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もう二度と
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アークスを抱っこするシュアンに、涙が零れそうだった。
「どうしたんだ…歓喜余ったのか?」
「どうしたの、あなた」
レーリアはグルズの顔を見て、ギョッとした。
「シュアンの子だろう?」
「ああ、そうだと言ったじゃないか」
「そうじゃない、シュアンの幼い頃に面影がある…」
レーリアは幼い頃は知らないために、分からなかったが、こんな表情をするのは、自身の子どもが生まれた時くらいだった。
「ああ、そうだな」
シュアンもあまりに似て来るようならば、養子には変わりないが、自分の子どもではあると言おうと思っていた。私生児を認知すると母親が必要となるために、選ぶことは出来なかった。
似ていると言われることも多くなり、グルズに会わせたのも、確認を兼ねていた。
アークスを乳母に託し、シュアンとグルズとレーリア、三人きりとなった。
「どうして言わなかった…」
「養子には変わりないからな」
「お前の子どもじゃないか!言ってくれていたら、どれだけ喜んだか」
「悪かった」
「母親は…」
番である以上ミファラ以外にないが、それは認められない。
「母親は亡くなった」
「本当のことを言ってくれ」
「母親は亡くなった」
「私が誰かに言うと思っているのか!」
シュアンはグルズが言い振らすかもしれないから、言わなかったわけではないが、そう取られても仕方のないことだった。
「これが事実なんだ。グルズも親だ、アークスが可哀想だと思っているのだろう?違うか?」
「世話をしていないのか?」
「ああ、一切していない。関わることもない」
「なぜだ!」
グルズはミファラは子どもが好きで、だから会いたがっていると思っていた。それなのに産んだのに、関わらないとはどういうことだと、怒りを感じていた。
「そう望まれたのですね?」
レーリアはグルズとは違い冷静に、シュアンに問うた。
「そうです、母親は亡くなって既にいない。これが事実だ」
「そうですか…」
「だが、子どもだぞ?彼女は子どもと暮らしたかったはずだ」
「それはアデルだけだよ」
「同じ子どもじゃないか」
「彼女は堕胎を希望していた」
「っな…」
まさか堕胎をしようとしていたとは、それはアデルの母親としても、してはいけないことではないのではないか。
「先程、夫人が言ったように母親ではないことが条件だったんだ」
「でも今度は育てられるじゃないか」
「あなた、それは違うわ。アデル様を育てられなかったのに、アークス様を育てるわけにはいかない。愛してはいけない…そう思ったはずよ」
「それは…でも半年は育てたんだ」
育てられなかったことを、また子どもをするべきではないだろう。代わりではないが、アデルの分まで愛してあげればいいじゃないかと思っただけだ。
「アデル様のように半年で放棄しろっていうの?」
「そんなことは言っていない!」
「同じ愛情をというのであれば、そういうことになってしまうのよ。子どもに罪はないのならば、遠ざけて、母親はいない、私は母親ではない、そうすることで精神を保っているではないかしら」
レーリアは自分だったらと何度も考えていた。グルズから養子のことを聞いた際は、グルズは残念そうにしていたが、これで良かったと思っていた。
だが、彼女の子ならば、自分の子ではないとすることで、アデルへの気持ちは変わらないことの証明、そして罪滅ぼしのつもりなのではないかと察した。
「夫人の言う通りだと思う。そうでなければ、彼女はまた壊れたかもしれない…」
「すまない…」
「いや、これは私が背負うべきことなんだ。私が育てるから産んで欲しいと願った。彼女には一切、責任はない。グルズも夫人も聞いたことは忘れてくれ」
「どうしたんだ…歓喜余ったのか?」
「どうしたの、あなた」
レーリアはグルズの顔を見て、ギョッとした。
「シュアンの子だろう?」
「ああ、そうだと言ったじゃないか」
「そうじゃない、シュアンの幼い頃に面影がある…」
レーリアは幼い頃は知らないために、分からなかったが、こんな表情をするのは、自身の子どもが生まれた時くらいだった。
「ああ、そうだな」
シュアンもあまりに似て来るようならば、養子には変わりないが、自分の子どもではあると言おうと思っていた。私生児を認知すると母親が必要となるために、選ぶことは出来なかった。
似ていると言われることも多くなり、グルズに会わせたのも、確認を兼ねていた。
アークスを乳母に託し、シュアンとグルズとレーリア、三人きりとなった。
「どうして言わなかった…」
「養子には変わりないからな」
「お前の子どもじゃないか!言ってくれていたら、どれだけ喜んだか」
「悪かった」
「母親は…」
番である以上ミファラ以外にないが、それは認められない。
「母親は亡くなった」
「本当のことを言ってくれ」
「母親は亡くなった」
「私が誰かに言うと思っているのか!」
シュアンはグルズが言い振らすかもしれないから、言わなかったわけではないが、そう取られても仕方のないことだった。
「これが事実なんだ。グルズも親だ、アークスが可哀想だと思っているのだろう?違うか?」
「世話をしていないのか?」
「ああ、一切していない。関わることもない」
「なぜだ!」
グルズはミファラは子どもが好きで、だから会いたがっていると思っていた。それなのに産んだのに、関わらないとはどういうことだと、怒りを感じていた。
「そう望まれたのですね?」
レーリアはグルズとは違い冷静に、シュアンに問うた。
「そうです、母親は亡くなって既にいない。これが事実だ」
「そうですか…」
「だが、子どもだぞ?彼女は子どもと暮らしたかったはずだ」
「それはアデルだけだよ」
「同じ子どもじゃないか」
「彼女は堕胎を希望していた」
「っな…」
まさか堕胎をしようとしていたとは、それはアデルの母親としても、してはいけないことではないのではないか。
「先程、夫人が言ったように母親ではないことが条件だったんだ」
「でも今度は育てられるじゃないか」
「あなた、それは違うわ。アデル様を育てられなかったのに、アークス様を育てるわけにはいかない。愛してはいけない…そう思ったはずよ」
「それは…でも半年は育てたんだ」
育てられなかったことを、また子どもをするべきではないだろう。代わりではないが、アデルの分まで愛してあげればいいじゃないかと思っただけだ。
「アデル様のように半年で放棄しろっていうの?」
「そんなことは言っていない!」
「同じ愛情をというのであれば、そういうことになってしまうのよ。子どもに罪はないのならば、遠ざけて、母親はいない、私は母親ではない、そうすることで精神を保っているではないかしら」
レーリアは自分だったらと何度も考えていた。グルズから養子のことを聞いた際は、グルズは残念そうにしていたが、これで良かったと思っていた。
だが、彼女の子ならば、自分の子ではないとすることで、アデルへの気持ちは変わらないことの証明、そして罪滅ぼしのつもりなのではないかと察した。
「夫人の言う通りだと思う。そうでなければ、彼女はまた壊れたかもしれない…」
「すまない…」
「いや、これは私が背負うべきことなんだ。私が育てるから産んで欲しいと願った。彼女には一切、責任はない。グルズも夫人も聞いたことは忘れてくれ」
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