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世間の声
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「下の女は何をしてもいいって言っていたんでしょう?」
「ええ、信じられないわよ」
「私も直接の周りにはいなかったけど、知り合いの親戚の子が被害に遭って、ずっと入院されていると聞いているわ」
「私も直接はいなかったけど、知り合いの娘さんの友人が自殺未遂をされたって…」
二人はやりきれない気持ちになって、静かになった。
被害者は今でも傷付いている、誰なのか追及することは陛下が禁止にしたため、被害者は明かされることはなく守られているが、知り合いではない場合は、どこかから事実かは分からないが、話が回って行く。
「元夫人のしたことは許せないけど、彼女も被害者だったんでしょう?」
「そうらしいわね」
証言をしたことから、リリーも被害者だと聞いている者も多い。リリーは証言して情状酌量を訴えるのではないかと思われていたが、オーロラの減刑のためだと言い切り、さらなる反感は買うことはなかった。
「それが不運にも、元婚約者夫妻を妬ましく思ったっていうのなら、気持ちだけは分かるわ。気持ちだけだけどね…」
「そうね、彼女たちが死ねば良かったという気持ちもあるけど」
「そう、そんな複雑な気持ちね」
「ええ、これからどうなるのかしらね?」
メリーアンは、二人の過激な言葉に乗り込む勇気はなくなりつつあり、茫然としたまま話を聞いていた。
「ご主人は責任があるけど、息子さんは評判が良いから代替わりされれば、多少良くなるんじゃない?」
「そうね、先程の方は無理でしょうけど」
「ああ…侯爵令嬢という立場だったから良かったけど、これからはね…あの傲慢さは悪い方へ向くでしょうね」
メリーアンはリリーから言われた、傲慢という言葉が思い出されていた。
「元々、どうなのかと思っていたところが、今回のことで浮き彫りになってしまったってことろでしょうね」
「ええ、そういうものだものね。これからも変わらず、傲慢な態度を続けるのなら、眉をひそめられてしまうわよ」
既に入店時にひそめられているのだが、メリーアンは気付いていない。
「前の婚約は、白紙にされて良かったわよね」
「本当に…お似合いだなんて言われていたけど、皆、気を使っていただけよね」
「色味が似ているからだけだったんじゃない?」
「それはあるわね、でもそれで複雑なことになってしまったけど…」
「それも運命だったんじゃない?」
「そうね」
メリーアンはリアンスの婚約も、ダリアとの婚約も似合っていると言われ、お世辞ではないと思っていた。
「手紙が来たという方もいらしたそうだけど」
「会いたくないわよね」
「ええ、関わり合いがあると思われたくないと、断られたそうよ。しかも、これから関わらずに済むことにも、ホッとしたって」
「まあ」
メリーアンは衝撃を受けた。自分は憧れの存在だと自負していた。想い合う相手と結婚して、子どもも生まれて、羨ましいと言われたことは数知れずだった。
だが、厳しい立場とは言え、誰も心配して駆け付けてくれる友人、元クラスメイト、同級生はいなかった。
「いくら上から物を言っていい立場でも、疑問のあった方たちは離れていくわよ」
「ええ、言っていいと、何でも言っていいは違いますものね」
「その通りですわ」
「それに加えて母親と、叔父が罪人ではね…庇えないわよ」
「庇わなくてもいいのではありませんか、家族のことがあって、どのような態度を取るかは人間性のお話でしょう?」
「そうですわね」
それからメリーアンの話には満足したのか、別の話を初めた。
メリーアンは、静かに喫茶店を出た。
侍女たちは話題に上がることにはなるとは思ったが、予想以上の収穫となったのではないかと感じていた。怒鳴り込むようなことがなくて良かったとホッとした。
怒り出しても、相手は名前を出していないと止めようと思っていたが、メリーアンが話し掛けて来るようなことはなく、茫然としている様子だった。
「ええ、信じられないわよ」
「私も直接の周りにはいなかったけど、知り合いの親戚の子が被害に遭って、ずっと入院されていると聞いているわ」
「私も直接はいなかったけど、知り合いの娘さんの友人が自殺未遂をされたって…」
二人はやりきれない気持ちになって、静かになった。
被害者は今でも傷付いている、誰なのか追及することは陛下が禁止にしたため、被害者は明かされることはなく守られているが、知り合いではない場合は、どこかから事実かは分からないが、話が回って行く。
「元夫人のしたことは許せないけど、彼女も被害者だったんでしょう?」
「そうらしいわね」
証言をしたことから、リリーも被害者だと聞いている者も多い。リリーは証言して情状酌量を訴えるのではないかと思われていたが、オーロラの減刑のためだと言い切り、さらなる反感は買うことはなかった。
「それが不運にも、元婚約者夫妻を妬ましく思ったっていうのなら、気持ちだけは分かるわ。気持ちだけだけどね…」
「そうね、彼女たちが死ねば良かったという気持ちもあるけど」
「そう、そんな複雑な気持ちね」
「ええ、これからどうなるのかしらね?」
メリーアンは、二人の過激な言葉に乗り込む勇気はなくなりつつあり、茫然としたまま話を聞いていた。
「ご主人は責任があるけど、息子さんは評判が良いから代替わりされれば、多少良くなるんじゃない?」
「そうね、先程の方は無理でしょうけど」
「ああ…侯爵令嬢という立場だったから良かったけど、これからはね…あの傲慢さは悪い方へ向くでしょうね」
メリーアンはリリーから言われた、傲慢という言葉が思い出されていた。
「元々、どうなのかと思っていたところが、今回のことで浮き彫りになってしまったってことろでしょうね」
「ええ、そういうものだものね。これからも変わらず、傲慢な態度を続けるのなら、眉をひそめられてしまうわよ」
既に入店時にひそめられているのだが、メリーアンは気付いていない。
「前の婚約は、白紙にされて良かったわよね」
「本当に…お似合いだなんて言われていたけど、皆、気を使っていただけよね」
「色味が似ているからだけだったんじゃない?」
「それはあるわね、でもそれで複雑なことになってしまったけど…」
「それも運命だったんじゃない?」
「そうね」
メリーアンはリアンスの婚約も、ダリアとの婚約も似合っていると言われ、お世辞ではないと思っていた。
「手紙が来たという方もいらしたそうだけど」
「会いたくないわよね」
「ええ、関わり合いがあると思われたくないと、断られたそうよ。しかも、これから関わらずに済むことにも、ホッとしたって」
「まあ」
メリーアンは衝撃を受けた。自分は憧れの存在だと自負していた。想い合う相手と結婚して、子どもも生まれて、羨ましいと言われたことは数知れずだった。
だが、厳しい立場とは言え、誰も心配して駆け付けてくれる友人、元クラスメイト、同級生はいなかった。
「いくら上から物を言っていい立場でも、疑問のあった方たちは離れていくわよ」
「ええ、言っていいと、何でも言っていいは違いますものね」
「その通りですわ」
「それに加えて母親と、叔父が罪人ではね…庇えないわよ」
「庇わなくてもいいのではありませんか、家族のことがあって、どのような態度を取るかは人間性のお話でしょう?」
「そうですわね」
それからメリーアンの話には満足したのか、別の話を初めた。
メリーアンは、静かに喫茶店を出た。
侍女たちは話題に上がることにはなるとは思ったが、予想以上の収穫となったのではないかと感じていた。怒鳴り込むようなことがなくて良かったとホッとした。
怒り出しても、相手は名前を出していないと止めようと思っていたが、メリーアンが話し掛けて来るようなことはなく、茫然としている様子だった。
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