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エルソン・ツーラン9
ブレフォスはコアナとマキュレアリリージュには近付くなと言っていたが、エルソンには入れるなと伝えていなかったのか、伝えたつもりになっていた、もしくは聞いたが覚えていない、聞こえていなかったのか。
「それでも本邸にあの二人がやって来て、良いことなどないだろう?」
カリーナと問題を起こしたり、使用人に我儘を言ったり、ブレフォスに突撃したりしていた。執事として何も良いと思えるところがない。
「それは……」
「ブレフォス様が会いたいとでも思っていたのか?」
「そうです、はい……」
ブレフォスが二人を大事に思っていないことは見ていればオーリンには分かったが、エルソンはそうではなかったのだろう。
「置いているだけだとは分からなかったのか?」
「そう、なのですか?」
「まあいい。コアナ・ポレモスはマキュレアリリージュをブレフォス様の子どもだと偽っていた」
「っえ」
コアナとマキュレアリリージュのことは噂にはなったが、新聞の記事になっていない。ブレフォスは新聞社にも出資をしているために、レルスとモリーの婚約にケチがついてはならないから載せない欲しいと伝えていた。
一緒に載ってしまえば、悪い方が目立ってしまうのは世の常である。おそらく王家からも同じような意見があったのではないかと思う。
だが、ブレフォスが自分で発表はしたために噂を止めるようなことはしなかった。
「公爵様の子どもではなかったのですか?」
「そうだ」
「騙していたと……」
「ああ、ブレフォス様が発表されたが、さすがにここまでは届いていなかったか」
「はい……知りませんでした」
オブレオサジュール公爵家のこと、モリーの治癒術と婚約のことがあるために、分別のある貴族は触れ回ることは悪手だと気付く。邸で家族相手には話すことはあっても、公の場では慎む。
コアナとマキュレアリリージュには言ったかもしれないが、コアナに出会うことはなく、マキュレアリリージュに関わるのは避けられていた。
ゆえに口にすることは非常識となっていくのではないかと思われる。
「では、二人は?」
「オブレオサジュール公爵邸は追い出されている。そして関われば訴えると言ってあった。だが、マキュレアリリージュはモリー様に接触をした。一度は注意で許したが、二度目はないと言ったのにも拘らず繰り返し、王家から王都を追放された」
「……え」
まさか王都ではそんなことになっているとは知らず、ただただ驚いた。
「そんな……」
「何故ショックを受ける?正直、私はどうなろうが、どうでもいいと思った。ブレフォス様も同様だ」
「でも……」
「お前は肩入れしていたのか?マキュレアリリージュに何の価値がある?」
オーリンは驚くのは理解できるが、ショックを受けるエルソンに違和感を感じた。
「それは……」
「ブレフォス様に可愛がられていると思っていたのか?」
「そうです……」
オーリンはマキュレアリリージュに価値があるかないかも考えたことはなかったが、何も思い浮かばなかったためにまさかと思ったが、呆れるしかなかった。
「そんな姿を見たのか?」
「いえ……見てはいませんが」
「また思い込んだのか?」
「はい……モリー様よりも可愛がられていると思っておりました」
エルソンはブレフォスはモリーと関わることがなく、マキュレアリリージュを可愛がっているのを見たわけではないが、そうだと受け取っていた。
「何がそう思わせる?」
「愛人の娘、だからです」
「自分の目でも見ていないのに?」
「はい、父上に言われておかしかったことに気付きました。申し訳ありません」
オーリンは今となっては本当に思っているのか素直に信じられないが、それでもエルソンの勝手な思い込みであることは間違いなさそうである。
「それでも本邸にあの二人がやって来て、良いことなどないだろう?」
カリーナと問題を起こしたり、使用人に我儘を言ったり、ブレフォスに突撃したりしていた。執事として何も良いと思えるところがない。
「それは……」
「ブレフォス様が会いたいとでも思っていたのか?」
「そうです、はい……」
ブレフォスが二人を大事に思っていないことは見ていればオーリンには分かったが、エルソンはそうではなかったのだろう。
「置いているだけだとは分からなかったのか?」
「そう、なのですか?」
「まあいい。コアナ・ポレモスはマキュレアリリージュをブレフォス様の子どもだと偽っていた」
「っえ」
コアナとマキュレアリリージュのことは噂にはなったが、新聞の記事になっていない。ブレフォスは新聞社にも出資をしているために、レルスとモリーの婚約にケチがついてはならないから載せない欲しいと伝えていた。
一緒に載ってしまえば、悪い方が目立ってしまうのは世の常である。おそらく王家からも同じような意見があったのではないかと思う。
だが、ブレフォスが自分で発表はしたために噂を止めるようなことはしなかった。
「公爵様の子どもではなかったのですか?」
「そうだ」
「騙していたと……」
「ああ、ブレフォス様が発表されたが、さすがにここまでは届いていなかったか」
「はい……知りませんでした」
オブレオサジュール公爵家のこと、モリーの治癒術と婚約のことがあるために、分別のある貴族は触れ回ることは悪手だと気付く。邸で家族相手には話すことはあっても、公の場では慎む。
コアナとマキュレアリリージュには言ったかもしれないが、コアナに出会うことはなく、マキュレアリリージュに関わるのは避けられていた。
ゆえに口にすることは非常識となっていくのではないかと思われる。
「では、二人は?」
「オブレオサジュール公爵邸は追い出されている。そして関われば訴えると言ってあった。だが、マキュレアリリージュはモリー様に接触をした。一度は注意で許したが、二度目はないと言ったのにも拘らず繰り返し、王家から王都を追放された」
「……え」
まさか王都ではそんなことになっているとは知らず、ただただ驚いた。
「そんな……」
「何故ショックを受ける?正直、私はどうなろうが、どうでもいいと思った。ブレフォス様も同様だ」
「でも……」
「お前は肩入れしていたのか?マキュレアリリージュに何の価値がある?」
オーリンは驚くのは理解できるが、ショックを受けるエルソンに違和感を感じた。
「それは……」
「ブレフォス様に可愛がられていると思っていたのか?」
「そうです……」
オーリンはマキュレアリリージュに価値があるかないかも考えたことはなかったが、何も思い浮かばなかったためにまさかと思ったが、呆れるしかなかった。
「そんな姿を見たのか?」
「いえ……見てはいませんが」
「また思い込んだのか?」
「はい……モリー様よりも可愛がられていると思っておりました」
エルソンはブレフォスはモリーと関わることがなく、マキュレアリリージュを可愛がっているのを見たわけではないが、そうだと受け取っていた。
「何がそう思わせる?」
「愛人の娘、だからです」
「自分の目でも見ていないのに?」
「はい、父上に言われておかしかったことに気付きました。申し訳ありません」
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