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妊娠
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「私も子どもは欲しいけど、英仁さんはいなくてもいいって」
「そんなの駄目よッ!」
あまりに大きな声に、涼希はビックリした。
妖の血筋に田生家と三島家がいることが大事で、子どもはいなくてもいいなど、美里にも三島家にとってもあり得ないことであった。
一人でも産んでもらわないとならない。ゼロではならないのだ。
「おじいちゃんと、おばあちゃんだって早くひ孫の顔が見たいって言っているのよ」
父親も田生家の方は何も言って来ないが、三島家の祖父母である美里の両親も、涼希に早く子どもを産ませないとと言っている。
「そんなこと言われても……英仁さんはいくら会長と言っても忙しいのよ?」
経営は子孫に任せているが、何もしなくていいというわけではない。それでも、会長であることから、涼希との時間を取れるのである。
「悠長にしていて、産めなくなったらどうするの?まずは病院に行ってみなさい。ママが付き添ってあげるから」
「ええっ……」
涼希は子どもが欲しくないわけではないが、特に言われることもなかったために、まだまだ今を楽しみたいと考えていた。
正直、積極的に子どもは作っていない。
「英仁さんに話してはみるわ、それでいいでしょう」
「そ、そう」
涼希は一応は英仁に話したが、英仁にとっては涼希の気持ちが一番であるために、焦っていない涼希の気持ちを優先することになった。
「妊娠したの」
「っえ、おめでとう。そう、良かったわね」
美里にそう言ったのは涼希ではなく、訪ねて来た花穂の方であった。
「うん」
「どうせママは涼希の方を望んでいたんでしょう?」
「そんなことないわよ、涼希だって時期にできるわ」
「そうなの?じゃあ、まあ」
花穂も先に結婚したのは涼希で、涼希の子どもを望んでいることを知っていた。
涼希からも聞いており、夫・奏からも妊娠はまだなのかと言われるほどだったので、痛いほど分かっていた。
「でもあなたの方が先にできるのも良かったかもしれないわね、涼希も欲しくなるんじゃないかしら」
「欲しいとは言っているのでしょう?」
「危機感がないのよ、早く産んだ方がいいって言っているのに。でも、お姉ちゃんができたと聞いたら、自分もって思うはずよ、絶対そう」
「そ、そう」
何ヶ月なのか、体調を聞くこともなく、やっぱり涼希のためかと思いながらも、覚悟していたので、やっぱりかと思うしかなかった。
美里は涼希にはお姉ちゃんの子どもが楽しみだと、危機感を煽るようなメッセージや電話をして、義姉の美月と夏に花穂の妊娠のことと、いつものように涼希の自慢と文句を吐き出していた。
花穂の妊娠が順調に進む中、祖父・力人の誕生日のお祝いで三島家で集まることになった。
美月は早めにやって来て、祝いの準備をしていたが、美里に捕まっていた。
いつもの自慢と文句を話し、美月は口を動かしていないで、手を動かして欲しいと思いながらも、準備をしながら聞いていた。
「美月さんは孫からおばあちゃんって、呼ばれているのよね。私はやっぱり何度考えても、何だか嫌だわ」
「……そうおっしゃっていましたね」
「ばあば?何だかそれもね……どうしようかしらね。老けたような気持ちじゃない」
「はあ」
「詠はあえて子どもは一人なの?」
「さあ、どうでしょうか。働いてもいますから」
「ああ!そうよね、ごめんなさい。一般家庭だと、一人でも大変だものね」
美月はその言葉にこれまでのことが重なり苛立ったが、その瞬間、胸に強い痛みが走り、立っていられなくなった。
ヴッと言って蹲って、胸元を掴んで、あああと叫んで、そのまま転がった。
「えっ、何?」
「美月さん!」
「ちょっと、早く救急車!」
ご近所の親族も来ていたために、話をしている二人が視界に入っていたが、美月が蹲ったことで、慌てて駆け付けた。
「そんなの駄目よッ!」
あまりに大きな声に、涼希はビックリした。
妖の血筋に田生家と三島家がいることが大事で、子どもはいなくてもいいなど、美里にも三島家にとってもあり得ないことであった。
一人でも産んでもらわないとならない。ゼロではならないのだ。
「おじいちゃんと、おばあちゃんだって早くひ孫の顔が見たいって言っているのよ」
父親も田生家の方は何も言って来ないが、三島家の祖父母である美里の両親も、涼希に早く子どもを産ませないとと言っている。
「そんなこと言われても……英仁さんはいくら会長と言っても忙しいのよ?」
経営は子孫に任せているが、何もしなくていいというわけではない。それでも、会長であることから、涼希との時間を取れるのである。
「悠長にしていて、産めなくなったらどうするの?まずは病院に行ってみなさい。ママが付き添ってあげるから」
「ええっ……」
涼希は子どもが欲しくないわけではないが、特に言われることもなかったために、まだまだ今を楽しみたいと考えていた。
正直、積極的に子どもは作っていない。
「英仁さんに話してはみるわ、それでいいでしょう」
「そ、そう」
涼希は一応は英仁に話したが、英仁にとっては涼希の気持ちが一番であるために、焦っていない涼希の気持ちを優先することになった。
「妊娠したの」
「っえ、おめでとう。そう、良かったわね」
美里にそう言ったのは涼希ではなく、訪ねて来た花穂の方であった。
「うん」
「どうせママは涼希の方を望んでいたんでしょう?」
「そんなことないわよ、涼希だって時期にできるわ」
「そうなの?じゃあ、まあ」
花穂も先に結婚したのは涼希で、涼希の子どもを望んでいることを知っていた。
涼希からも聞いており、夫・奏からも妊娠はまだなのかと言われるほどだったので、痛いほど分かっていた。
「でもあなたの方が先にできるのも良かったかもしれないわね、涼希も欲しくなるんじゃないかしら」
「欲しいとは言っているのでしょう?」
「危機感がないのよ、早く産んだ方がいいって言っているのに。でも、お姉ちゃんができたと聞いたら、自分もって思うはずよ、絶対そう」
「そ、そう」
何ヶ月なのか、体調を聞くこともなく、やっぱり涼希のためかと思いながらも、覚悟していたので、やっぱりかと思うしかなかった。
美里は涼希にはお姉ちゃんの子どもが楽しみだと、危機感を煽るようなメッセージや電話をして、義姉の美月と夏に花穂の妊娠のことと、いつものように涼希の自慢と文句を吐き出していた。
花穂の妊娠が順調に進む中、祖父・力人の誕生日のお祝いで三島家で集まることになった。
美月は早めにやって来て、祝いの準備をしていたが、美里に捕まっていた。
いつもの自慢と文句を話し、美月は口を動かしていないで、手を動かして欲しいと思いながらも、準備をしながら聞いていた。
「美月さんは孫からおばあちゃんって、呼ばれているのよね。私はやっぱり何度考えても、何だか嫌だわ」
「……そうおっしゃっていましたね」
「ばあば?何だかそれもね……どうしようかしらね。老けたような気持ちじゃない」
「はあ」
「詠はあえて子どもは一人なの?」
「さあ、どうでしょうか。働いてもいますから」
「ああ!そうよね、ごめんなさい。一般家庭だと、一人でも大変だものね」
美月はその言葉にこれまでのことが重なり苛立ったが、その瞬間、胸に強い痛みが走り、立っていられなくなった。
ヴッと言って蹲って、胸元を掴んで、あああと叫んで、そのまま転がった。
「えっ、何?」
「美月さん!」
「ちょっと、早く救急車!」
ご近所の親族も来ていたために、話をしている二人が視界に入っていたが、美月が蹲ったことで、慌てて駆け付けた。
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