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父と父1
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「ダリーツ、この度はすまなかった!ヨルレアン嬢にも、落ち着いてからで構わないので、謝罪させて貰いたい」
約束通り、ダズベルト陛下に会うことになったダリーツ・オズラール公爵が部屋に入ると、すぐさまダズベルトは立ち上がって、謝罪した。
「承知しました」
「押し付けた者と、エルドールにも話は聞いた、馬鹿息子にほとほと呆れ、ヨルレアン嬢は体は大丈夫だろうか?」
「はい、念のため侍医にも診せましたら、栄養不足と睡眠不足、過労ということで、休養すれば大丈夫だろうとのことでした」
疲弊していることは明らかで、体重も減っていた。
「本当にすまなかった!」
ダズベルトは16歳の子を、大人たちがそのような状況に追い込んだことに、自分を激しく責めた。
「ゆっくり休ませてやってくれ。押し付けた者には、相応の対処をする。手始めに、王妃が怒鳴り込んでおったから、何か言って来ることはないはずだ」
妻であり、母親であるオーベル王妃に話をすると、エルドールには同様に呆れ、押し付けた者たちには、私が話を付けて来ますと、怒鳴り込んでいった。
そして、エルドールにはダズベルトが散々言ってしまったために、さらに咎めることは言わないが、終始、冷めた目で見つめている。
「よろしくお願いいたします」
「それで、馬鹿息子のことなのだが…まあ、座ってくれ」
向き合って座り、ダズベルトは『はあ』と大きな溜息を付いた。
「話は聞いたのだが、私も宰相ですら理解出来なかった」
「はい、私もヨルから聞きましたが、理解が出来ませんでした」
「やはりそうか?」
ヨルレアン側から聞いたダリーツなら、分かるかと思ったら、そちら側も分からないとは、情けないとしか言いようがない。
「馬鹿息子は、なぜそこまで問題にしたのかが分からない」
「はい、怒鳴ったことは私的な理由だったようで、謝ったそうですが」
「私的な理由?」
「どうやらヨルは、このところ1週間くらい、ほとんど寝ておらず、あの日に関しては2日前から横になっただけの状態だったようで、言い合っていたことが過剰にうるさく感じたのでしょう」
「な、それは申し訳ないことをした」
ダズベルトは国王は簡単に謝ってはならないとは思っておらず、国に関わることであれば、きちんと相談をするが、人同士で謝罪すべき場合はしっかりと謝罪をする。
「いえ、あの子は責任感が強いので、無理をしてでもと思っていたようですが、殿下に相応しくないと言われたことがきっかけとなり、人としての限界だと言われて、さすがに止められませんでした」
「いや、何も悪くない。そんな状態なのに、あの馬鹿息子は…はあ」
ダリーツはこちらで調べようかとも思っていたが、まずは陛下に会ってからと思い、気になっていた男爵令嬢のことを聞くことにした。
「失礼ですが、殿下とその男爵令嬢と、親しい関係なのですか?」
「生徒会の仲間だとは言っておった。特に怪しいような報告も受けていなかったが、念のため調べさせている」
「そうですか…」
「何か言っていたのか?私には怒られると思って言わなかったのか?」
ダズベルトは身を乗り出して、ダリーツに近付いた。
「いっ、いえ、何か言われたようなことはないようでしたが…殿下がその男爵令嬢の横に座り、潤んだ瞳で見ながら、腕を持たれていたと言っておりました」
「な!何だと…婚約者の前で?馬鹿息子が!」
「ヨル曰くですが、彼女の前で私を咎めることで、格好いいと思われたかったのではないかと…」
ダズベルトのこめかみに、青筋が浮き出ていく様が確認出来たために、ダリーツは言葉に詰まった。
「そんな、くだらんことで!ふざけやがって!」
「あくまでヨルの見解ですが…」
「いや、ヨルレアン嬢にそう思わせたことが問題だ!その娘もどうなっておるのだ!本当に調子に乗っているではないのか?」
約束通り、ダズベルト陛下に会うことになったダリーツ・オズラール公爵が部屋に入ると、すぐさまダズベルトは立ち上がって、謝罪した。
「承知しました」
「押し付けた者と、エルドールにも話は聞いた、馬鹿息子にほとほと呆れ、ヨルレアン嬢は体は大丈夫だろうか?」
「はい、念のため侍医にも診せましたら、栄養不足と睡眠不足、過労ということで、休養すれば大丈夫だろうとのことでした」
疲弊していることは明らかで、体重も減っていた。
「本当にすまなかった!」
ダズベルトは16歳の子を、大人たちがそのような状況に追い込んだことに、自分を激しく責めた。
「ゆっくり休ませてやってくれ。押し付けた者には、相応の対処をする。手始めに、王妃が怒鳴り込んでおったから、何か言って来ることはないはずだ」
妻であり、母親であるオーベル王妃に話をすると、エルドールには同様に呆れ、押し付けた者たちには、私が話を付けて来ますと、怒鳴り込んでいった。
そして、エルドールにはダズベルトが散々言ってしまったために、さらに咎めることは言わないが、終始、冷めた目で見つめている。
「よろしくお願いいたします」
「それで、馬鹿息子のことなのだが…まあ、座ってくれ」
向き合って座り、ダズベルトは『はあ』と大きな溜息を付いた。
「話は聞いたのだが、私も宰相ですら理解出来なかった」
「はい、私もヨルから聞きましたが、理解が出来ませんでした」
「やはりそうか?」
ヨルレアン側から聞いたダリーツなら、分かるかと思ったら、そちら側も分からないとは、情けないとしか言いようがない。
「馬鹿息子は、なぜそこまで問題にしたのかが分からない」
「はい、怒鳴ったことは私的な理由だったようで、謝ったそうですが」
「私的な理由?」
「どうやらヨルは、このところ1週間くらい、ほとんど寝ておらず、あの日に関しては2日前から横になっただけの状態だったようで、言い合っていたことが過剰にうるさく感じたのでしょう」
「な、それは申し訳ないことをした」
ダズベルトは国王は簡単に謝ってはならないとは思っておらず、国に関わることであれば、きちんと相談をするが、人同士で謝罪すべき場合はしっかりと謝罪をする。
「いえ、あの子は責任感が強いので、無理をしてでもと思っていたようですが、殿下に相応しくないと言われたことがきっかけとなり、人としての限界だと言われて、さすがに止められませんでした」
「いや、何も悪くない。そんな状態なのに、あの馬鹿息子は…はあ」
ダリーツはこちらで調べようかとも思っていたが、まずは陛下に会ってからと思い、気になっていた男爵令嬢のことを聞くことにした。
「失礼ですが、殿下とその男爵令嬢と、親しい関係なのですか?」
「生徒会の仲間だとは言っておった。特に怪しいような報告も受けていなかったが、念のため調べさせている」
「そうですか…」
「何か言っていたのか?私には怒られると思って言わなかったのか?」
ダズベルトは身を乗り出して、ダリーツに近付いた。
「いっ、いえ、何か言われたようなことはないようでしたが…殿下がその男爵令嬢の横に座り、潤んだ瞳で見ながら、腕を持たれていたと言っておりました」
「な!何だと…婚約者の前で?馬鹿息子が!」
「ヨル曰くですが、彼女の前で私を咎めることで、格好いいと思われたかったのではないかと…」
ダズベルトのこめかみに、青筋が浮き出ていく様が確認出来たために、ダリーツは言葉に詰まった。
「そんな、くだらんことで!ふざけやがって!」
「あくまでヨルの見解ですが…」
「いや、ヨルレアン嬢にそう思わせたことが問題だ!その娘もどうなっておるのだ!本当に調子に乗っているではないのか?」
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