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対策2
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「ジーアは医療に関わっているのです」
「それは心強いですね」
「薬や検査薬などを作る研究所に勤めております。それで、モリー様は流行り病について一切、ご存知ないのでしょうか?」
ジーアは今、一番聞きたかったことを焦って聞いてしまった。
「申し訳ありません、私も思い出してみたのですが、治癒師が派遣されたという話があったというくらいで、私は関わっていなかったのです」
「でも、三回目は治癒師として働いていたのですよね?」
「私は王宮のお抱えの治癒師ではなく、教会で暮らしていたので、管轄が違ったと言いますか。ですが、咳から始まって、広がっていったと聞きました」
モリーもパークスラ王国で流行り病があったと、その時ではなく、こんなことがありましたとして聞いた程度であった。
あの時にきちんと調べていればと思ったが、咳であることは医師から聞いたので、噂ではないはずである。
「咳ですか、レオーラどうだい?」
レオーラから聞いた症状の中にも、咳はあった。だが、流行り病の始まりについては聞いていなかった。
「咳?確かに……そう言われていたかもしれないわ」
「どうして覚えていないんだよ」
「症状としては覚えていたけど、私が気付いたのは熱が出てからで、詳しいことと言えば、空気感染だとしか聞いていなかったから」
「まあ、レオーラには詳しくは伝えなかったのかもしれないな」
まだ15歳前後の王女を必要以上に不安にさせないように、わざと耳に入れなかったのかもしれない。
だが、それでもどんなものだったかは、後から調べておいてくれていたらと思わずにはいられない気持ちなのは、仕事柄だろう。
「空気感染だから、爆発的に広まってしまったのですね……」
「そのようです。咳にも気を付けてるようにしましょう」
別の病気と判断がつかないかもしれないが、今の段階で入出国をできないようにすることは不可能である。
レオーラも二回目と三回目に、どうにかしようとしたようだが、理由がないためにそのようなことはできなかった。
確かにジーアも説得できるような正当な理由を提示ができない。
「今となっては記憶に頼るしかなく、申し訳ありません」
「いいえ、モリー様のせいではありません。若い令嬢に他国のことまで把握していなくとも、おかしいことではありません」
「そうです、私が言っても説得力がありませんが」
ジーアも淡い期待をしていたのは事実だが、もし知っていれば既にレオーラの手紙に書いているだろうとも分かっていた。
「二回目は自分のことで精一杯、三回目は目の前のことで精一杯で、情けない限りです。ですが、私も何かできることをと思い、自分の治癒術について調べてみました」
「調べて、ですか?」
魔術を使えないジーアは詳しく学んだことはなく、教会などで適正などを調べる程度のことしか分からなかった。
だが、そんなことをすれば、モリーが魔術が使えることが分かってしまうために、するとは思えず、どうやってという思いであった。
「ええ、前にできたことや、今回はどの程度できるのか。使ったことも、調べたこともなかったものですから」
「治癒をしたのですか?」
「はい」
「そのようなことをすれば……」
ジーアは治癒を使えることを、誰も知らないと聞いていたことから、治癒を使ったら明かすことになるのではないかと考えながら、あることに気付いた。
「まさか、ご自身を……?」
「えっ!そんな!」
「いいえ、違いますとも言えないですけど、傷付けたりしたわけではありません」
「それなら……」
「良かったわ」
自分を傷付けて治癒を試したと思われたことで、モリーはそんな過激なことをする人間だと思われては良くないと、きちんと話さなくてはと思った。
「お二人は、私の治癒術の方法はご存知ですか?」
「それは心強いですね」
「薬や検査薬などを作る研究所に勤めております。それで、モリー様は流行り病について一切、ご存知ないのでしょうか?」
ジーアは今、一番聞きたかったことを焦って聞いてしまった。
「申し訳ありません、私も思い出してみたのですが、治癒師が派遣されたという話があったというくらいで、私は関わっていなかったのです」
「でも、三回目は治癒師として働いていたのですよね?」
「私は王宮のお抱えの治癒師ではなく、教会で暮らしていたので、管轄が違ったと言いますか。ですが、咳から始まって、広がっていったと聞きました」
モリーもパークスラ王国で流行り病があったと、その時ではなく、こんなことがありましたとして聞いた程度であった。
あの時にきちんと調べていればと思ったが、咳であることは医師から聞いたので、噂ではないはずである。
「咳ですか、レオーラどうだい?」
レオーラから聞いた症状の中にも、咳はあった。だが、流行り病の始まりについては聞いていなかった。
「咳?確かに……そう言われていたかもしれないわ」
「どうして覚えていないんだよ」
「症状としては覚えていたけど、私が気付いたのは熱が出てからで、詳しいことと言えば、空気感染だとしか聞いていなかったから」
「まあ、レオーラには詳しくは伝えなかったのかもしれないな」
まだ15歳前後の王女を必要以上に不安にさせないように、わざと耳に入れなかったのかもしれない。
だが、それでもどんなものだったかは、後から調べておいてくれていたらと思わずにはいられない気持ちなのは、仕事柄だろう。
「空気感染だから、爆発的に広まってしまったのですね……」
「そのようです。咳にも気を付けてるようにしましょう」
別の病気と判断がつかないかもしれないが、今の段階で入出国をできないようにすることは不可能である。
レオーラも二回目と三回目に、どうにかしようとしたようだが、理由がないためにそのようなことはできなかった。
確かにジーアも説得できるような正当な理由を提示ができない。
「今となっては記憶に頼るしかなく、申し訳ありません」
「いいえ、モリー様のせいではありません。若い令嬢に他国のことまで把握していなくとも、おかしいことではありません」
「そうです、私が言っても説得力がありませんが」
ジーアも淡い期待をしていたのは事実だが、もし知っていれば既にレオーラの手紙に書いているだろうとも分かっていた。
「二回目は自分のことで精一杯、三回目は目の前のことで精一杯で、情けない限りです。ですが、私も何かできることをと思い、自分の治癒術について調べてみました」
「調べて、ですか?」
魔術を使えないジーアは詳しく学んだことはなく、教会などで適正などを調べる程度のことしか分からなかった。
だが、そんなことをすれば、モリーが魔術が使えることが分かってしまうために、するとは思えず、どうやってという思いであった。
「ええ、前にできたことや、今回はどの程度できるのか。使ったことも、調べたこともなかったものですから」
「治癒をしたのですか?」
「はい」
「そのようなことをすれば……」
ジーアは治癒を使えることを、誰も知らないと聞いていたことから、治癒を使ったら明かすことになるのではないかと考えながら、あることに気付いた。
「まさか、ご自身を……?」
「えっ!そんな!」
「いいえ、違いますとも言えないですけど、傷付けたりしたわけではありません」
「それなら……」
「良かったわ」
自分を傷付けて治癒を試したと思われたことで、モリーはそんな過激なことをする人間だと思われては良くないと、きちんと話さなくてはと思った。
「お二人は、私の治癒術の方法はご存知ですか?」
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