【完結】メイド・マイ・デイ

野村にれ

文字の大きさ
13 / 70

整理

しおりを挟む
「お父さんが私の代わりに頼を起こして、食事をさせて、保育園に送って、迎えに行って、食事をさせて、お風呂に入れて、寝かせてくれるの?」
「っな」

 どうして自分がしなくてはならないのかと誠一の顔に書いてあるが、詠の顔にも子どもよりも何もできないお前にはできないだろうなと書いてある。

「お父さんには無理でしょう?京もいない、お母さんもいなくなったんだから、生活できないよ」

 子どもの世話も美月任せだったために、孫の世話などできるはずがない。

 京も就職して家を出ており、誠一と美月の二人暮らしになっていた。家事を一切しない誠一は、一人で暮らすことはできない。

 結局、誠一はそのまま自宅には荷物を取りに行くだけで、実家に帰っていた。

 そうしなければ、食事も洗濯も、シャワーは浴びれても、お風呂にすら入れない。しかも、詠と京はおらず、誰にも聞くこともできない。

 そして、結局は二人が暮らしていた部屋は引き払って、誠一は実家に戻った。

 それでも、詠がやればいいなどと言っていたが、さすがに子どもがいるのに無理だと加奈代も言い、洋介と夏がそんなことをすれば、詠も倒れてしまったらどうするのかと言われて、黙るしかなかった。

 美里はと言うと、電話をすることはさすがにやめることになった。

 則人にも言われたこともあったが、涼希に言われたのが決定打だった。

「ママ、迷惑を掛けるようなことはやめて」
「迷惑って何よ、涼希まで私が美月さんを殺したって言うの!」
「そんなこと、言わないでよ……英仁さんに迷惑が掛かったらどうするの……ママ、責任取れるの?私、会長の妻なのよ」
「っ、えっ、英仁さん何か言っていたの?」
「何かあったら、弁護士に頼むとは言っていたけど……」

 少なからず、美里は何か責任を取らされるのではないかと考えていたが、大丈夫だろうという思いもあり、その言葉にパッと顔を明るくさせた。

「弁護士、じゃあ大丈夫じゃない。良かったわ、涼希が妖様の運命の相手で……」
「そんなことをお願いすることが問題なの」
「でも、違うのよ」
「毎日、電話をしていたのは事実でしょう?美月叔母さんが亡くなったのも事実じゃない……詠ちゃんと京くんの目が見れなかったよ」

 涼希も花穂も、詠と京には話し掛けられなかった。

「で、でもっ、英仁さんがどうにかしてくれるんでしょう?」
「どうにもならなかったら、縁を切るしかないってなるかもしれないのよ」
「っ」

 確かにグループ企業の会長となれば、涼希のことはともかく、自分たちのことは見捨てられるかもしれないと、背中がヒヤッとした。

「自慢もいい加減にして、人に迷惑を掛けて、こんなことになったのよ。お姉ちゃんの出産が楽しみなんでしょう?それを待っていればいいじゃない」
「でも……」
「お願いだから」
「わ、分かったわ」

 美月に電話はできなくなってしまったが、夏にも掛けることはしなかった。

 その後、無事に花穂の子どもが生まれた。則人も美里も涼希も明るい気持ちになり、孫と姪に喜んだ。だが、余計なことを言うのが、美里である。

「次は男の子ね、後継者が必要だものね」

 義両親でも思っても言わないようなことを、当然のように言い、則人と涼希をまた渋い顔にさせた。

「ママ、別に女の子が継いでもいいのだから、そんなこと言うものではないわ」
「何を言っているの!継ぐのは男の子でしょう?まだまだ、産めるんだから、心配することはないわよ!それよりも、あなたはどうなっているの?病院には行ったの?」

 花穂と涼希も美里とはしばらく距離を置いており、言いたいことが溜まっていた美里は、花穂へもだが、涼希の妊娠への気持ちが再燃した。

「私のことはいいから」
「良くないわよ!」
「はあ……だったら、英仁さんに話したら!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本日もお読みいただきありがとうございます。

本日より、
新作「愛されて、愛されて、愛されて」を投稿しております。

よろしければよろしくお願いします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました

あい
恋愛
両親を失ったあの日、 赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。 それが、アリア。 世間からは「若い母」と呼ばれながらも、 彼女は否定しなかった。 十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。 恋も未来も、すべて後回し。 けれど弟は成長し、ついに巣立つ。 「今度は、自分の人生を生きて」 その一言が、 止まっていた時間を動かした。 役目を終えた夜。 アリアは初めて、自分のために扉を開く。 向かった先は、婚姻仲介所。 愛を求めたわけではない。 ただ、このまま立ち止まりたくなかった。 ――けれどその名前は、 結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。 これは、 十六年“母”だった女性が、 もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。

私の人生に、おかえりなさい。――都合のいい「お姉ちゃん」は、もうどこにもいません

しょくぱん
恋愛
「お姉ちゃんなんだから」 ――それは私を縛る呪いの言葉だった。 家族の醜い穢れを一身に吸い込み、妹の美しさの「身代わり」として生きてきた私。 痛みで感覚を失った手も、鏡に映らない存在も、全ては家族のためだと信じていた。 でも、、そんな私、私じゃない!! ―― 私は、もう逃げない。 失われた人生を取り戻した今、私は、私に告げるだろう。 「私の人生に、おかえりなさい。」

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

三年目の離婚から始まる二度目の人生

あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。 三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。 理由はただ一つ。 “飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。 女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。 店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。 だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。 (あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……) そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。 これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。 今度こそ、自分の人生を選び取るために。 ーーー 不定期更新になります。 全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

処理中です...