運命だとは認めない

野村にれ

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嫌悪感

「何の話だ?特に話をすることもないと思うが?」
「相変わらず冷たいのね」

 まるでメイファスのことをよく知っている素振りだが、アリルールよりも知っているのかもしれないが、気味の悪さしかなかった。

「用件を言ってくれ」
「私も離縁したのはご存知でしょう?」
「ああ、用件は何だ?早く言ってくれ」

 メイファスは謝罪する様子もなく、気持ちも変わらず嫌悪感しかなかったために、追い返すべきだったかと後悔していた。

「そんないい方しなくてもいいじゃない。知らない仲ではないでしょう?婚約していたのですから」
「私はそんなつもりはない」
「そんな悲しいこと言わないで」

 ポーリンクはなぜかしなを作って、両手を重ねて頬に当て、メイファスは表情に嫌悪感を隠せなくなっていたが、彼女は全く気付いていない様子であった。

「なんだ?時間はないと言ったのが聞こえていないのか?君もまさか体の関係を持ちたいと邸までやって来たと言うのか?」
「ち、違うわ!」

 ポーリンクはどちらかというとさっぱりとした女性だと思っていたが、嫌な気持ちを持ったために、関係を持ちたいと寄ってくる女性と同じなのかと疑ったが、彼女は真っ赤になって否定をした。

「じゃあなんだ?」
「再婚は考えてらっしゃらないのかと思ったの。皆、気になっているの。私はその、元婚約者だったから聞かれることも多くて……それで」
「君には関係ない」

 再婚などメイファスが考えることはないが、ポーリンクには一切関係がない。

「でもお子様もいらっしゃるのでしょう?」
「でも?」

 メイファスはでもという言葉に、妙に苛立ちがあった。

「お母様がいなくて寂しいんじゃないかと思って」
「君にも他の誰かにも、考えてもらわなくていいことだ」

 離縁のことが話題になっていることは知っている。アリルールには会うことはできないために、メイファスにしか尋ねられないことも理解している。

 だからこそ、自分の非で離縁したと話している。

 ルーファスがこれからアリルールのことを思うかは分からないが、どう考えてもメイファスは寄り添い、自分の責任を取るつもりである。

「私は心配しているのです!」
「君には関係ないと言っているだろう。まさか自分を母親にと思っているのか?図々しいとしか思えないのだが?」

 メイファスは苛立っていたこともあり、頭に浮かんだままを口にした。

「そ、そうじゃないわ……」
「だったら、どうして公爵家のことに無関係な君が首を突っ込む?」
「でも元々、侯爵家にとって私は婚約してもいい相手だったわけでしょう?今なら上手くいくと思うの。お子様だって母親がいるほうがいいでしょう?」
「やはり再婚狙いか……不要だ!帰ってくれ」

 関係を持ちたいのではないのなら、そうではないかと薄々感じていたが、嫌悪感から一気に関わりたくない相手になった瞬間であった。

「でも我儘な王女様だったのでしょう?」
「王女様?何だ?その失礼な呼び方は、お前こそたかが伯爵令嬢だぞ?弁えろ!」

 メイファスは冷淡に答えていたが、いよいよアリルールのことを言われて、ポーリンクを怒鳴りつけた。

 アリルールはまだ24歳だが、ポーリンクはメイファスと同い年で28歳になるために、そろそろ伯爵令嬢と呼べない年になりつつある。

「っ!そんなに怒らなくてもいいじゃない」
「お前、あまりにも下品ではないか?もうちょっとまともな女性だと思っていたのだが、間違っていたようだな」
「っ、な……どうして」

 ポーリンクもさすがに下品だと言われたことは初めてで、ショックを受けた。

 メイファスはポーリンクを評価していたわけではないが、自分を誘ってくるような女性とは違うと思っていたが、結局は同じようなものだと呆れるしかなかった。

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