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エルソン・ツーラン8
「ブレフォス様とお子様との関係性のことも話したはずだよな?」
「はい……」
エルソンが執事見習いの時に、ブレフォスは子どもたちと距離を測りかねていることをオーリンから聞いていた。だからこそモリーのドレスを見たいと思っている様子に手を貸したのである。
「ドレスのことも不満だったのか?」
「正直に言えば……そうです。芸術祭もせっかく楽器を習ってらっしゃるのですから、そちらを演奏する方がいいと思っておりました」
「それはお前の価値観だな?」
「そうです……高位貴族は楽器を演奏するのが通例だと聞いておりましたので」
「モリー様のドレスは私にも素晴らしいと思ったが?」
「はい、でも私はドレスに詳しくないものですから、よく分かりませんでした」
オーリンも何度かモリーの作ったドレスを見たが、素直に素晴らしい才能だと思っていた。だが、エルソンは見た目には悪くないが、子どもが作ったものだから大したものではないと評価していた。
「だが、エリー王女殿下の目に留まった」
「はい……」
「それはお前の考えに当てはめれば、オブレオサジュール公爵家には良いことではないか?」
「それはそうです……」
「だから手柄を上げたかったのか?」
「はい……」
ドレスのことはよく思っていなかったが、エリーの目に留まったことで余計なことをした。完全なるエルソンの思い込みによる考えであった。
「オブレオサジュール公爵家のためなどとはもう言えません。間違っていたとも分かっております」
さすがにエルソンもレベンナ・ゴースが王家を恨む者だったらと聞き、ゾッとして自分が間違っていたことは理解していた。
だからこそ、執事に戻りたいとも、オーリンに何か訴えることもなかった。
「モリー様が治癒術が使えると知ってどう思った?」
「驚きました。意図的に伝えられなかったのではないかという思いと、知っていればと思いもしました」
エルソンも新聞でモリーがレルスと婚約したことに驚き、さらに治癒術が使えるために魔術師になることには目を疑った。
「知っていたらあんな態度は取らなかったと?」
「そう思います……」
「お前には何か特別なものを持っていないと価値がないということだな?」
エルソンは目を逸らしたが、完全なる図星だった。
「そういうことだろう?ロレイン様は魔術が使え、勉強もできると聞いた。モリー様は何も持っていないと、だから見下して馬鹿にしていた」
ロレインはモリーの成績のことは疑っていたが、魔術が使えるとまでは思っていなかった。ゆえに知らされた時は隠していたことを怒るでもなく、自分を卑下するわけでもなく、素直に凄いと喜んでいた。
それなのに、エルソンは勝手に順位を付けていた。
「はい……申し訳ないことをしました。謝罪させてもらえるのならさせていただきたいです」
「いやいい、モリー様はお忙しい。お前の謝罪に時間を取る方が無駄だろう」
「は、はい……」
エルソンに謝罪をさせてとも考えていたが、モリーからオーリンが領地に行くことから、もし謝罪をと考えているのなら要らないからと言われていた。
「馬鹿にしていたなど言うことはできなかっただろうが、そういったことは言わなくとも伝わるのだ」
「はい……」
「私も責任を取るべきだと思ったが、モリー様は望まなかった。だが、聞いて欲しいと言われていたことがある。正直に答えられるか?」
そして、モリーからエルソンに尋ねて欲しいことがあると質問を預かっていた。
「はい」
「別邸のコアナとマキュレアリリージュをどう思っていたか、だそうだ」
「え?あの二人をですか?」
「お前は本邸に二人が入ることを止めることはしなかったのだろう?」
「公爵様に入れるなとは言われていなかったので……」
「はあ……」
「はい……」
エルソンが執事見習いの時に、ブレフォスは子どもたちと距離を測りかねていることをオーリンから聞いていた。だからこそモリーのドレスを見たいと思っている様子に手を貸したのである。
「ドレスのことも不満だったのか?」
「正直に言えば……そうです。芸術祭もせっかく楽器を習ってらっしゃるのですから、そちらを演奏する方がいいと思っておりました」
「それはお前の価値観だな?」
「そうです……高位貴族は楽器を演奏するのが通例だと聞いておりましたので」
「モリー様のドレスは私にも素晴らしいと思ったが?」
「はい、でも私はドレスに詳しくないものですから、よく分かりませんでした」
オーリンも何度かモリーの作ったドレスを見たが、素直に素晴らしい才能だと思っていた。だが、エルソンは見た目には悪くないが、子どもが作ったものだから大したものではないと評価していた。
「だが、エリー王女殿下の目に留まった」
「はい……」
「それはお前の考えに当てはめれば、オブレオサジュール公爵家には良いことではないか?」
「それはそうです……」
「だから手柄を上げたかったのか?」
「はい……」
ドレスのことはよく思っていなかったが、エリーの目に留まったことで余計なことをした。完全なるエルソンの思い込みによる考えであった。
「オブレオサジュール公爵家のためなどとはもう言えません。間違っていたとも分かっております」
さすがにエルソンもレベンナ・ゴースが王家を恨む者だったらと聞き、ゾッとして自分が間違っていたことは理解していた。
だからこそ、執事に戻りたいとも、オーリンに何か訴えることもなかった。
「モリー様が治癒術が使えると知ってどう思った?」
「驚きました。意図的に伝えられなかったのではないかという思いと、知っていればと思いもしました」
エルソンも新聞でモリーがレルスと婚約したことに驚き、さらに治癒術が使えるために魔術師になることには目を疑った。
「知っていたらあんな態度は取らなかったと?」
「そう思います……」
「お前には何か特別なものを持っていないと価値がないということだな?」
エルソンは目を逸らしたが、完全なる図星だった。
「そういうことだろう?ロレイン様は魔術が使え、勉強もできると聞いた。モリー様は何も持っていないと、だから見下して馬鹿にしていた」
ロレインはモリーの成績のことは疑っていたが、魔術が使えるとまでは思っていなかった。ゆえに知らされた時は隠していたことを怒るでもなく、自分を卑下するわけでもなく、素直に凄いと喜んでいた。
それなのに、エルソンは勝手に順位を付けていた。
「はい……申し訳ないことをしました。謝罪させてもらえるのならさせていただきたいです」
「いやいい、モリー様はお忙しい。お前の謝罪に時間を取る方が無駄だろう」
「は、はい……」
エルソンに謝罪をさせてとも考えていたが、モリーからオーリンが領地に行くことから、もし謝罪をと考えているのなら要らないからと言われていた。
「馬鹿にしていたなど言うことはできなかっただろうが、そういったことは言わなくとも伝わるのだ」
「はい……」
「私も責任を取るべきだと思ったが、モリー様は望まなかった。だが、聞いて欲しいと言われていたことがある。正直に答えられるか?」
そして、モリーからエルソンに尋ねて欲しいことがあると質問を預かっていた。
「はい」
「別邸のコアナとマキュレアリリージュをどう思っていたか、だそうだ」
「え?あの二人をですか?」
「お前は本邸に二人が入ることを止めることはしなかったのだろう?」
「公爵様に入れるなとは言われていなかったので……」
「はあ……」
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