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不明
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「お邪魔します」
「おじゃまします」
「します」
普段なら孫には優しい両親が迎えに出るのだが、それどころではないために、出てくることもない。
娘たちには入ろうかとだけ声を掛けて、美里はきれい好きではないために雑多としているリビングに向かった。則人と涼希は何も考えられないと言う雰囲気で下を向いており、美里だけが喚いていた。
「何かの間違いよ、そんな昨日の今日でおかしいでしょう!何が具合が悪かったり、子ども、子どものことだってあったのかもしれないじゃない。そうじゃなくても、涼希は何も悪くないでしょう」
「ママ」
「ああ、着いたのね。純恋ちゃん、紫苑ちゃん、いらっしゃい」
「ばあば、どうしたの?」
「うん、ちょっとね」
純恋が訊ねると、さすがに喚く声をやめはしたが、言いたくてたまらない顔をしていた。だが、美里が何を言っても、これからのことが変わるとは思えない。
それからは何も食べたくないと言う涼希に、フルーツだけでもと食べさせて、寝なくてもいいから横になるように言って、涼希は休ませた。
花穂は子どもたちを寝かせると、美里も大声ではないが、則人に向かってまた喚いていた。
「ママ、何を言ってもまだ分からないのだから」
「でも考えておかないと」
「考えたって、運命の相手なんて私たちには分からないんだから」
「でも、魂が入れ替えられるなんて……涼希が誰かに入れ替えられたってことでしょう?そんなの……でも戻るってこともあるんじゃないの?そうよね?」
「そんなこと私に言われても分からないわ」
美里は自分が前向きに考えてもいるのに、同意してくれない花穂に顔を歪ませて、苛立っていた。
「だって、涼希には心当たりがないのだから、妖様の話でしょう?それなら涼希は関係ないじゃない」
「戻れば一番いいけど……」
だが、戻ったところで、また同じことになるのではないかという不安は過ることになるだろう。
それでも、認識できないのは間違いではないとなれば、それに越したことはない。
「それで、お父さん、皆、集まれるって?」
「ああ……郁が少し遅れるそうだが、他は集まれそうだということだった」
明後日は丁度、土曜日であったために、時間の都合は付けやすかったのだろう。
「三島の方は?」
「美里、話したんだよな?」
「お母さんには話したわ」
「ちゃんと集まる話はしたのか?」
「あっ……」
「ちゃんと話しておいてくれ」
美里は加奈代に問い正されたために、嫌になって言わなければならないことを話していなかった。
「お兄ちゃんに話すわ」
「ああ、そうしてくれ」
美里が席を外すと、花穂は則人に問い掛けた。
「お父さん、もし違うってなったら、私も……離婚されるかもしれないわ」
「っ」
「理解しているわ、でも子どもたちは奪われたくないの」
「そうだな……母親の方が優遇されるが、向こうはお金があるからな」
花穂を無駄に不安にさせたくもないが、則人は現実的な考えであるために、恐る恐る話した。
「ええ……怖くなってしまって、詳しく話さずにここに来たの」
「そうか、まだ話すのもどう話せばいいか分からないものな」
「奏さんを呼ぶようには言われなかったわよね……?」
「ああ、血縁者と言っていたから、関係ないのだろう……必要なら、呼べばいい話だ」
遠くに住んでいるわけではないために、呼ぶように言われてから呼べばいい。
「どうしてこんなことに……」
「ああ、私もそう思っている」
落ち込む二人の元へ、溜息をつきながら美里が戻って来た。
「ちゃんと呼ぶように言ったわ」
「そうか」
それからも美里は同じ話を繰り返していたが、ついに約束の日になった。
涼希は眠れず、考えることも辛くなり、ぼんやりしていたが、着替えるために早めにマンションに向かったが、英仁たちはまだ来ていなかった。
「おじゃまします」
「します」
普段なら孫には優しい両親が迎えに出るのだが、それどころではないために、出てくることもない。
娘たちには入ろうかとだけ声を掛けて、美里はきれい好きではないために雑多としているリビングに向かった。則人と涼希は何も考えられないと言う雰囲気で下を向いており、美里だけが喚いていた。
「何かの間違いよ、そんな昨日の今日でおかしいでしょう!何が具合が悪かったり、子ども、子どものことだってあったのかもしれないじゃない。そうじゃなくても、涼希は何も悪くないでしょう」
「ママ」
「ああ、着いたのね。純恋ちゃん、紫苑ちゃん、いらっしゃい」
「ばあば、どうしたの?」
「うん、ちょっとね」
純恋が訊ねると、さすがに喚く声をやめはしたが、言いたくてたまらない顔をしていた。だが、美里が何を言っても、これからのことが変わるとは思えない。
それからは何も食べたくないと言う涼希に、フルーツだけでもと食べさせて、寝なくてもいいから横になるように言って、涼希は休ませた。
花穂は子どもたちを寝かせると、美里も大声ではないが、則人に向かってまた喚いていた。
「ママ、何を言ってもまだ分からないのだから」
「でも考えておかないと」
「考えたって、運命の相手なんて私たちには分からないんだから」
「でも、魂が入れ替えられるなんて……涼希が誰かに入れ替えられたってことでしょう?そんなの……でも戻るってこともあるんじゃないの?そうよね?」
「そんなこと私に言われても分からないわ」
美里は自分が前向きに考えてもいるのに、同意してくれない花穂に顔を歪ませて、苛立っていた。
「だって、涼希には心当たりがないのだから、妖様の話でしょう?それなら涼希は関係ないじゃない」
「戻れば一番いいけど……」
だが、戻ったところで、また同じことになるのではないかという不安は過ることになるだろう。
それでも、認識できないのは間違いではないとなれば、それに越したことはない。
「それで、お父さん、皆、集まれるって?」
「ああ……郁が少し遅れるそうだが、他は集まれそうだということだった」
明後日は丁度、土曜日であったために、時間の都合は付けやすかったのだろう。
「三島の方は?」
「美里、話したんだよな?」
「お母さんには話したわ」
「ちゃんと集まる話はしたのか?」
「あっ……」
「ちゃんと話しておいてくれ」
美里は加奈代に問い正されたために、嫌になって言わなければならないことを話していなかった。
「お兄ちゃんに話すわ」
「ああ、そうしてくれ」
美里が席を外すと、花穂は則人に問い掛けた。
「お父さん、もし違うってなったら、私も……離婚されるかもしれないわ」
「っ」
「理解しているわ、でも子どもたちは奪われたくないの」
「そうだな……母親の方が優遇されるが、向こうはお金があるからな」
花穂を無駄に不安にさせたくもないが、則人は現実的な考えであるために、恐る恐る話した。
「ええ……怖くなってしまって、詳しく話さずにここに来たの」
「そうか、まだ話すのもどう話せばいいか分からないものな」
「奏さんを呼ぶようには言われなかったわよね……?」
「ああ、血縁者と言っていたから、関係ないのだろう……必要なら、呼べばいい話だ」
遠くに住んでいるわけではないために、呼ぶように言われてから呼べばいい。
「どうしてこんなことに……」
「ああ、私もそう思っている」
落ち込む二人の元へ、溜息をつきながら美里が戻って来た。
「ちゃんと呼ぶように言ったわ」
「そうか」
それからも美里は同じ話を繰り返していたが、ついに約束の日になった。
涼希は眠れず、考えることも辛くなり、ぼんやりしていたが、着替えるために早めにマンションに向かったが、英仁たちはまだ来ていなかった。
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