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急病
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「えっ、救急車?」
「ちょっと、早く」
「ああ、もう!」
「何やってるんだ」
騒がしい様子に気付いた別の部屋にいた京がやって来て、転がっている美月の姿に驚愕した。
「母さん」
「京くん、救急車呼んで!お母さん、倒れたの」
「は、はい」
京は慌ててスマートフォンを取り出して、手は震えていたが、119を強く押して、救急車を呼んだ。
救急車は5分で到着したが、その間も美月の息は荒く、AEDはないかと言われたが、一般家庭にはなかった。楽な体制にして、様子を看るように言われたために見守るしかなかった。
騒ぎに祖父母も、誠一も則人もやって来たが、あまりの様子に右往左往していた。京は向かっているはずの詠に電話をして、病院が分かったら連絡するから、そちらに向かって欲しいと連絡をした。
美月は救急車に運ばれて、同乗するかと言われたが、誠一は役に立ちそうにないために、京だけが乗り込んで、救急車は出発した。
「何があったんだ……?」
誠一は立ち尽くしており、美月を心配していた親族たちは美里を見たが、美里も茫然と立ち尽くしたままだった。
「私のせいじゃないわ!私は話していただけだもの、美月さん病気だったんだじゃないの?私は関係ないですからねッ!」
「美里さんが美月さんが準備をしているのに、喋り続けていたじゃない」
「だから、話していただけでしょう」
「馬鹿にするような言い方が聞こえたけど?あなたはいつもそうよね」
「っな」
私の娘は妖の運命の相手なのよ!あなたたちとはレベルが違うの!と叫びたくなったが、今は分が悪いと思い、黙り込んだ。
「美里、何を言ったんだ?」
「兄さん、別に普通のことよ。私も祖母になるじゃない?美月さんはもう祖母なんだから、その話を聞いたりしていたの」
「本当か?」
「本当よ、兄さんまで私を疑うの?」
「そうじゃないけど」
「大丈夫よ、病院に行ったんだから。準備、私がするから」
美里は美月がやっていた準備を引き継ぎ、かまぼこを切り始めた。そのような状況ではないと思いながらも、何かできるようなことはないために、各々大人しく座ったり、元の部屋に戻っていった。
そこへ花穂と涼希もやって来て、静かな様子に驚いた。
父である則人が離れた場所で、黙って座っていたために、二人は声を掛けた。
「パパ」
「ああ、着いたのか」
「うん」
「何か静かじゃない?」
いつもなら誰かが話をしていて、色んな所から声がするはずなのに、人の動きを感じ、声も多少はするが、いつもとは全く違う。
「うん……実は美月さんが倒れて、救急車で運ばれたんだ」
「えっ」
「大丈夫なの?」
「多分、まだ連絡がない……」
「伯父さんが行ったの?」
「いや、京が付き添って行った。多分、詠もそちらに向かっている」
誠一の姿もなく、付き添って行ったのだろうと思ったが、そうではなかったらしい。では、誠一は一体何をしているのかと辺りを見渡したが、姿は見えない。
「じゃあ、こんなことしている場合じゃないんじゃないの」
「ママが美月さんと話している時に、苦しみ出して倒れたみたいなんだ」
「えっ」
「ママ、ショックを受けているってこと?」
「いや、ママは祝いの準備をしている……」
「は?」
怪訝な声を出したのは涼希の方だったが、花穂も歪んだ表情を浮かべていた。
「自分のせいではないと言っていたが、またいつものようにマウント取りって言うのか?そんなことを言っていたのだろうな……」
則人も夫であることから、美里の性格は把握しており、美月と夏にマウントを取るようなことや嫌味、揚げ足取りをしていることは知っている。
注意をしたことは、結婚してから数えられないほどあったが、一時的に反省するような素振りがあっても、直そうとする様子がない。
「ちょっと、早く」
「ああ、もう!」
「何やってるんだ」
騒がしい様子に気付いた別の部屋にいた京がやって来て、転がっている美月の姿に驚愕した。
「母さん」
「京くん、救急車呼んで!お母さん、倒れたの」
「は、はい」
京は慌ててスマートフォンを取り出して、手は震えていたが、119を強く押して、救急車を呼んだ。
救急車は5分で到着したが、その間も美月の息は荒く、AEDはないかと言われたが、一般家庭にはなかった。楽な体制にして、様子を看るように言われたために見守るしかなかった。
騒ぎに祖父母も、誠一も則人もやって来たが、あまりの様子に右往左往していた。京は向かっているはずの詠に電話をして、病院が分かったら連絡するから、そちらに向かって欲しいと連絡をした。
美月は救急車に運ばれて、同乗するかと言われたが、誠一は役に立ちそうにないために、京だけが乗り込んで、救急車は出発した。
「何があったんだ……?」
誠一は立ち尽くしており、美月を心配していた親族たちは美里を見たが、美里も茫然と立ち尽くしたままだった。
「私のせいじゃないわ!私は話していただけだもの、美月さん病気だったんだじゃないの?私は関係ないですからねッ!」
「美里さんが美月さんが準備をしているのに、喋り続けていたじゃない」
「だから、話していただけでしょう」
「馬鹿にするような言い方が聞こえたけど?あなたはいつもそうよね」
「っな」
私の娘は妖の運命の相手なのよ!あなたたちとはレベルが違うの!と叫びたくなったが、今は分が悪いと思い、黙り込んだ。
「美里、何を言ったんだ?」
「兄さん、別に普通のことよ。私も祖母になるじゃない?美月さんはもう祖母なんだから、その話を聞いたりしていたの」
「本当か?」
「本当よ、兄さんまで私を疑うの?」
「そうじゃないけど」
「大丈夫よ、病院に行ったんだから。準備、私がするから」
美里は美月がやっていた準備を引き継ぎ、かまぼこを切り始めた。そのような状況ではないと思いながらも、何かできるようなことはないために、各々大人しく座ったり、元の部屋に戻っていった。
そこへ花穂と涼希もやって来て、静かな様子に驚いた。
父である則人が離れた場所で、黙って座っていたために、二人は声を掛けた。
「パパ」
「ああ、着いたのか」
「うん」
「何か静かじゃない?」
いつもなら誰かが話をしていて、色んな所から声がするはずなのに、人の動きを感じ、声も多少はするが、いつもとは全く違う。
「うん……実は美月さんが倒れて、救急車で運ばれたんだ」
「えっ」
「大丈夫なの?」
「多分、まだ連絡がない……」
「伯父さんが行ったの?」
「いや、京が付き添って行った。多分、詠もそちらに向かっている」
誠一の姿もなく、付き添って行ったのだろうと思ったが、そうではなかったらしい。では、誠一は一体何をしているのかと辺りを見渡したが、姿は見えない。
「じゃあ、こんなことしている場合じゃないんじゃないの」
「ママが美月さんと話している時に、苦しみ出して倒れたみたいなんだ」
「えっ」
「ママ、ショックを受けているってこと?」
「いや、ママは祝いの準備をしている……」
「は?」
怪訝な声を出したのは涼希の方だったが、花穂も歪んだ表情を浮かべていた。
「自分のせいではないと言っていたが、またいつものようにマウント取りって言うのか?そんなことを言っていたのだろうな……」
則人も夫であることから、美里の性格は把握しており、美月と夏にマウントを取るようなことや嫌味、揚げ足取りをしていることは知っている。
注意をしたことは、結婚してから数えられないほどあったが、一時的に反省するような素振りがあっても、直そうとする様子がない。
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