【完結】言いたくてしかたない

野村にれ

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普通に

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「美しいから、母親に丁度いいと目を付けられたのだろうと考えているそうだが、酷く怯えてしまっているそうだ」
「災難でしたわね…やはり動機は不特定多数の殿方に、愛されたかったということですの?」
「そう、なんだろうな」
「どういうお気持ちなのかしら…?」

 沢山の人に愛されたい、アイドルは応援して欲しいだけで、個人的に愛されたいとは違うだろう。ガールズバーやキャバ嬢も仕事だから、違うだろう。

 前世と現世の愛人だって、掛け持ちする方はいない。掛け持ちするならば、娼婦嬢の方だろう。

「性的な関係を持たれた方はおりませんの?」
「私は断じてそのようなことは!」

 レオナルドはココの口から性的という言葉に恥ずかしくなっただけだが、まるで実はやっているかのような慌てっぷりで、ココはじっとりといった目で見つめた。

「あなたもですけど、あれだけ側にいたのですから」
「だからそれは…事情があって…」
「で、おりませんの?」
「まだ調査中だ」

 善処しますと言って、必ずしも解決が出来ないという意味ではないか?

「やっぱり理由が分からないわね」
「ココは分からなくていいと思う!」

 はあ…羨ましいわけではありませんわよ。しかも、レオナルドは熱く語っておりますが、まだハーレムの一味だった印象がまだありますのよ。

 正直、婚約破棄か、婚約解消になると思っていたので、いくら親が決めた縁談だとはいえ、既にレオナルドと結婚する気がすっかりなくなっていた。

 傷物になれば、碌な縁談はないだろうと、どこか地方の小山のありそうな地方貴族に嫁ぎたいと思っていた。

 そうすれば、ちょっと出掛けて、叫べそうでしょう?

 え?変な噂になる?確かに、あそこの奥さんが山に登ると、けったいな言葉が聞こえると、言われ兼ねないとは思っておりますわ。でも、どこか良い場所があるかもしれないじゃない。

 王都よりも、希望がございます。

 下位令嬢ならまだしも、侯爵令嬢に、そんなに上手い話はない?ええ、確かに最悪な展開としては、ハーレムの中で婚約者を交換するという、おぞましい展開になることを危惧していたくらいですわ。

 交換なんてと思ったでしょう?ハーレムの中にも、婚約者がいる方ばかりですのよ。そして、ここで親が登場して、そんな話になる可能性もあったと思うのですよ。気持ち悪いというか、上手くいくはずないでしょう?

「すっきりしませんわ」
「そうだよな、調査が進めば、分かることもあると思う」
「分かりましたわ」

 それから陛下からも魅了眼事件として、発表された。

 おかげで、ハーレム一令息の婚約者の令嬢たちは、婚約解消が出来ないまま、継続されることになってしまった。それでも婚約解消をしたい令嬢もいるために、話し合いをしている方たちもいる。

 ココもその令嬢の中に含まれることになってしまったが、当の本人は〇えみのことは気になるけど、正直それよりも、ギャクを言いたい方が勝っている。

 言うならば〇野の『〇ッホより~普通に〇ッセンが好き~』を変えて、『婚約問題より~普通にギャグが言いたい~』状態である。

 肌に合う絶妙な色の下着に加えて、水色のシャツも探し始めてもいる。

「大変でしたわね」
「ええ、そうですわね。驚きましたわ」

 声を掛けて来たのは、同じ侯爵令嬢であるキャラット・ギアス。また、何か惜しい感じですわよね。ですが、こちらは華やかな美しい令嬢ですわよ。

 彼女の婚約者は、学園を卒業しているので、ハーレムの中にはおりません。

「クリネックは、解消したいと言っているそうだけど?」
「そうらしいですわね」

 クリネックにも引っ掛かりました?ええ、あれですわよね、ちょっと高級感のある生活用品ですわね。しかも、家名がテイシーと言いますの、頭の中にはカラフルな箱が登場しますわよね?抗えませんわよね?
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