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「どうするかは涼希が、自分で決めなさい。納得がいかないのなら、理由を弁護士に聞きに行くといい」
「えっ、でも」
「私たちには答えられることはないだろう」
借金を背負い、いずれ自己破産するのも涼希になる。
則人も全額は無理だが、一部負担することも可能ではあるが、英仁にとっては五千万円などあってもなくても同じお金だろう。
おそらく、お金ではなく、狙いは自己破産で苦しめることだろう。
だったら、何かの時にのために則人のお金は取っておいた方がいいだろう。
妖様の運命の相手にも選ばれて自慢の娘だったが、涼希は邪神との契約も自分で決めたのだから、自分で決めればいいとしか思えなかった。
涼希はどうしたらいいのかと悩みながらも、まずは弁護士事務所を訊ねることにした。その際に久し振りにスマートフォンを触ることになった。
充電を始めると、メッセージが届いており、そこには友人たちから聞きたいことがある、連絡が欲しいとあった。
内容を書いていない人も多かったが、一部は勝手に使ったのは悪かったけど、お金には困っていないのだから、請求書が届き、支払わなかったら裁判を起こすなんてと送って来ている人がいた。
「どういう……こと?」
涼希も友人たちも英仁のことも知らず、どういうことかと返事をしようかと思ったが、そうなると離婚のことを話さなくてはならないことが気が重く、メッセージを送れないでいた。
「涼希」
「お姉ちゃん」
花穂は仕事を見付けて始めており、結婚前は大手だったが、仕事を選んでいる場合ではないために、今は部屋を探しているところであった。
「損害賠償が来たって」
「そうなの、弁護士事務所に話を聞きに行こうと思って、久し振りにスマートフォンを見たら、友達から何だか分からない連絡が入っていて」
「分からない?」
花穂にメッセージの内容を見せると、ああと思い至った。
「多分、ママと同じね」
「ママと?」
「天宮グループの施設や買い物を、タダで使っていたんじゃない?」
「っえ?友達が……?」
「そういうことでしょうね、涼希は何にも聞いていないのでしょう?」
「行ったとかは聞いたけど」
話の流れでこの前言ったなどとは聞いたことがあったが、わざわざ行くなどということは最初はあったかもしれないが、このところはなかったように思う。
「その時に涼希の友達だと言ったんじゃない?」
「っえ……」
「利用したのよ、でもそれは払うべきお金なのだから、請求されて当然でしょう」
妖様の運命の相手だからと親しくしている人もいたことは分かっていた。特に記憶が戻されてからは、記憶の中と現在の友達に齟齬があることに、実感をしていた。
「確かに、記憶の中にいない友達ばかり……」
「それならいいじゃない、その程度ってことよ。涼希と離縁したから、請求をしたのでしょうね。払わなければ裁判を起こすと言われ、相手は妖様だもの。裁判よりも怖いことになると思って、払っているわよ。涼希はそんなこと知らなかったと言えばいいんじゃない?」
花穂のところへも涼希が妖様の運命の相手だったと近寄って来る者、奏と結婚したことで誰か紹介して欲しいと言って来る人もいた。
紹介できるような人はいないと断っていたが、正解だったと今では思っている。
詠の時も従姉妹なんでしょうと言われたことはあったが、妹ではなかったために、無理だと言えば引き下がってくれていた。
「でも、ママもって」
「ママも同じことをしていたの、パパがお金を貸したそうよ」
「っえ」
「ママは明らかにやりそうじゃない、私もパパもそんなことしていないわ」
花穂も美里がいつも何をしているか、どんな持ち物を持っているかは把握していなかったが、話を聞いて納得してしまった。
「えっ、でも」
「私たちには答えられることはないだろう」
借金を背負い、いずれ自己破産するのも涼希になる。
則人も全額は無理だが、一部負担することも可能ではあるが、英仁にとっては五千万円などあってもなくても同じお金だろう。
おそらく、お金ではなく、狙いは自己破産で苦しめることだろう。
だったら、何かの時にのために則人のお金は取っておいた方がいいだろう。
妖様の運命の相手にも選ばれて自慢の娘だったが、涼希は邪神との契約も自分で決めたのだから、自分で決めればいいとしか思えなかった。
涼希はどうしたらいいのかと悩みながらも、まずは弁護士事務所を訊ねることにした。その際に久し振りにスマートフォンを触ることになった。
充電を始めると、メッセージが届いており、そこには友人たちから聞きたいことがある、連絡が欲しいとあった。
内容を書いていない人も多かったが、一部は勝手に使ったのは悪かったけど、お金には困っていないのだから、請求書が届き、支払わなかったら裁判を起こすなんてと送って来ている人がいた。
「どういう……こと?」
涼希も友人たちも英仁のことも知らず、どういうことかと返事をしようかと思ったが、そうなると離婚のことを話さなくてはならないことが気が重く、メッセージを送れないでいた。
「涼希」
「お姉ちゃん」
花穂は仕事を見付けて始めており、結婚前は大手だったが、仕事を選んでいる場合ではないために、今は部屋を探しているところであった。
「損害賠償が来たって」
「そうなの、弁護士事務所に話を聞きに行こうと思って、久し振りにスマートフォンを見たら、友達から何だか分からない連絡が入っていて」
「分からない?」
花穂にメッセージの内容を見せると、ああと思い至った。
「多分、ママと同じね」
「ママと?」
「天宮グループの施設や買い物を、タダで使っていたんじゃない?」
「っえ?友達が……?」
「そういうことでしょうね、涼希は何にも聞いていないのでしょう?」
「行ったとかは聞いたけど」
話の流れでこの前言ったなどとは聞いたことがあったが、わざわざ行くなどということは最初はあったかもしれないが、このところはなかったように思う。
「その時に涼希の友達だと言ったんじゃない?」
「っえ……」
「利用したのよ、でもそれは払うべきお金なのだから、請求されて当然でしょう」
妖様の運命の相手だからと親しくしている人もいたことは分かっていた。特に記憶が戻されてからは、記憶の中と現在の友達に齟齬があることに、実感をしていた。
「確かに、記憶の中にいない友達ばかり……」
「それならいいじゃない、その程度ってことよ。涼希と離縁したから、請求をしたのでしょうね。払わなければ裁判を起こすと言われ、相手は妖様だもの。裁判よりも怖いことになると思って、払っているわよ。涼希はそんなこと知らなかったと言えばいいんじゃない?」
花穂のところへも涼希が妖様の運命の相手だったと近寄って来る者、奏と結婚したことで誰か紹介して欲しいと言って来る人もいた。
紹介できるような人はいないと断っていたが、正解だったと今では思っている。
詠の時も従姉妹なんでしょうと言われたことはあったが、妹ではなかったために、無理だと言えば引き下がってくれていた。
「でも、ママもって」
「ママも同じことをしていたの、パパがお金を貸したそうよ」
「っえ」
「ママは明らかにやりそうじゃない、私もパパもそんなことしていないわ」
花穂も美里がいつも何をしているか、どんな持ち物を持っているかは把握していなかったが、話を聞いて納得してしまった。
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