運命だとは認めない

野村にれ

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再び3

 メイファスはマイラナとの話を終え、オリックとも別れて、邸に戻ってマクシューにベイカー子爵家にも苦情を入れてもらうように頼んだ。

 マイラナはアリレッサに話をするために、宿舎を訪ねるとやはり戻っていた。話をしたいからと、もう一度棟に戻った。

「騎士団内のことでも倫理的に問題がなければ口を挟むつもりはないわ」

 アリレッサもメイファスに話し掛けた直後であったために、内容には想像がついており、まっすぐマイラナを見れなかった。

「でもね、一度断っているメイファス・モンカールにしつこくするのは騎士団としても、よくないと判断するわ。好きだという気持ちは誰にも責められるものではないけど、迷惑を掛けるのなら別よ」
「迷惑……」

 メイファスにも厳しいことを言われたが、マイラナにも迷惑だと言われて、ショックを受けていた。

「ええ、彼は断っていると聞いたわ」
「でも、あれは離縁されてすぐだったので」
「時間が経てばと思ったの?すぐだったから断られたと?」

 再び罰が悪そうにアリレッサは黙り込んだ。マイラナはメイファスに断られたことは前提だが、公爵夫人にはなれないことを説明した方がいいと判断していた。

「私も同じ子爵令嬢だったから分かるけど、公爵の妻というのは誰もがなれるものではないわ」
「でもっ」
「後妻だから?」
「そうです……」
「後妻だからと相手の爵位は多少は緩む可能性はあるけど、やることが緩むことはないわよ?あなただって下位貴族の教育しか受けていないのでしょう?」

 マイラナもアリレッサは子爵令嬢でも、母親が高位貴族であれば、教えを受けている可能性があるかと思ったが、母親は男爵令嬢であった。

「でもこれから努力すれば」
「意地悪を言うようだけど、それは15歳くらいの令嬢なら言っていい台詞ね」

 高等部に入っていない15歳なら、まだギリギリ何とかなるかもしれないが、26歳のアリレッサが言っていい台詞ではない。

「年齢なんて、近いほうがいいではありませんか!」
「そうではなく、伸びしろがないと言っているの」
「そんなこと!」
「あなたは外国語は何ヶ国語、話せるの?」
「え……」

 騎士には必要ないわけではないが、必須ではないために取得していない者も多い。平民ではまず稀で、下位貴族も話せない者も多い。

 マイラナはアリレッサの反応から話せないのだろうと思ったが、自身も話せないためにそこを責めるつもりはない。

「公爵家なら周辺の国の言葉は求められるわ。話せないのならこれから外国語を学んで、高位貴族のマナーを身につけて、お茶会やパーティーに、気の利いた会話、ダンス、できる?」
「それは……」
「努力しても絶対にできないとは言わないけど、その方でないと駄目でなければ公爵家はそのような方は選ばないでしょうね」

 アリレッサはマイラナの言ったことにさすがに怯んでいたが、それでも言いくるめられることは受け入れられなかった。

「ですが、王女殿下はされてなかったではありませんか」
「王女殿下の代わりが務められるとでも考えたの?それは不敬よ!」
「違います……でも、王女殿下は……」
「王女殿下は教育については貴族よりも厳しい教育を受けてらっしゃいます。語学やマナーについては既に取得されているということです」

 アリルールは家庭教師からではあったが、既に王族が履修すべき項目は取得している。その上で学園に行かない分を教えてもらっていたが、もう必要ないという判断になっただけである。

 ただお茶会やパーティー、気の利いた会話、ダンスはアリルールは苦手であるが、マナー違反をしたわけではない。

「あなたと王女殿下を比べることすらおかしいことよ?」

 アリルールのせいだと思ってもらっては困るために、立場を分からせなければならないと強い口調で伝えた。

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