【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ

文字の大きさ
93 / 131

延長希望

しおりを挟む
「短期留学というお話だったはずです」
「だが、2ヶ月では何も学べません」
「ノーリー嬢の試験の結果が、悪かったからですか?」
「正直、そうです。まだこちらに慣れておらず、実力が発揮出来ていないのです。ルスデン王国では二人とも優秀だったのです」

 学園長はその言葉で、やはりルスデン王国とは、学力が違うのだろうと実感した。

 詐称をしたならば、アリナと共に、ファミラも試験を受けなければ良かった。だが、ファミラは進んで受けたいと言ったのである。

「延長を相談するにしても、ノーリー嬢はSクラスには在籍は出来ませんよ」
「だが」
「ノーリー嬢はSクラスで、大きく下回って最下位です」
「っ」

 グルダイヤ侯爵もアリナではないが、点数からそうではないかと思っていたが、事実を突きつけられると、さすがにショックを受けた。

「2ヶ月ということ、優秀だということでしたので、Sクラスに入れましたが、延長が許可されてもABクラスに移って貰うことになります」
「だが、それでは出来が悪いようではないか」
「実際、Sクラスでは出来が悪いのです。本人もさすがに自覚があるでしょうから、その方がいいのではありませんか」
「それは…」

 落ちこぼれたように思うのではないかと思ったが、アリナとファミラは試験を受けて、Sクラスに入れたわけではない。

「Sクラスは許可は出来ません。ハッソ嬢の方は試験を受けるか、ノーリー嬢と一緒にABクラスに移っていただきます」
「分かった…」

 グルダイヤ侯爵はアリナも聖女の実力を見せるために、試験を受ければいいと思っていた。だが、どうしても自信がないと言い、無理強いは出来ずに、ファミラだけが受けることになった。

 だが、結果がもしも、ファミラと同じような物だったらと思いはしたが、慣れていないだけだろうと考えるようにした。

 わざわざ試験を受けるよりも、アリナはファミラと一緒にいることから、おそらく一緒に移ると言うだろう。

 アリナとファミラにはSクラスから落ちたわけではなく、留学が延長になって、クラスが変わると説明すればいいと諦めることにした。

「それで、あとどのくらい希望されますか?」
「次の試験まではどうだろうか」

 次の試験は4ヶ月後となり、トータルで半年の留学を希望することにした。その頃にはきっと、本来の実力を見せることが出来るのではないかと考えた。

「では、次回は二人ともに試験を受けていただき、試験の結果が出たら、終了ということでよろしいですね?」
「ああ」
「まだ私だけの判断は出来ませんが、ルスデン王国の方は許可されているのですね?」
「許可を得ている」

 ルスデン王国としても、そんな状態のまま帰されるのは不本意であることから、是非と了承を得た。

「では、こちらも相談をさせていただきます」
「よろしく頼む」

 学園長は教師たちに相談し、その後で王家に相談に行くことにした。

 教師たちはクリスティーナなら拒否したが、アリナの聖女ということは考えないようにすれば、延長はいいのではないかという結論になった。

 ダズベルトに時間を貰い、やはりグルダイヤ侯爵が延長を申し出たことを話した。

「やはり来たか…」
「はい、ノーリー嬢の試験の結果ですら、グルダイヤ侯爵の思った結果ではなかったようです」
「それはそうだろうな…あの試験が良かったら、素晴らしいだろういう顔をしていただろう」
「おそらくそうなったことでしょう」

 グルダイヤ侯爵は悪人顔ではないが、ニヤリとした顔の似合う男で、爵位が高いだけで、力はないのだが、どこか嫌味っぽさが滲み出ている。

 それでもグルダイヤ侯爵家も、現当主は別として、過去には役に立つこともあったので、無碍にすることも出来ないという立ち位置である。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです

今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。 が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。 アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。 だが、レイチェルは知らなかった。 ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。 ※短め。

処理中です...