病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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マキュレアリリージュ・ポレモス3

「口を慎んでください、貴族の振りをすることは重罰になりますよ」
「っな!そんな事実なのに」

 教師は強く叱りつけたが、マキュレアリリージュは反抗的な目で見つめていた。

「それは認められてから初めて口に出していいことです。身を滅ぼしますよ」

 教師は今日のことでオブレオサジュール公爵と王家がどう判断されるか分からないが、相手が大きすぎて、自分に置き換えて想像することもできなかった。

「うるさいわね!絶対に認めてもらうんだから!」

 そう言って、マキュレアリリージュは飛び出してしまい、大きく溜息をつくことになった。ベテランの学年主任が入って来て尋ねた。

「駄目だったということかな?」
「主任……話をしたのですが、納得がいっていないのは確かでしょう」

 立ち上がって、申し訳ない気持ちで伝えた。

「王家も関わって来るでしょうね、もう通えなくなるかもしれませんね」
「はい、オブレオサジュール公爵令嬢もそのようなことをおっしゃっておりました」
「実際に姉妹ではないほうが比べらずにに済むというのに、そうは考えられないのでしょうね」

 学年主任はプレメルラ王国でモリー・オブレオサジュール公爵令嬢に敵う令嬢はいない状態である。そのような偉大な姉を持っていたら、卑屈になってしまうだろう。

 ある意味、姉妹ではなく、弟であることも良かったのではないかと感じていた。

「公爵令嬢になるとまだ申しておりました……」
「それは危険ですね」
「身を亡ぼすを伝えたのですが、認めてもらうと飛び出して行きました」
「平民であるとは思っていないのかもしれませんね」

 注意をしても伝わらないのなら、もう自己責任というのは教師として無責任と言われるかもしれないが、相手は王家となれば、学園にできることはない。

 マキュレアリリージュは再び、モリーの教室に現れたが、見渡してもいないことに苛立った。

 だが、クラスメイトは誰もマキュレアリリージュに話し掛ける者も、叫んでも無視されて、結局戻っていったが、何がしたいのだと思うばかりだった。

 同時にモリーはあんな相手に関わることになって、気の毒でならなかった。

 オブレオサジュール公爵家を追い出されて、安宿で過ごすことになったコアナとマキュレアリリージュは狭い部屋で暮らしていた――

 コアナの言い淀む様子にマキュレアリリージュは、別に父親がいるのではないかとは疑っていた。

「本当に間違いなの?」
「そうよ、間違いよ」
「でもお母様、口籠っていたじゃない」
「それは、別の男性とも関係を持ったこともあったから……」
「だったらその人が?貴族なのよね?」

 マキュレアリリージュはブレフォスではないとしても、公爵よりも下になるだろうが、それでも侯爵や伯爵令嬢ならまだいいかと思うことにした。

「でもその人との子どもではないの!あなたはブレフォス様の子どもなの」
「本当なの?」
「本当よ、でないと貴族にはなれないわ……」
「その相手は貴族ではないってこと?」
「そうよ、顔は良かったけど平民だもの」
「だったら、違うわよね」

 コアナからいずれは公爵令嬢になると言われて育って来たマキュレアリリージュは、父親が平民ということは受け入れられなかった。

 自分の望みを叶えるには疑わしい気持ちは消し去るしかなく、やはり父親はブレフォスとなったのである。

「そうでしょう?だからブレフォス様なの」
「だったら公爵家に戻れるようにしてよ!こんなところ、私のいる場所ではないわ」
「それは私もそう思っているわ、でもあの証明が違ったとならないと、近付いたら訴えられてしまうわ。そんなお金払えないもの」

 いくら公爵家としては贅沢と言うほどの生活ではなくとも、コアナにとっては贅沢な生活をしていた。それを請求されたら、まともな仕事で返せるわけがない。

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