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出会い
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私はクレノ医師の手伝いをすることとなった。毎日、死にたくてたまらないことを見抜いていたからだ。
しかし、半年が経つ辺りで、クレノ医師は腰痛が悪化し、息子夫婦のところに行くことになり、医院を閉めることになった。クレノ医師は随分心配して、一緒に行こうとまで言ってくれたが、前に医院に来た傭兵の伝手で、傭兵となった。女だと馬鹿にする者もいたが、気にはならなかった。
ある日、隣国のグランド王国で、ひと仕事を終え、森を歩いている時のことだった。目の前に大きな影が通り過ぎ、咄嗟に身構えたが、殺気は感じられず、その影は人型となって目の前に跪いた。
グランド王国はカペルル王国にもいないわけではないが、王族が竜人であるため、獣人が多く住まう国である。
「番だ」
「番?ああ、獣人か」
「竜族だ」
「そうか」
「私の名はサリス。愛しき番、どうか私と結婚して欲しい」
「私が番なのか」
「そうだ、間違いない」
「私の願いを叶えてくれるなら結婚してもいい」
「ああ、何でも言ってくれ」
「私を殺して欲しい」
「何を言ってる!」
「死にたいんだ、ずっと。やっと殺してくれそうなのが見付かった。良かった」
「殺せるわけがないだろう。食べる物がないのか?酷い目に遭っているのか?それなら大丈夫だ」
「は?」
「番を殺す奴なんていない」
「そうか、なら結婚はできない」
「この国では番は一緒にならなければいけないんだ。結婚、しているのか」
竜人や獣人に番が見付かった場合は、相手がいない場合に限り、身分や人種を問わず、番になることを優先されるのだ。
既婚者や婚約者がいる場合は、竜人や獣人側が、番失くしという薬を使って、番を認識させない身体にすることになる。三ヶ月ほど掛かるが、愛する気持ちを失わせることが出来る。
番側がどうしても嫌だったとしても、断ったとなれば、相手は番失くしをすることになる、非難されることは明らかとなる。
しかし、これでも昔に比べればいい方である。竜人や獣人側が勝手に連れ去るなど、悲惨な事件が起きてから、互いのために定められたものである。
「私はこの国の者ではない」
「どこの国だ?友好国なら同じことだ」
友好国で見付かった場合も、同じ条件で番になることを認められている。
「さあ、どこだろうな」
「名前は何という?」
「アップルパイ」
「アップルパイという名なのか」
「妹の好物だ」
「どこか座って話そう」
腕を取ろうとしたが、さらりと避けられて、彼女は剣を抜き、自分の首に当てた。
「疲れているのだ、去らぬのならここで首を切ってもいい」
既に剣先が当たっているようで、血が流れている。分かった、どこに泊まっているのかだけ聞き出し、今日は帰ると、立ち去るしかなかった。彼女は伝えた宿屋に入って行くのを確認した。
サリスはグランド王国の王太子であった。
両親に番が見付かったが、拒絶されたことを両親である両陛下に話すと、人族なら仕方ないことだと皆に慰められた。結婚していないのなら、ゆっくりと時間を掛けるんだと諭されるほどであった。
「元気がないな、拒絶されたからか?」
訊ねているのは叔父であるカインドール。父の弟である。
「…殺して欲しいと言われて」
「は?」
「父上たちには言えなかった。どうも死にたいそうなんです。どうしたらいいか分からなくて」
「そう言われたのか」
「はい、食べる物に困っているのか、酷い目に遭っているのかと聞いても、とにかく死にたいと。名前も教えてもらえませんでした」
「自殺願望があるのか?」
「分かりません、でも自殺願望があるなら死んでいるんじゃないですか。首元に剣先を当てるのも躊躇がなかった」
「…そうか、生きる意味を与えればいいのではないか、私の愛しい番も辛い目に遭っていた。でも今は幸せだろう?」
「はい、叔父上たちほど仲の良い夫婦を知りません」
カインドールと妻であるラズリーは番で、出会った時、妻は既婚者ではあったが、伯父が不遇な目に遭っているところを助け出し、二人は結婚し、息子を出産、さらに現在第二子を妊娠中だ。いつも一緒で非常に仲が良い。
しかし、半年が経つ辺りで、クレノ医師は腰痛が悪化し、息子夫婦のところに行くことになり、医院を閉めることになった。クレノ医師は随分心配して、一緒に行こうとまで言ってくれたが、前に医院に来た傭兵の伝手で、傭兵となった。女だと馬鹿にする者もいたが、気にはならなかった。
ある日、隣国のグランド王国で、ひと仕事を終え、森を歩いている時のことだった。目の前に大きな影が通り過ぎ、咄嗟に身構えたが、殺気は感じられず、その影は人型となって目の前に跪いた。
グランド王国はカペルル王国にもいないわけではないが、王族が竜人であるため、獣人が多く住まう国である。
「番だ」
「番?ああ、獣人か」
「竜族だ」
「そうか」
「私の名はサリス。愛しき番、どうか私と結婚して欲しい」
「私が番なのか」
「そうだ、間違いない」
「私の願いを叶えてくれるなら結婚してもいい」
「ああ、何でも言ってくれ」
「私を殺して欲しい」
「何を言ってる!」
「死にたいんだ、ずっと。やっと殺してくれそうなのが見付かった。良かった」
「殺せるわけがないだろう。食べる物がないのか?酷い目に遭っているのか?それなら大丈夫だ」
「は?」
「番を殺す奴なんていない」
「そうか、なら結婚はできない」
「この国では番は一緒にならなければいけないんだ。結婚、しているのか」
竜人や獣人に番が見付かった場合は、相手がいない場合に限り、身分や人種を問わず、番になることを優先されるのだ。
既婚者や婚約者がいる場合は、竜人や獣人側が、番失くしという薬を使って、番を認識させない身体にすることになる。三ヶ月ほど掛かるが、愛する気持ちを失わせることが出来る。
番側がどうしても嫌だったとしても、断ったとなれば、相手は番失くしをすることになる、非難されることは明らかとなる。
しかし、これでも昔に比べればいい方である。竜人や獣人側が勝手に連れ去るなど、悲惨な事件が起きてから、互いのために定められたものである。
「私はこの国の者ではない」
「どこの国だ?友好国なら同じことだ」
友好国で見付かった場合も、同じ条件で番になることを認められている。
「さあ、どこだろうな」
「名前は何という?」
「アップルパイ」
「アップルパイという名なのか」
「妹の好物だ」
「どこか座って話そう」
腕を取ろうとしたが、さらりと避けられて、彼女は剣を抜き、自分の首に当てた。
「疲れているのだ、去らぬのならここで首を切ってもいい」
既に剣先が当たっているようで、血が流れている。分かった、どこに泊まっているのかだけ聞き出し、今日は帰ると、立ち去るしかなかった。彼女は伝えた宿屋に入って行くのを確認した。
サリスはグランド王国の王太子であった。
両親に番が見付かったが、拒絶されたことを両親である両陛下に話すと、人族なら仕方ないことだと皆に慰められた。結婚していないのなら、ゆっくりと時間を掛けるんだと諭されるほどであった。
「元気がないな、拒絶されたからか?」
訊ねているのは叔父であるカインドール。父の弟である。
「…殺して欲しいと言われて」
「は?」
「父上たちには言えなかった。どうも死にたいそうなんです。どうしたらいいか分からなくて」
「そう言われたのか」
「はい、食べる物に困っているのか、酷い目に遭っているのかと聞いても、とにかく死にたいと。名前も教えてもらえませんでした」
「自殺願望があるのか?」
「分かりません、でも自殺願望があるなら死んでいるんじゃないですか。首元に剣先を当てるのも躊躇がなかった」
「…そうか、生きる意味を与えればいいのではないか、私の愛しい番も辛い目に遭っていた。でも今は幸せだろう?」
「はい、叔父上たちほど仲の良い夫婦を知りません」
カインドールと妻であるラズリーは番で、出会った時、妻は既婚者ではあったが、伯父が不遇な目に遭っているところを助け出し、二人は結婚し、息子を出産、さらに現在第二子を妊娠中だ。いつも一緒で非常に仲が良い。
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