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集合
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それから、田生家から幹雅と紀子夫妻、修司と小春夫妻と、咲良と倫葉。三島家から力人と加奈代夫妻、誠一、洋介と夏夫妻と、拓実が続々とやって来た。
結婚したのは拓実だけで、郁、京、咲良、凛葉はまだ結婚していなかった。
部屋は広いために座るところはいくらでもあるが、皆、居たたまれない様子で、立ち尽くしていたが、お手伝いさんが座るように促し、お茶を入れ始めた。
「お義兄さん、詠と京は?」
郁が遅れることは聞いていたが、詠と京の姿がなく、則人は誠一に訊ねた。
「それが京も出張で、今戻ってきている。午前中には戻れるということだった。詠も休めと言ったのだが、午前の仕事が終わったら来ると……則人さん、美里の言ったことは本当なのか?」
「はい、そう聞かされました」
「だが、そんなこと……」
誠一は美月が亡くなってから、明らかに鬱屈とした様子が見られるようにはなっていたが、さすがに今回のことは信じられない気持ちでいっぱいであった。
「はい、私も信じられなくて、勿論、涼希も何が何やらということで……」
「だが、こんなこと聞いたこともない」
「妖様も困惑されてました」
「そうか、何かの間違いだといいのだがな……」
「はい、そう思っています」
誰もが何かの間違いであってくれと言う状況で、誠一も心配する様子に、則人も美月のことで、気が引ける関係になっていたために、有難い気持ちであった。
「連絡はないのか?」
「はい、涼希が何度か英仁さんに電話を掛けたようですが、出なかったようです」
「そ、そうか」
涼希は何もせずにはいられず、英仁にメッセージも、電話もしていたが、反応はなかった。それがますます現実味を帯びていたが、願わずにはいられなかった。
祖父母たちは涼希に大丈夫よと、励ましていたが、涼希の顔色は悪かった。
そして、約束の10時になる5分前に英仁と光峯と風蓮がやって来た。
圧倒的な存在感に皆が立ち上がったが、光峯が声を掛けた。
「座ったままで結構です。皆、お揃いですか?」
「いえ、詠と京と郁が仕事で遅れるそうです。申し訳ございません」
「そうですか、急でしたからそういうこともあると思っておりました」
そう言って、光峯は英仁に頷くと、また黙って首を振った。
「そうか……ということは、あと二人かな」
「そうなりますね」
光峯と風蓮は頷き合い、来るまでに話をしておこうと思った。
「英仁さんッ!何かの間違いだって言って!」
涼希は立ち上がって、大きな声で名前を呼び、英仁も涼希を視界に入れたが、すぐに目を伏せた。
「涼希さん、今の時点で間違いではないことは明らかになっています。あなたに非がないとしても、英仁もショックを受けている。まずは話を聞いていただけますか」
「涼希、落ち着いて座りなさい」
「お父さん……でもッ」
「気持ちは分かるが、話を聞かなくてはならない」
則人は涼希を座らせて、光峯に向かって頭を下げた。
「では、話をさせていただきます。英仁が認識ができなくなったことで、過去の覚書をもう一度調べ、魂が入れ替えたのは姉妹だったことは確実になりました。まずあることではありませんが、同じことが起きたとするならば、姉妹……ですが、姉君は違いました。ですので、血縁者で年齢の近い方ではないかと考えています」
「それは、その人が何か行ったということなのですか」
「その可能性もあります」
「ここにはいないのですか?」
「はい」
その言葉にここにいないとするならば、涼希と同い年の詠か、27歳の郁になる。
「じゃあ、詠か、郁ってこと……?」
「でも、詠は結婚しているわ……子どももいるんだから」
「じゃあ……」
運命の相手は三島郁ではないのかという空気が流れ始め、涼希の目はギョロギョロと動き、血走っていた。
結婚したのは拓実だけで、郁、京、咲良、凛葉はまだ結婚していなかった。
部屋は広いために座るところはいくらでもあるが、皆、居たたまれない様子で、立ち尽くしていたが、お手伝いさんが座るように促し、お茶を入れ始めた。
「お義兄さん、詠と京は?」
郁が遅れることは聞いていたが、詠と京の姿がなく、則人は誠一に訊ねた。
「それが京も出張で、今戻ってきている。午前中には戻れるということだった。詠も休めと言ったのだが、午前の仕事が終わったら来ると……則人さん、美里の言ったことは本当なのか?」
「はい、そう聞かされました」
「だが、そんなこと……」
誠一は美月が亡くなってから、明らかに鬱屈とした様子が見られるようにはなっていたが、さすがに今回のことは信じられない気持ちでいっぱいであった。
「はい、私も信じられなくて、勿論、涼希も何が何やらということで……」
「だが、こんなこと聞いたこともない」
「妖様も困惑されてました」
「そうか、何かの間違いだといいのだがな……」
「はい、そう思っています」
誰もが何かの間違いであってくれと言う状況で、誠一も心配する様子に、則人も美月のことで、気が引ける関係になっていたために、有難い気持ちであった。
「連絡はないのか?」
「はい、涼希が何度か英仁さんに電話を掛けたようですが、出なかったようです」
「そ、そうか」
涼希は何もせずにはいられず、英仁にメッセージも、電話もしていたが、反応はなかった。それがますます現実味を帯びていたが、願わずにはいられなかった。
祖父母たちは涼希に大丈夫よと、励ましていたが、涼希の顔色は悪かった。
そして、約束の10時になる5分前に英仁と光峯と風蓮がやって来た。
圧倒的な存在感に皆が立ち上がったが、光峯が声を掛けた。
「座ったままで結構です。皆、お揃いですか?」
「いえ、詠と京と郁が仕事で遅れるそうです。申し訳ございません」
「そうですか、急でしたからそういうこともあると思っておりました」
そう言って、光峯は英仁に頷くと、また黙って首を振った。
「そうか……ということは、あと二人かな」
「そうなりますね」
光峯と風蓮は頷き合い、来るまでに話をしておこうと思った。
「英仁さんッ!何かの間違いだって言って!」
涼希は立ち上がって、大きな声で名前を呼び、英仁も涼希を視界に入れたが、すぐに目を伏せた。
「涼希さん、今の時点で間違いではないことは明らかになっています。あなたに非がないとしても、英仁もショックを受けている。まずは話を聞いていただけますか」
「涼希、落ち着いて座りなさい」
「お父さん……でもッ」
「気持ちは分かるが、話を聞かなくてはならない」
則人は涼希を座らせて、光峯に向かって頭を下げた。
「では、話をさせていただきます。英仁が認識ができなくなったことで、過去の覚書をもう一度調べ、魂が入れ替えたのは姉妹だったことは確実になりました。まずあることではありませんが、同じことが起きたとするならば、姉妹……ですが、姉君は違いました。ですので、血縁者で年齢の近い方ではないかと考えています」
「それは、その人が何か行ったということなのですか」
「その可能性もあります」
「ここにはいないのですか?」
「はい」
その言葉にここにいないとするならば、涼希と同い年の詠か、27歳の郁になる。
「じゃあ、詠か、郁ってこと……?」
「でも、詠は結婚しているわ……子どももいるんだから」
「じゃあ……」
運命の相手は三島郁ではないのかという空気が流れ始め、涼希の目はギョロギョロと動き、血走っていた。
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