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第20話
心労が絶えない兄弟11(マルフレン王国)
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フーミナも同様で、友人の婚約者との不貞行為が公になり、他の友人も去って行き、キュリートに泣きつこうとするも、こちらも近付けない。
子爵家に多額の慰謝料で資産はほとんどなくなり、自身の婚約も解消になり、関係を持った相手にも慰謝料を請求されたことで、罵られるようになった。
だがそれ以上に情事や裸を見られたこと、広場でのことで悪夢を見るようになり、周りの視線や話が気になって、家に引き籠るようになった。
セナリアン見事に精神的に追い込んだと言えるだろう。
「臨時収入よ!はい、ルブラン。はい、ビスタ。アガットにも渡さなくちゃ。あとは万が一の時に置いておきます」
ポンポンと二十五万エルメ渡すも、二人とも眉間に皺を寄せている。セナリアンの仲間の魔術師たちは、どうしても欲しい物は、セナリアンに言えば、簡単に買って貰えるため、お金に執着する者がいなくなってしまっている。
「ほとんどセナ様がしたのに」
「そうですよ」
「そんなことないわ、証拠とか色々やって貰ったじゃない。貰っておきなさい」
「では有難く」
「ありがとうございます」
「で、広場で何を見せていたのか教えてください」
「僕も気になっていました」
見えなかったが、敢えて広場でパードルとフーミナに視線を集めるのに、何か使ったことは分かっている。
「ああ…これよ!記憶には残らないようにしてあるから」
現れたのは、ヘドロ色の小さいゾウみたいなもの。しかもなんか、臭い上に、目が溶けたように死んでいる。
「ゾウですか?」
「ゾウではないような?」
「ゾウのようなものね、ゾウに失礼でしょう?」
「何て物を…」
「これが発言に繋がるわけですね」
「ええ、見えていると思わせたかったけど、可愛いものではダメージが与えられないじゃない」
「何だろうと思うけど、近付きたくない感じですね」
「臭いですしね」
ポンと消すと、ルブランとビスタは嘘のように何を見たか覚えていない。
「ふふ、これで欲しいものが買えます」
何だか嬉しそうなビスタに、二人は興味を示した。
「何が欲しかったの?買ってあげるわよ?」
「自分で買いたいのです」
「何を?」
「手袋です」
「手袋って…買ってあげるわよ」
「高いんです!三万エルメもするんです」
「それは高いわね」
手袋で三万エルメは高級品だろう。身なりにそこまでお金を掛ける質ではないのに、余程気に入ったのだろうか。
「でしょう?でも暖かくて、お洒落なんです。でもこのお金で買えます」
「私から一万エルメ、あげるわ」
「私もやろう」
「ええ!いいですって」
「カンパってやつよ、これで買いなさい」
「じゃあ、ありがとうございます。赤と黒で迷っていて」
「赤にしなさい、赤が似合うわ」
「うん、私もそう思う」
「じゃあ、赤にします」
ビスタは十九歳の男なのだが、非常に可愛いのだ。顔も可愛いが、性格が可愛い。次に会った時に嬉しそうに赤い手袋をしていて、ルブランとほっこりした。
「私もまた編み物でもしようかしら」
「ああ、あの動物の…でもお子さんたち喜ぶのではありませんか」
「そうね、臨時収入もあったし、毛糸買いに行って来るわ」
その後、合間に編み物をするセナリアンが随所で見掛けられたが、凄まじい速さで、皆が目をパチパチさせていたという。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございました。
マルフレン王国編はこれで終わりとさせていただきます。
明日からは閑話を投稿させていただきます。
そして、また清書出来ましたら、順次投稿させていただきます。
よろしくお願いいたします。
子爵家に多額の慰謝料で資産はほとんどなくなり、自身の婚約も解消になり、関係を持った相手にも慰謝料を請求されたことで、罵られるようになった。
だがそれ以上に情事や裸を見られたこと、広場でのことで悪夢を見るようになり、周りの視線や話が気になって、家に引き籠るようになった。
セナリアン見事に精神的に追い込んだと言えるだろう。
「臨時収入よ!はい、ルブラン。はい、ビスタ。アガットにも渡さなくちゃ。あとは万が一の時に置いておきます」
ポンポンと二十五万エルメ渡すも、二人とも眉間に皺を寄せている。セナリアンの仲間の魔術師たちは、どうしても欲しい物は、セナリアンに言えば、簡単に買って貰えるため、お金に執着する者がいなくなってしまっている。
「ほとんどセナ様がしたのに」
「そうですよ」
「そんなことないわ、証拠とか色々やって貰ったじゃない。貰っておきなさい」
「では有難く」
「ありがとうございます」
「で、広場で何を見せていたのか教えてください」
「僕も気になっていました」
見えなかったが、敢えて広場でパードルとフーミナに視線を集めるのに、何か使ったことは分かっている。
「ああ…これよ!記憶には残らないようにしてあるから」
現れたのは、ヘドロ色の小さいゾウみたいなもの。しかもなんか、臭い上に、目が溶けたように死んでいる。
「ゾウですか?」
「ゾウではないような?」
「ゾウのようなものね、ゾウに失礼でしょう?」
「何て物を…」
「これが発言に繋がるわけですね」
「ええ、見えていると思わせたかったけど、可愛いものではダメージが与えられないじゃない」
「何だろうと思うけど、近付きたくない感じですね」
「臭いですしね」
ポンと消すと、ルブランとビスタは嘘のように何を見たか覚えていない。
「ふふ、これで欲しいものが買えます」
何だか嬉しそうなビスタに、二人は興味を示した。
「何が欲しかったの?買ってあげるわよ?」
「自分で買いたいのです」
「何を?」
「手袋です」
「手袋って…買ってあげるわよ」
「高いんです!三万エルメもするんです」
「それは高いわね」
手袋で三万エルメは高級品だろう。身なりにそこまでお金を掛ける質ではないのに、余程気に入ったのだろうか。
「でしょう?でも暖かくて、お洒落なんです。でもこのお金で買えます」
「私から一万エルメ、あげるわ」
「私もやろう」
「ええ!いいですって」
「カンパってやつよ、これで買いなさい」
「じゃあ、ありがとうございます。赤と黒で迷っていて」
「赤にしなさい、赤が似合うわ」
「うん、私もそう思う」
「じゃあ、赤にします」
ビスタは十九歳の男なのだが、非常に可愛いのだ。顔も可愛いが、性格が可愛い。次に会った時に嬉しそうに赤い手袋をしていて、ルブランとほっこりした。
「私もまた編み物でもしようかしら」
「ああ、あの動物の…でもお子さんたち喜ぶのではありませんか」
「そうね、臨時収入もあったし、毛糸買いに行って来るわ」
その後、合間に編み物をするセナリアンが随所で見掛けられたが、凄まじい速さで、皆が目をパチパチさせていたという。
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お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございました。
マルフレン王国編はこれで終わりとさせていただきます。
明日からは閑話を投稿させていただきます。
そして、また清書出来ましたら、順次投稿させていただきます。
よろしくお願いいたします。
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