12 / 70
葬儀
しおりを挟む
そこへようやく、拓実と郁と両親で、弟夫妻である洋介と夏がやって来たが、家の中の異様な様子にすぐ気付いた。
「どうしたんだ?何かあったのか?」
「美月さんが倒れてね、今、連絡があって、亡くなったんだよ」
誰も答えない様子に、また親族が答えた。
「は?」
「亡くなった?」
洋介は驚き言葉を失ったが、夏は驚愕で眉間に皺を寄せていた。
「兄さん、どうして亡くなったんだ?」
誠一はまだ苛立ったままで、大きな声で答えた。
「ストレスと過労と、睡眠不足で、心臓に負担が掛かったんだと」
「美里のせいなのか?」
電話の内容を聞いていた親族が問い掛けたが、誠一は睨み付けた。
「美里は美月に電話をしていただけだ、美里のせいじゃないだろう」
「兄さん……」
同じように茫然としていた美里だったが、誠一が庇ってくれたことで、ようやくホッとして声が出た。
「それで、睡眠不足になったんだろう?」
「今日みたいにずっと、嫌味な話をしていたんじゃないの?」
「違う!花穂の妊娠で、色々聞いていたんだよ。うちは孫がいるからな。美里、そうだろう?」
「ええ、そうよ。嫌がっていなかったわ」
美里はそう言ったが、洋介も夏も、則人も花穂も涼希も、親族たちも、誰も美里の言葉を信じることはなかった。
言い合いをしていると、京が戻って来た。
「京ッ!」
「大きな声を出さないでくれよ、母さんの鞄を取りに来たんだよ。ばあちゃんも向かっているから、父さんも早く行けよ」
「ばあちゃんって、お義母さんに伝えたのか?」
「当たり前だろう!娘が自分より先に亡くなったんだぞ?普通は父さんが連絡するべきだろう?ショックを受けていたみたいだけど、すぐに行くって、事故らないようにって言ったくらいだよ」
「京、本当に亡くなったのか?」
訊ねたのは、力人であった。
衝撃的なことで信じられないまま、何も言えずにいただけで、現実を受け止めるために、付いて行った京に問い掛けた。
「そうだよ、苦しそうにしていたよ。あんな母さん見たことなかったよ」
「そうか……」
「京くん」
「叔母さん」
悲痛な表情で呼び掛けたのは、夏であった。
「私も行くわ、何か手伝えることがあったら言って」
「ありがとう、今は姉さんが付いているから」
「俺も行こう、ここにいても仕方ない。拓実と郁にも連絡しないと」
拓実と郁は、偶然にも二人とも今日は仕事で来れず、元々来る予定ではなかったが、葬儀となれば知らせなくてはならない。
洋介と夏は、京と出て行ってしまい、結局、また元通りのメンバーになった。
花穂と涼希は、その様子を少し離れたところから、何も言えないまま見つめていた。則人は項垂れてしまい、頭を抱えていた。
「お姉ちゃん……」
ようやく、涼希は恐る恐る花穂に話し掛けた。
「うん……」
話を聞いてくれる花穂も涼希も家を出たことで、美里は前よりも美月に連絡をしていたのだろう。
「お父さん、気付かなかったの?」
「声はしていたけど、そんな毎日だったとは……」
そう言いながらも、則人はいつも通り、面倒だから放っていたのだろうと、花穂と涼希も考えていた。
美月の通夜、告別式は誠一と美里、力人と加奈代が騒いだりはしていたものの、英介がなだめ怒り、何とか無事に終えた。もはや、恥を晒し続けていたようなもので、さらには美里のしたことも、口々に広まっても言っていた。
美月から話を聞いていた母の親族や友人たちは悲痛な表情と、三島家に殺されたようなものだと、忌々しく思っていた。
火葬を終えると、詠は誠一に伝えた。
「時間ができたら、お母さんの部屋の整理に行くから」
「あ、ああ」
「お父さん、何もできないなら実家に戻ったら?」
「は?お前が家事をしに来ればいいだろう」
そんなことを言い出すのではないかと思っていたが、本当に言い出して、詠は笑いそうになった。
「どうしたんだ?何かあったのか?」
「美月さんが倒れてね、今、連絡があって、亡くなったんだよ」
誰も答えない様子に、また親族が答えた。
「は?」
「亡くなった?」
洋介は驚き言葉を失ったが、夏は驚愕で眉間に皺を寄せていた。
「兄さん、どうして亡くなったんだ?」
誠一はまだ苛立ったままで、大きな声で答えた。
「ストレスと過労と、睡眠不足で、心臓に負担が掛かったんだと」
「美里のせいなのか?」
電話の内容を聞いていた親族が問い掛けたが、誠一は睨み付けた。
「美里は美月に電話をしていただけだ、美里のせいじゃないだろう」
「兄さん……」
同じように茫然としていた美里だったが、誠一が庇ってくれたことで、ようやくホッとして声が出た。
「それで、睡眠不足になったんだろう?」
「今日みたいにずっと、嫌味な話をしていたんじゃないの?」
「違う!花穂の妊娠で、色々聞いていたんだよ。うちは孫がいるからな。美里、そうだろう?」
「ええ、そうよ。嫌がっていなかったわ」
美里はそう言ったが、洋介も夏も、則人も花穂も涼希も、親族たちも、誰も美里の言葉を信じることはなかった。
言い合いをしていると、京が戻って来た。
「京ッ!」
「大きな声を出さないでくれよ、母さんの鞄を取りに来たんだよ。ばあちゃんも向かっているから、父さんも早く行けよ」
「ばあちゃんって、お義母さんに伝えたのか?」
「当たり前だろう!娘が自分より先に亡くなったんだぞ?普通は父さんが連絡するべきだろう?ショックを受けていたみたいだけど、すぐに行くって、事故らないようにって言ったくらいだよ」
「京、本当に亡くなったのか?」
訊ねたのは、力人であった。
衝撃的なことで信じられないまま、何も言えずにいただけで、現実を受け止めるために、付いて行った京に問い掛けた。
「そうだよ、苦しそうにしていたよ。あんな母さん見たことなかったよ」
「そうか……」
「京くん」
「叔母さん」
悲痛な表情で呼び掛けたのは、夏であった。
「私も行くわ、何か手伝えることがあったら言って」
「ありがとう、今は姉さんが付いているから」
「俺も行こう、ここにいても仕方ない。拓実と郁にも連絡しないと」
拓実と郁は、偶然にも二人とも今日は仕事で来れず、元々来る予定ではなかったが、葬儀となれば知らせなくてはならない。
洋介と夏は、京と出て行ってしまい、結局、また元通りのメンバーになった。
花穂と涼希は、その様子を少し離れたところから、何も言えないまま見つめていた。則人は項垂れてしまい、頭を抱えていた。
「お姉ちゃん……」
ようやく、涼希は恐る恐る花穂に話し掛けた。
「うん……」
話を聞いてくれる花穂も涼希も家を出たことで、美里は前よりも美月に連絡をしていたのだろう。
「お父さん、気付かなかったの?」
「声はしていたけど、そんな毎日だったとは……」
そう言いながらも、則人はいつも通り、面倒だから放っていたのだろうと、花穂と涼希も考えていた。
美月の通夜、告別式は誠一と美里、力人と加奈代が騒いだりはしていたものの、英介がなだめ怒り、何とか無事に終えた。もはや、恥を晒し続けていたようなもので、さらには美里のしたことも、口々に広まっても言っていた。
美月から話を聞いていた母の親族や友人たちは悲痛な表情と、三島家に殺されたようなものだと、忌々しく思っていた。
火葬を終えると、詠は誠一に伝えた。
「時間ができたら、お母さんの部屋の整理に行くから」
「あ、ああ」
「お父さん、何もできないなら実家に戻ったら?」
「は?お前が家事をしに来ればいいだろう」
そんなことを言い出すのではないかと思っていたが、本当に言い出して、詠は笑いそうになった。
701
あなたにおすすめの小説
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
私の人生に、おかえりなさい。――都合のいい「お姉ちゃん」は、もうどこにもいません
しょくぱん
恋愛
「お姉ちゃんなんだから」
――それは私を縛る呪いの言葉だった。
家族の醜い穢れを一身に吸い込み、妹の美しさの「身代わり」として生きてきた私。
痛みで感覚を失った手も、鏡に映らない存在も、全ては家族のためだと信じていた。
でも、、そんな私、私じゃない!!
―― 私は、もう逃げない。 失われた人生を取り戻した今、私は、私に告げるだろう。
「私の人生に、おかえりなさい。」
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
三年目の離婚から始まる二度目の人生
あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。
三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。
理由はただ一つ。
“飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。
女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。
店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。
だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。
(あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……)
そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。
これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。
今度こそ、自分の人生を選び取るために。
ーーー
不定期更新になります。
全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる