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着替え1
一番多く作っていたのは、シスターの服や子どもの服だが、ドレスも一つ作ってみれば、アレンジをして作ることはできた。
本当ならデザイナーに頼んだり、プレタポルテを買えばいいが、教会に来るような令嬢はそのような状況ではない。
最初は拙いドレスでも、どんどん腕を上げることになり、今となってはきちんとしたドレスが作れるようになっている。
「おかげで今、役には立っております」
「芸術祭ですか?」
「ええ、本来は高位貴族は楽器を演奏、魔術を使える者は披露するのです。ですが、何もしないとしたので、中等部の一年生の時は何もしなかったのです」
「何も?」
「ええ、提出も参加もしませんでした。ですが、教師に参加するように言われて、当日は自由参加なので、提出して終わりにできるドレスにしたのです」
レオーラは何もしないと言っても、同じことをして過ごしていたと思っていたが、本当に何もしなかったのだと少し驚いた。
「それでも、デザインだけしたのだろうと言われることは想定内でしたが、侍女が私が証言しますと言ってくれまして……公爵令嬢としてではありませんが、一応は格好がついたわけです」
「でも、デザインだと盗作だとか……」
「はい、私も考えました。ですので、デザインだけではないようにしたのです」
「なるほど」
デザインだけでも誰でもできるというわけではないが、令嬢ならデザイナーに頼むこともあり、こんなドレスがいいという機会はあるだろう。
だが、実際にドレスにできる者は限られる。だからこその芸術祭なのである。
しかも、それが公爵令嬢となれば、作ってもらう側で会って、作る側ではない。疑われることも、レオーラですら考えてしまったのに、モリーが考えないわけがない。
「今回の芸術祭のドレスでしたら、私が証言いたしますわ」
「ありがとうございます、その際はよろしくお願いいたします」
「お任せください」
最終段階までレオーラはきちんとそばで見ており、レオーラがしたのは、針を取ったり、押さえたりするくらいしかなく、本当に一人で作り上げた。
「侍女というのは、ドレスの方ですか?」
「はい、ホテルにも付いて来てくれた彼女です」
レオーラもすべてにいたかまでは覚えていないが、二回目にモリーのそばに侍女が付いていたことは覚えていた。
「彼女だけは二回目も三回目も最後までともにあってくれました。ですので、今回はそうではない人生を歩んで欲しいと思っているのです」
「一緒にいたいと思ってくれているのではありませんか?」
「それでも、巻き込んでしまいましたからね。ドレスも婚約者を探しているので、いいかと思い、思い付いたのですよ」
「そうでしたか」
レオーラにも巻き込んでしまったという気持ちは、誰よりも理解している。
だが、それほどまでにモリーと一緒にいてくれた侍女ならば、離れることはないのではないか。そうあって欲しいという気持ちもあり、今回は自分の道を歩んで欲しいという気持ちも分かる。
それはモリーとその侍女が考えることだろうと、口には出さなかった。
「でも、演奏でも嫌なことがあったのですか?」
「同じ公爵令嬢なので、リークレア嬢にライバル視されていたのです……あの方は同じ曲を選ぶのです」
「そ、それは避けたくなりますね」
レオーラはどちらが上手いかどうかの話だと思っていたために、想像しただけでゾッとした。
「はい、演奏ならエントリーしなければ関わらなくて済みます。彼女がドレスを提出することも今のところありませんので、助かりました。何もしないと決めたのに、意に反することはなったのですけどね」
「すべてをというのは難しいかもしれませんね」
最低限は行い、何もしないとしても、モリーの立場がそれを許さない場面も多いだろうと感じた。
本当ならデザイナーに頼んだり、プレタポルテを買えばいいが、教会に来るような令嬢はそのような状況ではない。
最初は拙いドレスでも、どんどん腕を上げることになり、今となってはきちんとしたドレスが作れるようになっている。
「おかげで今、役には立っております」
「芸術祭ですか?」
「ええ、本来は高位貴族は楽器を演奏、魔術を使える者は披露するのです。ですが、何もしないとしたので、中等部の一年生の時は何もしなかったのです」
「何も?」
「ええ、提出も参加もしませんでした。ですが、教師に参加するように言われて、当日は自由参加なので、提出して終わりにできるドレスにしたのです」
レオーラは何もしないと言っても、同じことをして過ごしていたと思っていたが、本当に何もしなかったのだと少し驚いた。
「それでも、デザインだけしたのだろうと言われることは想定内でしたが、侍女が私が証言しますと言ってくれまして……公爵令嬢としてではありませんが、一応は格好がついたわけです」
「でも、デザインだと盗作だとか……」
「はい、私も考えました。ですので、デザインだけではないようにしたのです」
「なるほど」
デザインだけでも誰でもできるというわけではないが、令嬢ならデザイナーに頼むこともあり、こんなドレスがいいという機会はあるだろう。
だが、実際にドレスにできる者は限られる。だからこその芸術祭なのである。
しかも、それが公爵令嬢となれば、作ってもらう側で会って、作る側ではない。疑われることも、レオーラですら考えてしまったのに、モリーが考えないわけがない。
「今回の芸術祭のドレスでしたら、私が証言いたしますわ」
「ありがとうございます、その際はよろしくお願いいたします」
「お任せください」
最終段階までレオーラはきちんとそばで見ており、レオーラがしたのは、針を取ったり、押さえたりするくらいしかなく、本当に一人で作り上げた。
「侍女というのは、ドレスの方ですか?」
「はい、ホテルにも付いて来てくれた彼女です」
レオーラもすべてにいたかまでは覚えていないが、二回目にモリーのそばに侍女が付いていたことは覚えていた。
「彼女だけは二回目も三回目も最後までともにあってくれました。ですので、今回はそうではない人生を歩んで欲しいと思っているのです」
「一緒にいたいと思ってくれているのではありませんか?」
「それでも、巻き込んでしまいましたからね。ドレスも婚約者を探しているので、いいかと思い、思い付いたのですよ」
「そうでしたか」
レオーラにも巻き込んでしまったという気持ちは、誰よりも理解している。
だが、それほどまでにモリーと一緒にいてくれた侍女ならば、離れることはないのではないか。そうあって欲しいという気持ちもあり、今回は自分の道を歩んで欲しいという気持ちも分かる。
それはモリーとその侍女が考えることだろうと、口には出さなかった。
「でも、演奏でも嫌なことがあったのですか?」
「同じ公爵令嬢なので、リークレア嬢にライバル視されていたのです……あの方は同じ曲を選ぶのです」
「そ、それは避けたくなりますね」
レオーラはどちらが上手いかどうかの話だと思っていたために、想像しただけでゾッとした。
「はい、演奏ならエントリーしなければ関わらなくて済みます。彼女がドレスを提出することも今のところありませんので、助かりました。何もしないと決めたのに、意に反することはなったのですけどね」
「すべてをというのは難しいかもしれませんね」
最低限は行い、何もしないとしても、モリーの立場がそれを許さない場面も多いだろうと感じた。
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