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仮縫い2
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エリーは動いてはいけないので、黙っていたが、まだ水色のドレスではあったが、着せられた時点ではしゃぎたいほど、素敵だと思っていた。
そして、全身が鏡に映る姿には感動すらしていた。
モリーも気にいってもらえたことに、ホッとした。後は、ちゃんと微調整をしなくてはいけない。
「スカートね、どう長い?歩ける?」
エリーがうっとりしており、ケリーが代わりに答えた。すると、エリーが動こうとしたが、すかさずモリーは注意を促した。
「外側の針にはお気を付けくださいね」
「ええ、大丈夫よ」
エリーはちょこちょこと歩いてみたが、問題のない長さであった。
「大丈夫、歩けるわ!長さはこのままでいいと思う」
短いと子どもっぽくなってしまうために、引きずるほど長くはないが、靴を履いて僅かに空間ができる長さである。
「肩がもう少し、短い方がいいかしら」
「少し摘まんでみましょうか」
「ええ」
モリーはエリーの後ろに回って、肩を少し短くするために、少し摘まんで見せた。
「いいんじゃないか?」
そう言ったのは、いつの間にかパーテーションの横から覗いていたレルスであった。
「ちょっと、お兄様!覗かないで!」
「もうドレスを着ているのだから、構わないじゃないか」
レルスも妹だとしても、さすがにペチコート姿であったら、遠慮したが既にドレスを着ているので、問題ないと判断した。
「オブレオサジュール公爵令嬢だね」
「はい、王太子殿下にご挨拶申し上げます。モリー・オブレオサジュールでございます。仮縫い中ですので、このままの体制で、失礼いたします」
モリーは肩の生地を持ったままで、できる限り頭を下げた。
「いや、邪魔をしているのは私なのだから、そのままで構わない」
「そうです!お約束をしていないのは、お兄様なのだから」
「そうですよ!黙ってお茶でも飲んで、座ってなさいと言ったのに」
溜息をつきながら、ケリーも呆れていたが、モリーの前で叱り付けるほどはないので、それ以上は言わなかった。
「そのくらいの長さの方が良いわね」
「承知いたしました。では、こちらの長さでとめさせていただきますので、少し止まっていてください」
「はい!」
ピシリとエリーが止まり、肩の長さを針でとめると、ケリーは小さく何度も頷いていた。
「他に気になるようなところ、こうして欲しいなどはございませんか?」
「私はとっても気に入ったわ!だってここから、もっと素敵になるでしょう?お母様、どうかしら?」
「ええ、私もとても良いと思うわ」
「何かありませんか?」
モリーは逆に不安になってしまい、そんなことを口走っていた。
「あった方がいいのかしら?」
「いいえ、お気を悪くしたのならば謝罪いたします」
「エリーもそうだけど、私も気に入ったわ。本当よ、ほら!アイスラとジュリアも、一応レルスも証人になってくれるでしょう?」
アイスラとジュリアは頷き、レルスも一応と言われたが、発言していいのだろうと口を開いた。
「私はドレスは詳しくないが、ドレスも綺麗だし、エリーにもよく似合っている」
「ふふっ、そうでしょう?」
エリーは誇らしげな顔を、レルスに向けた。
「妹君は随分と気に入ったようだ。だが、私も芸術祭のドレスを見せて貰った。去年も今年も素晴らしかったよ」
「恐れ入ります」
モリーはまさか見られているとは思わず驚いたが、静かに頭を下げた。
「素敵だったわよね!」
「エリーは去年は見ていないだろう?」
「お・に・い・さ・ま!私も見たのよ」
エリーは、にやりという顔をして、レルスに人差し指を立てた。
「見せて貰っていたのか」
「着ている姿を見たの!」
「えっ?」
「モリー様の侍女の方、ペイリー様のドレスだったの。最初にお会いした時に、着て来てくださったのよ!」
レルスの視線はペイリーに向かい、ペイリーはどうしていいか分からず、いたたまれなくなり、目をパチパチした。
そして、全身が鏡に映る姿には感動すらしていた。
モリーも気にいってもらえたことに、ホッとした。後は、ちゃんと微調整をしなくてはいけない。
「スカートね、どう長い?歩ける?」
エリーがうっとりしており、ケリーが代わりに答えた。すると、エリーが動こうとしたが、すかさずモリーは注意を促した。
「外側の針にはお気を付けくださいね」
「ええ、大丈夫よ」
エリーはちょこちょこと歩いてみたが、問題のない長さであった。
「大丈夫、歩けるわ!長さはこのままでいいと思う」
短いと子どもっぽくなってしまうために、引きずるほど長くはないが、靴を履いて僅かに空間ができる長さである。
「肩がもう少し、短い方がいいかしら」
「少し摘まんでみましょうか」
「ええ」
モリーはエリーの後ろに回って、肩を少し短くするために、少し摘まんで見せた。
「いいんじゃないか?」
そう言ったのは、いつの間にかパーテーションの横から覗いていたレルスであった。
「ちょっと、お兄様!覗かないで!」
「もうドレスを着ているのだから、構わないじゃないか」
レルスも妹だとしても、さすがにペチコート姿であったら、遠慮したが既にドレスを着ているので、問題ないと判断した。
「オブレオサジュール公爵令嬢だね」
「はい、王太子殿下にご挨拶申し上げます。モリー・オブレオサジュールでございます。仮縫い中ですので、このままの体制で、失礼いたします」
モリーは肩の生地を持ったままで、できる限り頭を下げた。
「いや、邪魔をしているのは私なのだから、そのままで構わない」
「そうです!お約束をしていないのは、お兄様なのだから」
「そうですよ!黙ってお茶でも飲んで、座ってなさいと言ったのに」
溜息をつきながら、ケリーも呆れていたが、モリーの前で叱り付けるほどはないので、それ以上は言わなかった。
「そのくらいの長さの方が良いわね」
「承知いたしました。では、こちらの長さでとめさせていただきますので、少し止まっていてください」
「はい!」
ピシリとエリーが止まり、肩の長さを針でとめると、ケリーは小さく何度も頷いていた。
「他に気になるようなところ、こうして欲しいなどはございませんか?」
「私はとっても気に入ったわ!だってここから、もっと素敵になるでしょう?お母様、どうかしら?」
「ええ、私もとても良いと思うわ」
「何かありませんか?」
モリーは逆に不安になってしまい、そんなことを口走っていた。
「あった方がいいのかしら?」
「いいえ、お気を悪くしたのならば謝罪いたします」
「エリーもそうだけど、私も気に入ったわ。本当よ、ほら!アイスラとジュリアも、一応レルスも証人になってくれるでしょう?」
アイスラとジュリアは頷き、レルスも一応と言われたが、発言していいのだろうと口を開いた。
「私はドレスは詳しくないが、ドレスも綺麗だし、エリーにもよく似合っている」
「ふふっ、そうでしょう?」
エリーは誇らしげな顔を、レルスに向けた。
「妹君は随分と気に入ったようだ。だが、私も芸術祭のドレスを見せて貰った。去年も今年も素晴らしかったよ」
「恐れ入ります」
モリーはまさか見られているとは思わず驚いたが、静かに頭を下げた。
「素敵だったわよね!」
「エリーは去年は見ていないだろう?」
「お・に・い・さ・ま!私も見たのよ」
エリーは、にやりという顔をして、レルスに人差し指を立てた。
「見せて貰っていたのか」
「着ている姿を見たの!」
「えっ?」
「モリー様の侍女の方、ペイリー様のドレスだったの。最初にお会いした時に、着て来てくださったのよ!」
レルスの視線はペイリーに向かい、ペイリーはどうしていいか分からず、いたたまれなくなり、目をパチパチした。
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