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ゴース準男爵家2
「王家に目を付けられたということなのよ?」
「それは……」
「どちらか本人に選んでもらったら?いえ、それでは駄目ね。働いてもらって、賠償金とか慰謝料も必要でしょう?働いてないんだから、すぐに行かせた方がいいわ!あんな子のために死にたくないもの」
死という言葉に、エッジもビクリとした。だが、王妃陛下を怒らせ、公爵家にも迷惑を掛けたのだから、あり得ない話ではない。
「そうだな、働き口を探そう」
「私も聞いてみます」
王妃陛下に説明しないといけないのだから、きちんとどこにいるか明確にしなくてはならないと、エッジとエルトは強く頷いた。
スミラは本調子ではないために、話し合いを聞くだけで精一杯だった。
「それで、本人はどこにいるの?」
「友達のところへ行って来ると言っていたが……」
「いつから?」
「問題を起こした次の日からだよ」
「はあ……馬鹿だから逃げたわけではないだろうけど、いないのは好都合ね。戻ったらすぐに行かせましょう」
実は一番、事態を冷静に受け止めていたレイジーは、そう言って帰って行った。
だが翌日、レイジーが慌てた様子で、朝から実家にやって来た。エルトは既に仕事に行っていたが、両親は話をすることになった。
「昨日、夫に話したら、レベンナとは絶縁して、借金労働にした方がいいのではないかと言うの」
「え!借金労働だなんて」
エッジも家族のためにも、絶縁はした方がいいかとは考えてはいた。
借金労働は良い言い方で、プレメルラ王国に奴隷などの制度はないが、借金奴隷と言われているお金の借り方である。
お金のない人間が、まとまった金額を支払いをする方法である。
逃げられない職場に、借金が終わるまで、働くことになる。ちゃんと働けば、まともな借金返済方法である。
当然、逃げることはできないのだが、逃げた場合は次の仕事を選べないことになり、劣悪や厳しい仕事に回されることになる。
「王妃陛下に、ちまちまと、お金を渡すなんて失礼だそうよ」
「それはそうだが」
「父さんが準男爵を授与された時に受け取ったお金、その分は返した方がいいと言っていたわ。その額を賠償金?慰謝料にした方がいいと」
「えっ」
「当然でしょう?準男爵も返すと返還する気だったのではないの?」
「っ」
自分も、離縁覚悟で夫に話した。だが、夫はレベンナはいい大人なのだからと、どう謝罪をしたらいいかを一緒に考えてくれた。
夫は平民だったが、商家で働いており、貴族と接することも多かった。
だからこそ、レイジーよりも事態は深刻だと教えてくれたのである。
そして、父は準男爵も返還、絶縁、借金は覚悟しているはずだと聞いていた。だが、エッジの動揺する様子にそんな覚悟すらなかったのだと、分かった。
「お父様、軽く考え過ぎです」
「ああ……」
エッジにとって、準男爵位は誇りであった。
「家族にとっても、父さんは誇りだったわ」
「ああ」
「返還は申し出て、王妃陛下に任せるべきよ。もしかしたら、そこまではって言ってくれるかもしれないわ」
「ああ、そうだな……」
それでも、煮え切らないエッジに、レイジーは目に涙を溜めて声を上げた。
「私は!夫に離縁覚悟で話したのよ!」
「っな」
「レイジー……」
エッジは驚き、スミラはその言葉に、悲痛な声でレイジーの名前を呼んだ。
「お前にもすまない……」
「嫁ぎ先に迷惑を掛けたらと思ったら、当然でしょう?」
「あなた、レイジーの言う通りよ」
口を挟まず聞いていたスミラが、エッジの肩に手を置き、頷きながら話した。
「そうだな、返還を申し出て、レベンナは絶縁にしよう。もういい大人なのだから。だが、借金労働は……」
エッジは酷い末路を聞いたこともあり、さすがに娘をそのような立場にすることには躊躇した。
「それは……」
「どちらか本人に選んでもらったら?いえ、それでは駄目ね。働いてもらって、賠償金とか慰謝料も必要でしょう?働いてないんだから、すぐに行かせた方がいいわ!あんな子のために死にたくないもの」
死という言葉に、エッジもビクリとした。だが、王妃陛下を怒らせ、公爵家にも迷惑を掛けたのだから、あり得ない話ではない。
「そうだな、働き口を探そう」
「私も聞いてみます」
王妃陛下に説明しないといけないのだから、きちんとどこにいるか明確にしなくてはならないと、エッジとエルトは強く頷いた。
スミラは本調子ではないために、話し合いを聞くだけで精一杯だった。
「それで、本人はどこにいるの?」
「友達のところへ行って来ると言っていたが……」
「いつから?」
「問題を起こした次の日からだよ」
「はあ……馬鹿だから逃げたわけではないだろうけど、いないのは好都合ね。戻ったらすぐに行かせましょう」
実は一番、事態を冷静に受け止めていたレイジーは、そう言って帰って行った。
だが翌日、レイジーが慌てた様子で、朝から実家にやって来た。エルトは既に仕事に行っていたが、両親は話をすることになった。
「昨日、夫に話したら、レベンナとは絶縁して、借金労働にした方がいいのではないかと言うの」
「え!借金労働だなんて」
エッジも家族のためにも、絶縁はした方がいいかとは考えてはいた。
借金労働は良い言い方で、プレメルラ王国に奴隷などの制度はないが、借金奴隷と言われているお金の借り方である。
お金のない人間が、まとまった金額を支払いをする方法である。
逃げられない職場に、借金が終わるまで、働くことになる。ちゃんと働けば、まともな借金返済方法である。
当然、逃げることはできないのだが、逃げた場合は次の仕事を選べないことになり、劣悪や厳しい仕事に回されることになる。
「王妃陛下に、ちまちまと、お金を渡すなんて失礼だそうよ」
「それはそうだが」
「父さんが準男爵を授与された時に受け取ったお金、その分は返した方がいいと言っていたわ。その額を賠償金?慰謝料にした方がいいと」
「えっ」
「当然でしょう?準男爵も返すと返還する気だったのではないの?」
「っ」
自分も、離縁覚悟で夫に話した。だが、夫はレベンナはいい大人なのだからと、どう謝罪をしたらいいかを一緒に考えてくれた。
夫は平民だったが、商家で働いており、貴族と接することも多かった。
だからこそ、レイジーよりも事態は深刻だと教えてくれたのである。
そして、父は準男爵も返還、絶縁、借金は覚悟しているはずだと聞いていた。だが、エッジの動揺する様子にそんな覚悟すらなかったのだと、分かった。
「お父様、軽く考え過ぎです」
「ああ……」
エッジにとって、準男爵位は誇りであった。
「家族にとっても、父さんは誇りだったわ」
「ああ」
「返還は申し出て、王妃陛下に任せるべきよ。もしかしたら、そこまではって言ってくれるかもしれないわ」
「ああ、そうだな……」
それでも、煮え切らないエッジに、レイジーは目に涙を溜めて声を上げた。
「私は!夫に離縁覚悟で話したのよ!」
「っな」
「レイジー……」
エッジは驚き、スミラはその言葉に、悲痛な声でレイジーの名前を呼んだ。
「お前にもすまない……」
「嫁ぎ先に迷惑を掛けたらと思ったら、当然でしょう?」
「あなた、レイジーの言う通りよ」
口を挟まず聞いていたスミラが、エッジの肩に手を置き、頷きながら話した。
「そうだな、返還を申し出て、レベンナは絶縁にしよう。もういい大人なのだから。だが、借金労働は……」
エッジは酷い末路を聞いたこともあり、さすがに娘をそのような立場にすることには躊躇した。
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