病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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収束1

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「少しなんて、大変お世話になりました」
「そうです」
「いいえ、私は治癒術を行うつもりでおりましたのに、出番もなかったですわね」

 モリーはパークスラ王国で顔を知られているわけではないが、始めは追々のことを考えると、認識されない方がいいために、顔を隠したり、研究者の振りをするか、バレないように、どうにかならないかと考えていた。

「それなんですけど、もしかして能力が上がっているということはございませんか?それか、とても相性が良かったのか」
「咳止めで重症化も落ち着きましたから、行っていただくこともなかったのです」
「相性が良かったのでしょうか?私もEP71は治療したことがございませんから」

 モリーの過去に治療をした中にEP71というものは、なかったように思う。

「一回目は名前が付く前に亡くなったので、分かりませんが、二回目、三回目、四回目と毎回変わっているのです」
「それは付けた人が毎回違うだけではないか?」
「そうなの?」
「ああ」

 感染症も同じだったのかは分からず、決めた人間も変わったのだろう。ゆえに、モリーは名前の違うEP71に近いものを治療していた可能性もある。

「効果のついては結局、分からないが、EP71に関しては効果があったことに間違いはない」
「亡くなった方がいらしたので、良かったとは言えませんが……」
「それは、持病もあったからで、モリー様の責任ではありません」

 モリーは慢性的な病は治せないために、合併症には対応はできなかった。元よりあった病気が悪化してしまい、亡くなった。

「私ではなく、治癒師が来てくだされば良かったのですが、申し訳ないことです」

 咳止めを服用すれば、元の病気も少しは良くなるが、治るわけではない。しかも、長期になれば効果は効果が悪くなり、良くもならなくなってしまう。

 だからこそ、別の治癒師が必要となる。再発する可能性はあるが、治すことはできるだろう。だが、その場合は治癒師の派遣やお金も掛かってしまう。

 しかも、モリーと同じで、再発すれば、次は効果がないといった場合もある。

「他の国の方が大変ですからね、言葉は悪いですが、誰のせいでもないと思います」
「ですが、私では助けられなかった方は、助かったのではないかと思えてしまって……」

 モリーによって助けられた人もいるが、モリーではなかったら助かった人もいると考えることを、止めることはできなかった。

「でも、全員を救うなんて傲慢ですよね……」

 正直、絶対に救うなどとモリーは強い意志を持って、パークスラ王国に来たわけではなかった。どちらかと言えば、何かできることがあればに近かったと思う。

 だが、EP71が蔓延し、モリーも予防をしながら病院を見回ったこともあった。苦しむ人たちを目の当たりにすれば、救わなくてはと思うようになっていた。

 当初は隠すなんて考えてはいたが、もしも助かる人がいるのならば、治癒術を行っていただろう。

「いいえ、皆がそのつもりで動いてきました。責任があるなら、私にもレオーラにもあるでしょう」
「そうです!モリー様だけが抱えることではありません!」
「ありがとうございます。そうですよね、皆、全員助けると思っていましたよね。当然のことでした」

 身分やお金などで取りこぼさないように、皆に命を落として欲しくはなかった。

 だからこそ、国が動いてくれたことで、咳止めを多くの場所に届けることができた。それでも、慢性的な病気の方だけでなく、亡くなった方もいるかもしれない。

 だが、それはきっと他国の人間であるモリーが考えることではない。

「いいえ、ですが、皆が責任を感じていることはご理解ください。今回のことを最善策だったと言ったとしても、助からなかった方から見れば、愚策だったと思う場合もあると思います。私たちは全能ではありませんから」
「そうですね、人間ですものね」
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