【完結】試される愛の果て

野村にれ

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覚悟

「お祖母様は賛成ですか」
「あなたに覚悟があるのならば、賛成しますよ」
「覚悟…」
「ありませんか、覚悟が」
「はい…」

 ようやくトイズとリリーの素性と、関係性は分かったが、高位貴族と関わりたくない理由がもう一つある。

「そうですか、覚悟が決まったら力になりますよ」
「意外です…」
「反対すると思いましたか」
「はい…」
「もしもレピアだったら、何としてでも反対したでしょうけど、お祖父様も同じ意見ですよ」
「お祖父様も?」

 祖父であるランドマーク前侯爵は、現在、詳しい理由は分からないが、隣国に行っている。ゆえにわざわざ連絡を取ったということだろう。

「ええ、ですからあなたの覚悟次第と伝えておきます」
「ありがとうございます。よく考えてみます」
「何かあったら、遠慮せずに連絡しなさい」
「はい」

 スノーがレリリス伯爵家に戻る際も同じことを言ってくれた。血の繋がりもないのに、とても正しい人は、ホッとする。

 寮に帰って、覚悟について考えてみることにした。婚約をして欲しいと言われることはないが、リアンスから諦めてはいないということは、何度か伝えられている。

 でも、会いたくないあの人が一体誰だったのか。知ることになるような気がする。とても怖いのだ。私は殺されるのではないかとすら思っている。

 それからもリアンスとは時折、会いながらも、決定的なことが言われないことをいいことに、ずるずると会っているだけのような関係のような気がしていた。

 そんな折、王家からリジーナ側妃の産んだルミアーノ第一王女が、国王陛下の子ではなかったと発表され、国内に激震が走った―――。

 現在、王家には王妃と側妃が一人いた。王妃は政略で結ばれた隣国・パスライン王国の第二王女で、側妃は自国の伯爵令嬢。

 元々、第二王女と婚約している状態で、伯爵令嬢と恋仲になったのだ。破棄されてもおかしくはなかったが、第二王女は然るべき時が来たら、教育を施したうえで側妃にすればいいと言い、王妃が王子を二人産んでから、側妃となった。

 第二王女にとっては、愛妾のようなものだった。側妃の教育も使えればいいなくらいに思っていたが、全く使い物にならず、ほとんど公式な行事に出ることはなく、顔を知らない者も多い。

 その側妃の産んだ王女は、現在15歳で、側妃によく似ていた。

 側妃は離縁された上で、最北端の修道院という名の刑務所に入れられることになった。実家の伯爵家は側妃と王女のこれまでの費用を負担する必要もあり、全財産没収の上で爵位を返上し、平民となった。

 年の離れた弟は両親や姉のことを嫌悪し、王妃の紹介で、パスラインに留学し、現在もそのまま留まっており、全く関与していないことは明らかだった。

 王妃からも減刑の願いがあり、家族とは縁を切り、パスライン王国の貴族の養子になることになった。

 両親は托卵だとは知らなかったが、娘が婚約者のいる王子と恋仲になったことも咎めず、側妃になったことで、横柄に振舞い、脅しとも取れるようなことをしていたことも露見し、関与と同等と判断した。

 死罪としなかったのは、側妃に力を持っていなかったのもあるが、国王は恋仲になった当時は良かったが、結婚し、側妃教育を受けるようになった頃から、真面目に受けようともせず、構って欲しいばかりの姿に、愛情はどんどん冷めていた。

 それでも既に関係を持っており、側妃にしなければ、嫁ぐところのない彼女を娶るしかなかった。

 子どもも一人産ませればいいだろうくらいにしか思っていなかった。それでも裏切っていたことに怒り狂ったが、王妃は当てつけだったのではないかと言われて、己を顧みたからであった。

 ルミアーノの父親は、側妃教育でダンスの相手をしていた伯爵家の令息だった。
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