【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ

文字の大きさ
49 / 131

不満

しおりを挟む
 オマリーは何度か生徒会の仕事がとグイーズ先生に言ったが、殿下がこちらは問題ないから専念して欲しいと言われれば、やるしかなかった。

 それでもオマリーは何度か生徒会室に顔を出したが、早く行った方がいいのではないかと言われて、すぐに職員室の隣の空き教室に行くことになった。

 文芸部の4人は楽しそうに作業をしていたが、オマリーは私はこんなこと望んでいないと、不満を募らせていった。

 こんなことをしていたら、生徒会から必要ないと言われているようではないかと、このまま誤解をされては困る。

 だが、理由もなしに投げ出すことも出来なかった。

 どうにかしなくてはいけないと思い、やはり殿下からオマリーを戻して欲しいと言って貰うのが一番だと、話をしようと生徒会室に向かった。

 その日、カイロスの妹であるリスカーダが手伝いに来ていた。

 オマリーが訊ねるようなことがあれば、たまたまカイロスに会いに来たから、手伝いをして貰っていると話す予定になっている。

 リスカーダはいつものごとくカイロスを叱っており、エルドールがそのくらいにしてやってくれと、和気あいあいとした雰囲気であった。

 そこへやって来たオマリーに、エルドールが声を掛けた。

「お疲れ様、何か取りに来たのかい?」
「はい、お疲れ様です」

 オマリーは黙っていれば、実際の年齢より大人っぽく見える美しいリスカーダが、誰か分からず、ちらりと見つめた。だが皆、リスカーダのことをわざわざ説明するつもりはなかった。

 エルドールも身を持って知った、男爵令嬢に公爵令嬢を紹介する必要がないからである。

 リスカーダはサージの隣のオマリーの机ではなく、兄であるカイロスの横で作業をしている。

 婚約者のジャスミンにも手伝いが妹のリスカーダであれば、あらぬ誤解を招かず、サージも隣ではないので、公爵令嬢に緊張することもなく、手伝って貰うことが出来る逸材であった。

 ローズマリーもジュニパーも、リスカーダとは前から知り合いである。

 オマリーは自分の机に向かったが、何か取りに来たわけではない。ローズマリーがいる場で願い出るのは嫌なので、殿下を呼んで話をしようと思ったが、エルドールもオマリーに声を掛けた後は、忙しそうにしている。

 しかも、リスカーダがいることがオマリーには異物であった。

 その日は切り出すことが出来ず、創立記念誌の作業をすることにした。

 先程の令嬢は一体、誰なのだろうかと考えた。同じクラスではなく、隣のクラスでも見たことはない。ということは、Sクラスではない。

 何か書いているようではあったが、一体何をしていたのか。

 まさか、私の代わりだというのか。どうして私を戻さずに、あんな令嬢にさせているのか。

 だが、戻る好機だと考えた。

 明日、あの令嬢のことを聞いて、戻ると伝えよう。殿下も手伝いに行けばいいと言ったが、きっと困っているのだろう―――。

 エルドールは、オマリーが手伝いに行った日に、サージ以外の生徒会のトイラン・デーゼア伯爵令息、ジュニパー・ヒーロア侯爵令嬢にも、オズラール公爵邸のことは伏せて、ローズマリーとのことをオマリーのことを伝えることにした。

「何度か手伝いたいと言っていましたが、異常ですね」
「それはちょっと、あり得ませんわね。頼んだのは、ローズマリー嬢でしょう?おかしいわ」
「私もボディタッチというのでしょうか、困っておりまして」

 ローズマリーと同じ会計のトイランも、実はオマリーにボディタッチをされて、困っていたと話したのである。

「そうだったのか」
「はい」
「今もか?」
「はい、減りはしましたが…止めて欲しいとは伝えたのですが、癖だと言われて、そんなこと私には関係ないと思い、距離を取るようにしています」
「我々もだ」

 エルドールとカイロスにはして来なくなっていたので、今も被害者がいたとは思わなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜

水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」 効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。 彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。 だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。 彼に残した書き置きは一通のみ。 クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。 これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。

処理中です...