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否定
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「そんなことしていません!」
「隠していることはないか?」
「ありません!」
涼希は泣きそうになりながら、激しく首を振って否定したが、英仁は視線すら向けることはなかった。
「娘がそんなことするはずないではありませんか!」
「まだ決まったわけではありません」
風蓮は姉妹ということから、血筋が関係があるのではないかと考えており、まずは姉である花穂ではないかという確認をしようということになり、念のために美里もということになった。
当然だが、美里には何も感じなかった。
「英仁さん、嘘よね……何かの間違いよね」
「お前は誰なんだとしか思えなかった」
「何を言っているの……?」
英仁に昨日とは違う態度は取られていたが、言葉にされるとショックで、目の前がぐらついた。
「そうとしか表現できない」
「じゃあ、私は運命の相手ではないっていうの!」
「私だって驚いているんだ!」
一番、動揺をしていたのは英仁であった。
運命の相手の相手と暮らしていたのに、目の前にいるのは誰だお前はとしか思えない涼希であった。
話をする気にもなれず、視界にも入れたくもなく、光峯のところを訪ねて、相談したのである。光峯も驚き、どういうことなのかと、もう一度確認をしようと自宅に戻って来たが、結果は同じであった。
「そんなはずない……そんなはず……」
「涼希さんは心当たりがないのですよね?」
「あ、ありません!私は何もしていません」
心当たりなど何もなく、運命の相手に選ばれたことには半信半疑だったが、英仁が惜しみなく愛してくれることから、私は選ばれたのだと感じるようになっていた。
それなのに、今さら違うなんて言われたら、どうしたらいいのか分からない。
家族もだが、友人からどんな目で見られるのか、怖くてたまらない。
「子ども、子どもがいるかもしれないのよ!今日、調べようと思っていたのに」
「っえ、あなた妊娠したの?」
則人も驚いたが、食いついたのは美里だけで、英仁と光峯と風蓮は妊娠にすら興味もない様子であった。
「まだ分からないけど、生理が遅れているから、今日調べようと思っていたの」
「もしかして、そのせいじゃないの?子どもがいるから、認識できないとか」
「それはあり得ません」
涼希も子どものせいではないかと思ったが、光峯に否定されていたために、言えなかった。
「分からないじゃない!」
「子どもがいても、認識できないなどあり得ません。関係ありません」
「でも、認識できないなんて、運命の相手ではないなんて、おかしいじゃない!誰が運命の相手だって言うのよ!他にいるって言うの!そんな、そんなこと」
美里もこのまま涼希が運命の相手ではなかったと、認めるわけにはいかなかった。
「では、検査をしてみてはいかがですか?検査薬を手配しましょう」
光峯はお手伝いさんに、妊娠検査薬を買いに行かせることにした。
涼希はこんな形で妊娠検査薬をすることになるとは思わなかったが、それでももう妊娠していることくらいしか縋るものがなかった。
「これは仮説ですが、血筋が関係しているかもしれません」
風蓮も仮説であるために、まだ事実かは分からない。だが、誰でもいいというわけではないのではないかと考えていた。
「血筋……?」
「ええ、ですので、まずはご家族をと思ったのです」
「……まさか、花穂だというのですか?」
「その可能性を潰すためにお呼びしております」
「そんな……お姉ちゃんと間違えられたってこと……?」
「まだ分かりません、英仁様がお会いになれば分かるはずです。そろそろ、お着きになるのではありませんか」
急に花穂が運命の相手ではないかと言われ、美里は花穂でも自分の娘だとは思ったが、そうなればどうなってしまうのかと複雑な思いであった。
そこへインターフォンが鳴り、涼希は手が震えた。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
沢山の方にお読みいただき感謝しております。
本日は12時と17時に更新いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
「隠していることはないか?」
「ありません!」
涼希は泣きそうになりながら、激しく首を振って否定したが、英仁は視線すら向けることはなかった。
「娘がそんなことするはずないではありませんか!」
「まだ決まったわけではありません」
風蓮は姉妹ということから、血筋が関係があるのではないかと考えており、まずは姉である花穂ではないかという確認をしようということになり、念のために美里もということになった。
当然だが、美里には何も感じなかった。
「英仁さん、嘘よね……何かの間違いよね」
「お前は誰なんだとしか思えなかった」
「何を言っているの……?」
英仁に昨日とは違う態度は取られていたが、言葉にされるとショックで、目の前がぐらついた。
「そうとしか表現できない」
「じゃあ、私は運命の相手ではないっていうの!」
「私だって驚いているんだ!」
一番、動揺をしていたのは英仁であった。
運命の相手の相手と暮らしていたのに、目の前にいるのは誰だお前はとしか思えない涼希であった。
話をする気にもなれず、視界にも入れたくもなく、光峯のところを訪ねて、相談したのである。光峯も驚き、どういうことなのかと、もう一度確認をしようと自宅に戻って来たが、結果は同じであった。
「そんなはずない……そんなはず……」
「涼希さんは心当たりがないのですよね?」
「あ、ありません!私は何もしていません」
心当たりなど何もなく、運命の相手に選ばれたことには半信半疑だったが、英仁が惜しみなく愛してくれることから、私は選ばれたのだと感じるようになっていた。
それなのに、今さら違うなんて言われたら、どうしたらいいのか分からない。
家族もだが、友人からどんな目で見られるのか、怖くてたまらない。
「子ども、子どもがいるかもしれないのよ!今日、調べようと思っていたのに」
「っえ、あなた妊娠したの?」
則人も驚いたが、食いついたのは美里だけで、英仁と光峯と風蓮は妊娠にすら興味もない様子であった。
「まだ分からないけど、生理が遅れているから、今日調べようと思っていたの」
「もしかして、そのせいじゃないの?子どもがいるから、認識できないとか」
「それはあり得ません」
涼希も子どものせいではないかと思ったが、光峯に否定されていたために、言えなかった。
「分からないじゃない!」
「子どもがいても、認識できないなどあり得ません。関係ありません」
「でも、認識できないなんて、運命の相手ではないなんて、おかしいじゃない!誰が運命の相手だって言うのよ!他にいるって言うの!そんな、そんなこと」
美里もこのまま涼希が運命の相手ではなかったと、認めるわけにはいかなかった。
「では、検査をしてみてはいかがですか?検査薬を手配しましょう」
光峯はお手伝いさんに、妊娠検査薬を買いに行かせることにした。
涼希はこんな形で妊娠検査薬をすることになるとは思わなかったが、それでももう妊娠していることくらいしか縋るものがなかった。
「これは仮説ですが、血筋が関係しているかもしれません」
風蓮も仮説であるために、まだ事実かは分からない。だが、誰でもいいというわけではないのではないかと考えていた。
「血筋……?」
「ええ、ですので、まずはご家族をと思ったのです」
「……まさか、花穂だというのですか?」
「その可能性を潰すためにお呼びしております」
「そんな……お姉ちゃんと間違えられたってこと……?」
「まだ分かりません、英仁様がお会いになれば分かるはずです。そろそろ、お着きになるのではありませんか」
急に花穂が運命の相手ではないかと言われ、美里は花穂でも自分の娘だとは思ったが、そうなればどうなってしまうのかと複雑な思いであった。
そこへインターフォンが鳴り、涼希は手が震えた。
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どうぞよろしくお願いいたします。
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