【完結】愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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複雑1

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「何の話だ?」
「そうよ、ようやく名前が絞れて来ていたのに」

 マーガレットはまだ子猫の名前をたくさん考え過ぎて、これも可愛いこれもいいかもと決めかねており、さらに熟考するつもりだった。

「それが、実は……」
「何だ?話し辛いことなのか?フランアールから国王陛下にもハービル侯爵にも褒められたと聞いたが?」
「その話ではないのです……」

 話すと言ったが、さすがに両親を前にすると言いだし辛かった。

「何よ、大きな体でもじもじしても可愛くありませんよ!成長しても可愛いのはフランちゃんと動物たちだけです」

 ルジエールも子どもの頃は天使のように可愛かったが、さすがに育ち過ぎた息子のもじもじする姿はどう見ても、可愛くなかった。

「フランアールの話ですが」
「何?」
「何なの!」

 フランアールの話と言う部分だけで、二人は身を乗り出していた。

「フランアールの話ですが、私の話なのです」
「何を言っているのだ、ハッキリ言いなさい」
「……魔力の相性のいい相手が」
「見付かったのか?」

 イライラしつつあったジスラットが問い掛け、その言葉にマーガレットがショックを受けた顔をしていた。

「はい……」
「そうか」
「そうなのね……」

 ジスラットとマーガレットは、それは契約結婚が終わることを意味しており、覚悟はしていたが、受け入れるしかないと頷き合った。

「責める気はありませんわ、あなたはずっとそう言っていたもの。魔力のことで苦しんだことも、よく知っておりますから」
「そうだな、相手は誰なんだ?」

 魔力の相性がいい相手だと、心が落ち着くと言われており、魔力の多いルジエールには最重要なことで、それについてはジスラットとマーガレットも理解をしていた。

「フランアールなのです……」
「は?」
「はあ?」

 ジスラットの声も十分大きかったが、それ以上にマーガレットの声が響き渡った。

「なぜ、今……いや、そもそも外術者だと言っていなかったか?」
「そうよ、内術者の魔力に触れることなんてできないでしょう?」

 二人も内術者であるフランアールは、相性のいい相手にはなり得ないと考えて、始めから起こり得ないと考えていた。

「フランアールは患部に触れれば治癒術が使えるそうなんです」
「そんなことまで」
「規格外ね」
「はい……それで、マドール辺境伯領で、腕を少し火傷しまして、フランアールに治してもらいまして」
「その時に魔力を感じたということか?」
「そうです」
「何ということだ……」

 ジスラットは仰け反って目を瞑り、マーガレットは冷静だった。

「これは非常に複雑よ、このまま一生ここにいてくれるなら嬉しいことだけど、ルジエールにフランちゃんを幸せにできるの?」

 母親なのに酷い言い方だが、フランアールに対して、ルジエールに何ができるという思いであった。

「したいと思っていますが、魔力の相性がいいなど、きっかけが不純でしょう……」
「そうだな」
「ええ、そうね」

 ルジエールも魔力の相性がいいからと相手を選ぼうと思っていたが、魔力で好意を持たれることは見た目でというよりも、微妙なのではないかと考えていた。

 両親にもあっさりと合意されたことで、やはりそう思うのだと思った。

「ですが、魔力が心地よく、好感は持っておりました」
「今さらじゃないか」
「そうよ、取って付けたみたい」

 マーガレットが辛辣なのは同じ女性だから分かるが、ジスラットも辛辣である。

「はい……でも、これからも一緒にいたいのです」
「それは私たちも同じ気持ちだ」
「そうよ」
「それで、エバンに話したら、まずは両親に話して、味方を増やした方がいいと言われて」
「さすがエバンね」

 一人で抱え込まずに、エバンファストに相談したのは、ルジエールにしてはよくやったと、マーガレットは感じた。
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