がそのようなところから仕入れるとは考えられないが、妊娠しているのならば、粗悪品ということはあり得る。もしくは意図的に妊娠させようとしたか、どちらかだろう。だが、私の言うことではない。
「可能性はありますね…吐き気などはありませんでしたか」
「時々あるので、回数は変わらなかったと思います」
レイラ・フォッド公爵夫人は表には出て来ないが、名前だけは有名だ。獣人の番の被害者で、自身も獣人に選ばれて、精神面が不安定である。吐き気があることくらいは、無理もないことだ。
「匂いで気持ち悪くなったり、食べられなかったりはありませんでしたか」
「ないです、ちゃんと決まった物を食べています」
「では、夫人は元々、悪阻はほとんどなかったのかもしれません。お子様は無事に育っております」
「育っている?そんなはずは…」
「獣人の子どもは強いですから、あまり心配しなくても大丈夫です。歩くのが辛くなれば、車椅子もあります」
「ふっ、ふふふ」
ずっと怪訝な顔をしていたレイラが突然笑い出し、医師は驚いた。
「何か心配事がありますか」
「いいえ、ありません」
医師から妊娠を聞いた邸には喜びに満ち溢れ、ミクサーは泣き出してしまった。
血の抑制剤を服用すれば、もう子どもは難しいだろうと分かっていた。だが、子どもが生まれるならば、服用せずに済む。番との子どもが生まれれば、狂気を防ぐことが出来るからだ。
「車椅子を準備されておいた方がよろしいかと思います」
「既に準備しております」
「そうですか、奥様も最後は笑ってらっしゃいましたよ。今は休まれております」
本来ならおめでとうございますと、駆け付けたいところだったが、持ち場に戻り、クノルが帰って来ることを待ち侘びていた。
今日、医師が来ることはクノルも分かっていたが、前から決まっていた外せない会議があり、慌てて帰って来た。
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